グラフィカルアブストラクトの作り方|要件・デザイン・著作権
グラフィカルアブストラクト(graphical abstract)は、論文の主な発見を1枚の図で伝える画像です。投稿の最終段階で提出を求めるジャーナルが増えていますが、サイズ・縦横比・ファイル形式、さらにデータを入れてよいかどうかは出版社ごとに異なり、仕様を決めるのは投稿先ジャーナルの投稿規程です。デザインの面では、出版社自身のガイダンスに共通して「メッセージは1つ」「読む順番が明確」「文字は最小限」「赤と緑だけに頼らない」という点が挙がっています。本記事では、ElsevierとCell Pressの公開ページ(2026年10月7日に確認)の内容、グラフィカルアブストラクトが役立つのかを調べた査読付き研究(結果は一様ではありません)、そして実データから日本語入りの1枚を作る手順を紹介します。
本記事が扱うのは、グラフィカルアブストラクトに固有の点です。文章のアブストラクトの書き方は論文アブストラクトの書き方を、図表全般の作り方・解像度・ファイル形式は論文の図表作成ガイド、出版品質の図の作り方、論文投稿用図のファイル形式と解像度を、色覚への配慮の詳細は科学的図のアクセシビリティを、転載の許可の詳細は論文の図の著作権と許可申請をご覧ください。
1. グラフィカルアブストラクトとは|HighlightsやVisual abstractとの違い
似た名前の要素が複数あるため、まず整理します。
| 項目 | 出典で確認できた内容 | 出典 |
|---|---|---|
| Graphical abstract | Elsevier:ジャーナルは「graphical」または「visual abstract」の提出を求めることが増えている。論文の内容を、学際的な読者に向けて簡潔な絵の形で要約したもので、論文中の最後の図を流用する著者もいるが、専用にデザインする著者が増えている。Cell Press:論文の主な発見をひと目で示す1枚のパネル画像で、本文中の図とは別のものにする。 | Elsevier公式ページ、Cell Press公式ブログ |
| Highlights | Elsevier:3〜5個の箇条書き(Cell Pressの論文では3〜4個)で、1つあたり85文字以内(スペースを含む)。Wordファイルで提出し、編集上の審査の対象ではなく、検索での見つかりやすさを高めるためのもの。画像ではなく文章。 | Elsevier公式ページ(Highlights) |
| Visual abstract | Oskaら(2020)は「論文の問い・方法・主な結果を図にまとめたもので、主にSNSで論文を広めるために使われる」と定義している。Elsevierのページは「graphical abstract」と「visual abstract」をほぼ同じ意味で並べて使っている。 | PMID 33275112、Elsevier公式ページ |
| 文章のアブストラクト | 原稿本体に載せる文章の要旨(論文アブストラクトの書き方を参照)。 | ― |
| 平易な要約(PLS) | 専門家以外に向けた文章の要約(平易な要約(PLS)完全ガイドを参照)。 | ― |
編集上の考え方(ジャーナルの規則ではありません):graphical abstractは、論文ページや目次に表示される投稿用の要素、visual abstractは、問い・方法・結果を型に沿って並べたSNS向けの画像、と使い分けられることが多いようです。同じ画像で両方に使える場合もありますが、ジャーナルが専用のファイルを求めていないか確認してください。
2. ジャーナルの要件|公式ページで確認できたこと・できなかったこと
以下はすべて、表に記した各ページを2026年10月7日に実際に開いて確認した内容です。要件は変わることがあるため、最終的には投稿先ジャーナルの最新の投稿規程に従ってください。Elsevier自身も、ページ内で「ジャーナルごとの方針と指示はガイドを確認してください」と述べています。
| Elsevier | Cell Press | ACS | |
|---|---|---|---|
| 開いたページ | Elsevier公式の著者向けページ「Graphical abstract in Elsevier journals」 | Cell Press公式ブログ(CrossTalk)の記事。Cell Reportsの編集業務担当者が執筆、2018年4月4日公開、同年9月10日に要件の更新を反映して編集。Cell Pressの公式な投稿規程ページはHTTP 403で開けなかった。 | ACS Publications Chemistry Blog(Axial)の記事(2021年5月25日)。ACS Guide to Scholarly Communicationに基づく解説。ACSの投稿規程ページはHTTP 403で開けなかった。 |
| サイズ | 幅×高さが1328×531ピクセル以上、300 dpi以上。大きい画像でも同じ比率にする。ScienceDirectでは500×200ピクセルの枠に縮小して表示される。 | 1200ピクセル四方の1枚のパネル、300 dpi。形は正方形。寸法が合わないとキャンバスが拡張されることがある。 | ピクセル数の記載は確認できず。「実際に掲載されるサイズで用意する」「横長の枠が多い」「具体的な要件は各ジャーナルの投稿規程」とある。 |
| フォント | Times、Arial、Courier、Symbol。高さ200ピクセルの枠に縮小されても読める大きさにする。 | Arial、12〜16ポイント。 | 文字は最小限で、掲載サイズで読めること。 |
| ファイル形式 | TIFF、EPS、PDF、MS Officeファイルが推奨。別ファイルとして提出。 | TIFF、PDF、JPG。PowerPointは受け付けない。 | このページには記載なし。 |
| 文字 | 追加の文章・枠線・要約は不可。文字や注記は画像の中に入れる。余白を無駄に取らない。画像内に「graphical abstract」という見出しを入れない。 | ラベルは簡潔に、文字は控えめに。専門用語を避ける。HighlightsやeTOC blurb(目次用の紹介文)を画像に入れない。あらゆる種類の「データ項目」は入れず、内容はすべて図の形にする。風刺画(特に動物)は避ける。白い枠をつけない。 | 文字は最小限。 |
| その他 | 読む向きは上から下、または左から右。第三者が権利を持つ素材は許可が必要。生成AIの利用はElsevierの生成AIポリシーに沿うこと。通常は論文PDFや印刷版には表示されない。 | 提出したファイルがそのままオンラインで使われる。Cell Reports編集長のコメントでは、PDF版の表紙やSNSでも使われる可能性がある。 | 独自に作成した図が望ましい。クリップアートやネット上の画像は、通常は著作権者の許可が必要。 |
要点は2つです。第一に、2社の仕様は同じではありません。Elsevierは横長(約5:2)、Cell Pressの記事は正方形で、1つのファイルで両方を満たすことはできません。第二に、データの扱いも異なります。Cell Pressの記事は「データ項目は入れない」としていますが、Elsevierのページには同様の禁止は書かれていません。先に投稿先を決め、そのページを読んでから作り始めてください。Springer Nature、Wiley、RSCなど、ほかの出版社のページは今回確認していないため、本記事では扱いません。
3. 本当に役立つのか|効果を調べた研究
効果を調べた研究の結果は一様ではなく、しかも測っているのは多くの場合、論文の質ではなくオンラインでの注目度です。
- Oska ら(2020)[文献1]:American Journal of Nephrologyの論文40本を、同誌のTwitterアカウントが3つの形式(引用のみ、引用+主要な図、引用+visual abstract)で、2週間あけてランダムな順に投稿。visual abstract付きの投稿の平均閲覧数は1351(SD 1053)で、引用のみの639(SD 343)、主要な図の732(SD 464)より多く、Altmetricスコアの増加も引用のみの1.05に対して2.20でした。限界:1誌・1つのSNS・短期の注目度です。
- Aggarwal(2021)[文献2]:JAMA、BMJ、NEJMの原著論文307本(2018年7月〜2019年1月、うちSNSでvisual abstractを使った論文69本、使わなかった論文238本)の後ろ向きコホート研究。調整後の解析で、Altmetricスコア(p = 0.37)とページビュー(p = 0.44)に有意差はなく、Web of Scienceの被引用数は対照群のほうが有意に多い結果でした(p = 0.028)。著者は、visual abstractは研究の普及に有効でない可能性があると結論しています。
- Pferschy-Wenzig ら(2016)[文献3]:Molecules誌に2014年3月〜2015年3月に掲載された1326本(graphical abstractあり566本、なし760本)の比較。graphical abstractのない論文のほうが、PDFダウンロード数・アブストラクト閲覧数・総被引用数で有意に良い結果でした。著者らは、graphical abstractを使うのが若手研究者に偏る可能性や、著名な研究者の論文がもともとよく読まれる可能性など、いくつかの説明を挙げ、さらなる研究が必要としています。観察的な比較であり、graphical abstractが被引用数を下げることを示すものではありません。なお、PubMed上の文献種別はEditorialです。
- Cerdeñaら(2023)[文献4]:Journal of Internal Medicineのgraphical abstract Galleryの140点の内容分析で、男性(59.5%)と肌の色が薄い人物(91.3%)が多く描かれ、遺伝的要因が過度に強調されていました。著者らは、graphical abstractは還元主義とバイアスに陥りやすいと警告しています。単純化は中立ではないので、図が論文の内容に忠実であるよう注意が必要です。
つまり、グラフィカルアブストラクトは、一部のジャーナルが求めるコミュニケーションの道具であり、それだけで被引用数が増えると期待するのは適切ではありません。
4. 設計の原則|どの原則がどの出典に基づくか
| 原則 | 根拠 | 本記事の作例での適用 |
|---|---|---|
| メッセージは1つ | Cell Press:主な発見をひと目で示す。先行研究の細部ではなく、新しい発見を強調する | 問い1つと結果1つ(+15.5) |
| 読む順番を明確に | Elsevier:始まりと終わりが明確で、上から下または左から右。Cell Pressも同様 | 問い → データ → 結果。矢印で左から右へ |
| 文字は最小限で、十分な大きさに | Cell Press(ラベルは簡潔に、文字は控えめに)、ACS(文字は最小限、掲載サイズで読める)、Elsevier(高さ200ピクセルの枠でも読める大きさ) | 文字は短い語句のみ。幅640ピクセルに縮小して読めることを確認 |
| 専門用語を避ける | Cell Press | メインの文言では「歯の長さ」と書き、専門用語は使わない |
| 余白を無駄にしない | Elsevier(余白を無駄に取らない)、Cell Press編集部(白い枠や余白が最も多い失敗) | キャンバスは作品の大きさそのまま |
| 色だけに頼らない・赤と緑を避ける・直接ラベルを書く | Okabe と Ito のColor Universal Designのページ | 青と朱色に加え形も使い、値を点のそばに記載。凡例なし |
| 本文の図とは別のものにする | Cell Press | 結果の図のコピーではなく、要約として作る |
| 忠実に、単純化しすぎない | Cerdeña ら[文献4] | 平均だけでなく動物1匹ごとの点をすべて表示 |
| ジャーナルの文字規則を守る | ElsevierとCell Pressのページ | 画像内に「graphical abstract」という見出しを入れない |
色について。Okabe と Ito のページ(2026年10月7日に確認)には、「赤と緑」の色覚特性をもつ男性が、白人で8%、アジア人で5%(20人に1人)いるとあります。色の違いと形の違いの両方で示すこと、別の凡例を置かずグラフ上に直接ラベルを書くこと、(蛍光顕微鏡画像の例で特に強調されていますが)赤と緑の組合せを避けることが推奨され、提案されているパレットでは赤の代わりに朱色(vermilion)、緑の代わりに青緑(bluish green)が使われています。詳しくは科学的図のアクセシビリティをご覧ください。
5. 作例|実データでグラフィカルアブストラクトを作る
データ。Rの datasets::ToothGrowth(R 4.3.3)を使います。モルモット60匹の歯の成長に関わる細胞(odontoblast)の長さで、ビタミンCを3段階の用量(0.5、1、2 mg/日)で、オレンジジュースまたはアスコルビン酸のどちらかで与えた実験です。各組合せ10匹です(Rのドキュメント。出典はBliss 1952、参考文献はCrampton 1947)。変数 len は、Rのヘルプでは「Tooth length」とされ、単位の記載はありません。これはデザインの実演であり、研究上の結論ではありません。1947年の実験のデータであり、ここでは用量ごとに2つの与え方をまとめています(1用量あたり20匹)。
先にメッセージを決めます。「ビタミンCの用量が多いほど歯が長かった。2 mg/日は0.5 mg/日より平均で+15.5長い」。何を主な結果として示すかを決めるのは研究者で、デザイナーはそれを読みやすく配置する役割です。
作成の手順は次の6つです。
- メッセージを1文で書く。
- 「問い」「データ」「結果」の3つのブロックに分ける。
- 既定のままの箱ひげ図(図1:ggplot2の既定色、凡例、タイトル、統計量の行、
lenとdoseという軸ラベル)をやめ、動物1匹ごとの点・平均・95% CIの図にして、平均値を点のそばに書く。 - 色を決める。データは青、覚えてほしい数値は朱色、文字は濃紺。
- キャンバスを1328×531ピクセル、300 dpiにする(Elsevierが示す最小サイズ)。拡大縮小が起きないようにし、文字はその大きさで6〜8ポイント。
- 幅640ピクセル程度に縮小して読めるか確認する。
Rの出力(再計算した値)は次のとおりです。
- 用量ごとの平均(各 n = 20):10.605、19.735、26.100。95% CIは8.50〜12.71、17.67〜21.80、24.33〜27.87。
- Welchの2標本t検定、2 mg/日と0.5 mg/日:平均値の差は15.495、95% CIは12.83〜18.16、t = −11.799(0.5 mg/日から2 mg/日を引いた向き)、自由度 = 36.883、p = 4.398e-14。検定の詳細は図には入れていません。グラフィカルアブストラクトには効果の大きさとCIを載せ、詳しい統計は論文本体に書きます。
- 色の確認(colorspaceパッケージ 2.1.2で色覚特性をシミュレーションし、CIELAB色空間での距離を計算):ggplot2の既定の赤F8766Dと緑00BA38は、通常の色覚で116.5、2型色覚(deuteranopia)で13.7、1型色覚(protanopia)で47.2。朱色D55E00と青0072B2は、通常の色覚で114.6、2型色覚で108.3、1型色覚で91.9。あくまでシミュレーションであり、実際の読者による確認の代わりにはなりません。
d <- datasets::ToothGrowth
sapply(c(0.5, 1, 2), function(x) mean(d$len[d$dose == x]))
t(sapply(c(0.5, 1, 2), function(x) t.test(d$len[d$dose == x])$conf.int))
tt <- t.test(len ~ dose, data = subset(d, dose %in% c(0.5, 2)))
dif <- unname(tt$estimate[2] - tt$estimate[1]); dci <- -rev(tt$conf.int)
# 作図: ggplot2 と patchwork で「問い → 矢印 → 点図 → 矢印 → 結果」を並べる(省略)
ggsave("ga.png", p, device = ragg::agg_png, width = 1328, height = 531, units = "px", res = 300)

読み方:色が3色あり、横軸の用量と凡例が同じ情報を二重に示しています。タイトルに「グラフィカルアブストラクト」と入り、統計量の行もあり、何を最初に読むかが決まりません。

読み方:左から右へ「問い → データ → 結果」と読めます。覚えてほしい数値は朱色の「+15.5」だけで、平均値は点のそばに直接書いてあり、凡例はありません。
注意:この作例にはデータの図が入っています。Cell Pressの記事は「データ項目は入れない」「正方形」としているため、Cell Pressへの投稿なら、模式図に描き直す必要があります。また、1328×531ピクセルはElsevierが示す最小サイズに合わせた寸法であり、特定のジャーナルの確認に通るとは限りません。
6. ツール|何で作るか
ツール選びは、投稿先が受け付ける形式で決まります。Elsevierのページは推奨形式にMS Officeファイルを含め、ページ内でテンプレートも案内しています。一方、Cell Pressの記事はPowerPointを受け付けないとしているため、TIFF・PDF・JPGで書き出します。データの部分はRのggplot2などで作り、スライド用ソフトやベクター編集ソフトで配置する方法があります。アイコン素材やテンプレートは、論文への掲載に使えるライセンスかどうかを確認してください。生成AIを使う場合は、Elsevierのページに「生成AIのポリシーに沿うこと」とあります。詳しくは学術論文執筆におけるAI活用をご覧ください。
7. 転載した図の著作権と許可
- Elsevierのページ:第三者が権利を持つ素材をグラフィカルアブストラクトに含める場合は、許可を得ること。
- ACSのブログ:クリップアートやネット上の画像は通常は著作権者の許可が必要。既発表の図をそのまま、または少し改変して使う場合は、キャプションに転載・改変であることを明記し、著作権者が求めるなら許可を得る。新しい図と言えるほど大きく描き直した場合は、通常は許可が不要。(ACSのガイドに対するブログの要約であり、法的助言ではありません。)
- ご自身の未発表の図:許可は不要ですが、共著者や研究費の方針を確認してください。すでに発表した図の再利用は論文の図の著作権と許可申請をご覧ください。
8. 提出前チェックリスト
- 投稿先のページを読み、サイズ・形・ファイル形式を合わせた。
- メッセージを1文で書けている。
- 読む順番が一目で分かる。
- 文字は最小限で、専門用語がなく、画像内に「graphical abstract」の見出しがない。
- 幅640ピクセル程度に縮小しても読める。
- 色だけで区別しておらず、赤と緑の組合せがない。
- 本文の図のコピーではない。
- 数値が論文本体と一致している。
- 転載した要素すべての許可を確認した。生成AIはポリシーに沿っている。
- 共著者が、メッセージの内容を確認した。
グラフィカルアブストラクトの制作をご希望の方へ
何を主な結果として示すかは研究者の判断です。Editverse Japanは、その内容を読みやすく配置し、投稿先ジャーナルのサイズ・形式に合わせる作業を支援します。グラフィカルアブストラクト作成(24,800円)の商品ページには、ヒアリング、デザイン案、制作、修正2回まで、TIFFとPNG/JPGでの納品、通常5営業日で初稿、と記載しています。本文の図表は論文図表作成(14,800円)もご利用いただけます。採否はジャーナルが判断します。
まとめ
- 先に投稿先を決め、そのジャーナルの投稿規程のページで仕様を確認する。ElsevierとCell Pressでは形もデータの扱いも異なる。
- メッセージは1つ。読む順番を明確にし、文字は最小限にする。
- 色だけに頼らない。赤と緑の組合せを避け、値は直接書く。
- 他の出典の素材は許可を確認する。生成AIはポリシーに沿う。
- 効果を調べた研究の結果は一様ではない。被引用数が増えると期待せず、読者への伝わりやすさのために作る。
公費・研究費でのお支払い
科研費・AMED・JSTなどの公的研究費でのお支払いに対応しています。見積書・納品書・請求書の発行については公費・研究費でのお支払いを、ご相談は無料見積もり・お問い合わせをご覧ください。
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よくある質問
グラフィカルアブストラクトは必須ですか。
ジャーナルによります。Elsevierのページは、グラフィカルアブストラクトまたはビジュアルアブストラクトの提出を求めるジャーナルが増えていると述べています。必須かどうか、仕様はどうかは、投稿先ジャーナルの投稿規程で確認してください。
Highlightsとの違いは何ですか。
Highlightsは、成果を3〜5個の短い箇条書き(1つ85文字以内、Elsevierの場合)にした文章で、検索での見つかりやすさのためのものです。グラフィカルアブストラクトは画像です。Cell Pressの記事は、Highlightsを画像の中に入れないよう求めています。
論文の結果の図をそのまま使ってよいですか。
Elsevierのページには、論文の最後の図を使う著者もいるが、専用に作る著者が増えていると書かれています。Cell Pressの記事は、本文中の図とは別のものにするよう求めています。すでに発表した図の再利用には、著作権と許可の確認が必要です。
サイズはどれくらいですか。
ジャーナルによって異なります。Elsevierのページは1328×531ピクセル以上(300 dpi以上)、Cell Pressの記事は1200ピクセル四方(300 dpi)としています。必ず投稿先の最新の投稿規程を確認してください。
被引用数は増えますか。
研究の結果は一様ではありません。SNSでの閲覧数が増えたとする研究がある一方、JAMA・BMJ・NEJMの後ろ向き研究では被引用数に差がないか、対照群のほうが多い結果でした。被引用数が増えるとは言えません。
PowerPointで作ってもよいですか。
ジャーナルによります。Elsevierのページは推奨形式にMS Officeファイルを含めていますが、Cell Pressの記事はPowerPointを受け付けないとしています。
参考資料
査読付き論文(PubMed/Crossrefで確認)
- Oska S, Lerma E, Topf J. A Picture Is Worth a Thousand Views: A Triple Crossover Trial of Visual Abstracts to Examine Their Impact on Research Dissemination. J Med Internet Res. 2020 Dec 4;22(12):e22327. doi: 10.2196/22327. PMID: 33275112.
- Aggarwal V. Visual abstracts do not increase some impact scores more than conventional abstracts of clinical research: A retrospective cohort study. Health Info Libr J. 2021;38(4):259-267. doi: 10.1111/hir.12376. PMID: 34192421.(アブストラクトを確認)
- Pferschy-Wenzig EM, Pferschy U, Wang D, Mocan A, Atanasov AG. Does a Graphical Abstract Bring More Visibility to Your Paper? Molecules. 2016 Sep 18;21(9):1247. doi: 10.3390/molecules21091247. PMID: 27649137.(CC BY 4.0。本文を確認)
- Cerdeña JP, Tsai JW, Warpinski C, Rosencrans RF, Gravlee CC. Racial, Gender, and Size Bias in a Medical Graphical Abstract Gallery: A Content Analysis. Health Equity. 2023;7(1):631-643. doi: 10.1089/heq.2023.0026. PMID: 37786527.(アブストラクトを確認)
- Oliverio M, Wright DE. The art of the graphical abstract: a visual approach to scientific storytelling. FEBS Lett. 2025;599(24):3549-3562. doi: 10.1002/1873-3468.70163. PMID: 40959865.(アブストラクトのみ確認。設計原則・色・文字の使い方を扱う解説として紹介)
出版社・団体のページ・データ(すべて2026年10月7日に確認)
- Elsevier. Graphical abstract in Elsevier journals:elsevier.com
- Elsevier. Highlights of journal articles:elsevier.com
- Tompsen A. Attract readers at a glance with your Graphical Abstract. Cell Press CrossTalk, 2018年4月4日(2018年9月10日編集):crosstalk.cell.com
- Lv G, Lu E. Mastering Scholarly Communication – Part 6: Graphics and Tables. ACS Publications Chemistry Blog(Axial), 2021年5月25日:axial.acs.org
- Okabe M, Ito K. Color Universal Design (CUD): How to make figures and presentations that are friendly to colorblind people. J-Fly(2002年、2008年改訂):jfly.uni-koeln.de/color
- R Core Team.
ToothGrowthのRヘルプ(datasetsパッケージ、R 4.3.3。出典:Bliss CI. The Statistics of Bioassay. Academic Press; 1952。参考:Crampton EW. J Nutr. 1947;33(5):491-504. doi: 10.1093/jn/33.5.491)。colorspaceパッケージ 2.1.2。