論文の序論の書き方|背景・ギャップ・目的文と実在2論文の分析
論文の序論(Introduction)の役割は、読者がすでに受け入れている分野の知識から出発して、あなたの論文が答える1つの具体的な問いまで案内することです。実際の作業は3つの動き(分野の説明、ギャップ、目的)で、中でも最も重要なのは最後の「目的または仮説」の1文です。この記事では、オープンアクセスで公開されている実在のPLOS ONE論文2本の序論(どちらも3段落、367語と310語)を1文ずつ分解し、引用の選び方、長さ、よくある失敗について、公開されているガイダンスが何を述べているかを整理します。
本記事が扱うのは、原著論文の序論だけです。論文全体を書く順番は論文の書き方|IMRaD構成と「書く順番」、英語の定型表現は学術英語表現集、抄録はアブストラクトの書き方をご覧ください。
1. 序論が果たす役割
本記事の作成にあたり全文を確認した3つの資料は、序論の役割をほぼ同じ内容で述べています。
| 資料 | 序論の役割として述べていること |
|---|---|
| ICMJE勧告(2026年10月7日閲覧) | 研究の背景(問題の性質とその重要性)を示す。研究の具体的な目的、または検証する仮説を述べる。直接関係のある文献だけを引用する。報告する研究自体のデータや結論は含めない |
| Mensh と Kording(2017) | 知識や方法のギャップと、それがなぜ重要かを示す。段落を追うごとに具体的になり、文献に欠けているものの提示で終わり、続く最後の段落でギャップを埋めるために論文が何をするかを述べる。広範な文献レビューにはしない |
| Bahadoran ら(2018) | 一般的な文脈、知識のギャップ、目的または仮説(場合によってはアプローチ)へと狭まる漏斗(ファネル)型。仮説検証型の論文では通常2〜3段落、時に4段落(他の資料の要約として記載) |
ご自身の原稿に当てはめるときの要点は2つです。
- すべての文は、ギャップに向かう役割で選びます。 Mensh と Kording は、最後の段落を除く各段落を「ギャップを組み立てるための段落」と説明しています。まず読者に話題を示し、次にわかっていること(既知)を述べ、最後に論文の価値を決める「わかっていないこと(未知)」に着地します。
- 読者がギャップを指さして示せるようにします。 共著者に「欠けているものを述べた1文に線を引いてください」と頼んで引けなければ、序論はまだ完成していません。
2. SwalesのCARSモデル(公開されている資料に基づく整理)
研究論文の序論について最もよく知られているモデルは、John Swales の「Create a Research Space(CARS)」モデルです。Swales 自身の著書(Genre Analysis, 1990)はオープンアクセスではなく、本記事の作成では閲覧していません。以下は、このモデルを説明している4本のオープンアクセス文献(Yakhontova 2021、Drake と Han 2025、Bahadoran ら 2018、Alanazi と Alqarni 2022)の整理に基づきます。ムーブとステップの名称は、これらの文献による要約であり、Swales の直接引用ではありません。
| ムーブ | 機能 | 典型的なステップ(各文献の要約による) |
|---|---|---|
| 1. 領域の確立(Establish a territory) | 分野の重要性と、すでにわかっていることを示す | 重要性の主張、話題の一般化、先行研究のレビュー |
| 2. ニッチの確立(Establish a niche) | 既存研究が不十分な箇所を示す | 反論的な主張、ギャップの指摘、問いの提起、(1990年版では)既存研究の流れを継ぐこと |
| 3. ニッチを占める(Occupy the niche) | この論文が何をするかを述べる | 目的の提示、または研究内容の記述(2004年の改訂版では、これが唯一の必須ステップ)。任意で、主要な知見の告知、研究の価値、論文の構成の説明 |
このモデルを使う前に、知っておきたい点が3つあります。
- モデルは改訂されています。 Alanazi と Alqarni は、2004年の改訂について、ステップの名称が整理され、引用はムーブ1だけでなくムーブ2・3にも現れうること、ムーブ3の必須ステップが「現在の研究の告知(記述的、または目的としての)」だけであることをまとめています。
- ムーブは「文」ではなく「機能」の単位です。 1つのムーブは、1つの節、1文、または複数の文で表されます。そのため、実在の序論をムーブに分ける作業には、必ず判断が入ります。
- モデルは法則ではなく、記述です。 Yakhontova は、Swales がこのモデルを「大きな分野」「大きな言語」の研究を主に反映したものと述べていると引用しており、英語圏の研究論文で特に当てはまる型だと説明しています。また Alanazi と Alqarni は、言語学の論文502本の冒頭1文の分析で、モデルの予測に反して、序論の書き出しがムーブ2または3の文である例が一定数あったと報告しています。ムーブは、論理を点検するためのチェックリストとして使い、埋めるだけの雛形としては使わないでください。
3. 実例:実在する2本の序論を1文ずつ数える
データ: PLOS ONE(2024年)に掲載された研究論文2本の序論です。どちらもライセンスはCC BY 4.0で、全文は2026年10月7日にEurope PMCから取得しました。
- 論文A: Song Y, et al. 中国の高齢者における昼寝の時間、夜間睡眠とうつ(横断研究). PLoS One 2024;19(6):e0302939. PMID 38843237、PMCID PMC11156306。
- 論文B: Kirk D, et al. オランダの大規模コホートにおける食事の質と全死亡の関連. PLoS One 2024;19(8):e0302905. PMID 39178206、PMCID PMC11343414。
この2本は、オープンに利用でき、見出しが「Introduction」で、全体を分析できる短さだったために選びました。PLOS ONEや特定の分野を代表するサンプルではなく、あくまで2つの例です。論文の質を評価する意図はありません。
方法: 序論の段落をXMLから取り出し、引用番号を除いて、Rの正規表現で文に分割し、空白区切りのトークン数を語数としました。各文は、Editverseの編集者がCARSのムーブに割り当てています(判断を含み、ムーブ間の境界には議論の余地があります)。引用の数は、XMLの参照タグから数えました。語数はPythonで独立に再計算し、完全に一致しました。
# R 4.3.3; stringr 1.6.0. paras = 序論の段落(引用番号は除去済み)
library(stringr)
sent <- unlist(lapply(paras, function(p) str_split(p, "(?<=[.!?])\\s+(?=[A-Z])")[[1]]))
words <- str_count(sent, "\\S+") # 1文あたりの語数
# move = 編集者によるコーディング(1 = 領域、2 = ニッチ、3 = ニッチを占める)
tapply(words, move, sum)
出力(Rセッションの結果):
| 論文A(昼寝とうつ) | 論文B(食事の質と死亡) | |
|---|---|---|
| 段落数 / 文数 / 語数 | 3 / 20 / 367 | 3 / 12 / 310 |
| 1文あたりの平均語数 | 18.35 | 25.83 |
| ムーブ1(領域):文数 / 語数 / 割合 | 13 / 241 / 65.7% | 5 / 92 / 29.7% |
| ムーブ2(ニッチ):文数 / 語数 / 割合 | 5 / 79 / 21.5% | 4 / 144 / 46.5% |
| ムーブ3(ニッチを占める):文数 / 語数 / 割合 | 2 / 47 / 12.8% | 3 / 74 / 23.9% |
| 引用の箇所数(すべて異なる文献) | 20 | 6 |
| ムーブ1 / 2 / 3 の引用箇所数 | 16 / 4 / 0 | 4 / 2 / 0 |
| 100語あたりの引用箇所数 | 5.45 | 1.94 |
| 「However」で始まる文 | 2文(20語と11語)、どちらもムーブ2 | 1文(9語)、ムーブ2 |
| 序論〜結論の各セクションの本文段落に占める序論の割合※ | 約13%(約2,830語のうち367語) | 約7%(約4,170語のうち310語) |
※本文の段落のみを対象とし、表、図、参考文献、抄録は除きました。2通りの独立した方法(XMLのツリー走査と正規表現)で、序論の語数は完全に一致し(367語と310語)、各セクションの合計は0.3%以内で一致したため、割合は丸めて示しています。

読み方: どちらの論文でも、ギャップは「However」で始まる短い文(9〜20語)で述べられ、引用のない最後の段落が目的です。一方で、領域とニッチの語数の配分は大きく違います(ムーブ1の割合は66%と30%)。
この結果の読み方
- 構造は同じでも、配分は同じではありません。 論文Aは語数の3分の2を領域の説明に、5分の1をニッチに使っています。論文Bは領域に3分の1未満しか使わず、ニッチにほぼ半分を使っています。ギャップを述べる前に、自分たちの指標がなぜ死亡を予測するはずなのかという根拠を組み立てているためです。どちらも3段落の漏斗型です。モデルが決めているのは機能の順序であり、その重みではありません。
- ギャップは、見つけられる位置に、はっきりと述べられています。 論文Aのギャップの文(「However, no studies have focused on …」)は20文中の14文目、論文Bの文(「However, this is yet to have been …」)は12文中の8文目です。読者はどちらも指さして示せます。
- 最後の段落には、どちらの論文も引用がありません。 目的の段落は、この研究が何をするかを述べるので、引用する対象がないためです。論文Aは2文、論文Bは3文で、データの出所と副次的な目的が加わっています。
- 公刊された論文でも、長い文は珍しくありません。 30語を超える文は、論文Aで20文中1文(38語)、論文Bで12文中3文(48語、44語、43語)でした。Bahadoran らが紹介する総説は、科学の文を25〜30語程度に収めるよう提案しています。これは読みやすさの目安であり、規則ではありません。
- 数えることは、品質管理ではありません。 論文Aの引用20箇所と論文Bの6箇所は、密度に幅があることを示しますが、正しい数があると述べる資料はありません(第4節)。
4. 序論で何を引用するか
資料が述べていることを整理します。
| ガイダンス | 出典 |
|---|---|
| 直接関係のある文献だけを引用する | ICMJE |
| 序論の引用数は最小限にする。トピックの全証拠を網羅しようとすると、読者が混乱し、目的が埋もれる | Bahadoran ら(他資料の要約として) |
| 可能なら総説よりも原著論文を選ぶ。最も重要で、最も関連が深く、新しい文献を選ぶ。古くても影響力のある文献は使ってよい | Bahadoran ら |
| 読んでいない文献は引用しない。原典を引用する | Bahadoran ら |
| DNAの二重らせん構造のような広く認められた事実には引用が不要 | Bahadoran ら |
| 重要な論文の見落としと、新規性の誇張は、「未知」の部分の落とし穴として挙げられている | Bahadoran ら |
| 序論は、論文の動機づけを超える広範な文献レビューを含めない | Mensh と Kording |
Editverseの編集上の助言(ジャーナルやICMJEの規則ではありません):
- 引用の大半は、領域ではなく、ギャップに使います。 読者に信じてもらうべき点は2つです。話題が重要であること(強く新しい少数の文献)と、ギャップが実在すること(最も近い研究と、それが行っていないこと)です。
- 「先行研究はない」と書くなら、検索の経過を示せるようにします。 データベース、検索語、日付を記録しておくと、投稿前に主張を確認でき、後の検索で研究が見つかった場合には修正できます。
- 自分の結果を、序論の根拠として前出ししないでください。 ICMJEは、報告する研究のデータや結論を含めないよう求めています。
- 自分の過去の文章(学位論文や以前の論文など)の再利用には注意が必要です。自己剽窃とテキストリサイクリングをご覧ください。
- 網羅的な文献レビューは、総説や学位論文の章に置きます。 ジャーナル論文の序論には置きません。文献レビュー執筆支援|どこまで依頼してよいかと修士論文を英語で書くもご覧ください。
- 文献リストの書式は、参考文献・引用の書き方で扱っています。
5. 最後の段落:目的または仮説の文
Bahadoran らは、問いや仮説を漏斗の先端に置き、通常は序論の最後の段落の最後の文に置くとしています。また、主な目的と副次的な目的は明確にし、できれば2文以内にとどめるとしています。さらに、問いを明確に述べることができないことが、原稿が却下される最も多い理由だと述べています(彼らが要約した資料の1つによる二次的な記述で、原典は確認していません)。
実在する2本の論文の目的文(引用は書き出しの短い部分のみ):
| 論文 | 目的の文 | 含まれている要素 |
|---|---|---|
| A | 「The purpose of this study was to explore …」 | 曝露(昼寝の時間、夜間睡眠の時間)、アウトカム(うつ)、対象(高齢者)。2文目で実際の使い道を述べている |
| B | 「The current study aims to investigate …」 | 曝露(指標で数値化した食事の質)、アウトカム(全死亡)。2文目でデータの出所(コホート)、3文目で副次的な目的を述べている |
どちらの論文も、数値の結果を述べていません。これはICMJEの指示に沿っています。ただし、すべての資料が一致しているわけではありません。Mensh と Kording は、最後の段落でギャップを埋める結果を簡潔にまとめることを勧めています。Bahadoran らは、主要な知見で序論を終える著者もいれば、それに反対する意見もあると述べています。実際的な対応は、投稿先ジャーナルの投稿規程と、最近の掲載論文を確認することです(投稿規程の読み方)。
目的文のための、Editverseの編集上のチェックリスト:
- 対象(または系)、曝露または介入、アウトカムが入っており、Methodsと抄録で使う語と同じ語になっている。
- ギャップの文から導かれている。この2文だけを読んだ人にも、なぜこの研究なのかがわかる。
- 仮説検証型なら、データを述べる前に仮説を述べている。探索的なら、そのことを明記する(「explore」は誠実な動詞であり、「prove」はそうではありません)。
- 登録やプロトコルがある場合は、主要アウトカムの書き方と一致している。
- 考察がそれに答えている。目的文と、考察の最初の段落を、あわせて下書きする。
6. 序論の長さの目安
Bahadoran らが紹介する資料は、規則ではなく幅を示しています。序論は一般に短くし、250〜300語程度で通常は十分で、時に500〜600語まで。抄録と参考文献を除く原稿全体の10〜15%以内とする資料もあります。どちらも、彼らの文献レビューによる二次的な数値です。
この目安と比べると、実在の2論文の序論は367語と310語で、序論から結論までの各セクションの本文段落に占める割合は、約13%と約7%でした(第3節)。2本の論文では標準は決まりませんし、ジャーナルの上限も違うため、基準になるのは投稿先ジャーナルです。削る、あるいは増やす前に、語数の上限と最近の掲載論文を確認してください。長さそのものが判断基準ではなく、各段落が読者をギャップと目的に近づけているかどうかが基準です。
7. よくある失敗
Bahadoran らは、自分たちの文献レビューから8つの落とし穴を挙げています。一般情報が多すぎる、先行研究の詳細に踏み込む、引用が多すぎる、最近の研究を過度に批判する、研究の結論を提示する、他のセクションとの不一致、考察との重複、最も関連の深い論文を挙げていない、の8つです。Editverseの編集の経験から、次を付け加えます(編集上の助言)。
- 文献レビューのような序論。 漏斗が狭まりません。対処:ギャップの文を最初に書き、そこにつながらない内容を削除します。
- 実は「方法」にすぎないギャップ。 「X技術を使った研究はない」は、Xが分野の関心事への答えを変えうるときにだけギャップになります。
- Methodsと合っていない目的。 目的では「関連」と書きながら、Methodsは予測モデルを報告している例です。査読者は気づきます。
- 研究室が行った順番で序論を組み立てること。 読者の論理ではなく、自分たちの経緯の順になってしまいます。
- 新規性の誇張。 「初めての研究」という主張は危険です(上記のBahadoranらの落とし穴を参照)。何が新しいのかを、正確に述べるほうが適切です。
- 論理を隠してしまう言語の問題。 節が長く連なると、ギャップが埋もれます。時制は研究論文における時制、簡潔さは簡潔な学術文章をご覧ください。
8. 次の章に進む前の1ページのチェックリスト
- ギャップを述べた1文に、線を引けるか。
- 最後の段落より前の、すべての段落が、その文に向かっているか。
- 引用は、直接関係があり、自分が読んだ文献で、ギャップに集中しているか。
- 最後の段落は、投稿先ジャーナルが求める場合を除き、結果を報告せずに目的(と必要なら研究デザイン)を述べているか。
- 目的の文、抄録、Methodsが、同じ用語を使っているか。
- 長さは、投稿先ジャーナルの上限内か。
- 自分、または共著者が声に出して読み、一般から具体へと論理が進むことを確認したか。
投稿前に、序論の「もう1人の読み手」が必要な方へ
Editverse Japanの原著論文執筆支援では、構成の立案、Introductionから結論までの執筆支援、英文校正を、3つのプラン(ベーシック128,000円、アドバンス198,000円、プレミアム268,000円、いずれも原稿1本あたり、初稿の納期は通常4〜6週間)でご提供しています。主張するギャップ、述べる目的、導く結論は研究者ご自身のものです。私たちは構成、文献の位置づけ、英語の面でサポートします。本サービスはアクセプトを保証するものではなく、採否は各ジャーナルが判断します。
原稿がすでにあり、英語を確認したい場合は、医学論文英文校正(24,800円、通常3〜5営業日で納品)をご検討ください。
まとめ
- 序論は、分野からギャップへ、そしてあなたの目的へと進みます。SwalesのCARSモデルはこの3つの動きに名前を付けたもので、雛形ではなく、論理を点検するチェックリストとして使うのが適切です。
- 実在するPLOS ONEの序論2本(367語と310語、どちらも3段落)では、ギャップは「However」で始まる短い1文、目的の段落には引用がなく、領域のムーブが占める語数の割合は66%から30%まで違いました。
- 引用は、直接関係があり、自分が読んだものに限り、ギャップに集中させます。
- 目的は1〜2文で、Methodsと同じ用語で述べます。ジャーナルが求める場合を除き、結果は報告しません。
- 長さの目安は二次的で幅があります(通常250〜300語、最大600語程度)。投稿先ジャーナルに従ってください。
公費・研究費でのお支払い
見積書・納品書・請求書の発行に対応しています。詳細は公費・研究費でのお支払いをご覧ください。ご相談・お見積もりはお問い合わせからどうぞ。
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よくある質問
Q1. 序論はどんな要素で構成されますか?
Bahadoran らが説明する漏斗モデルでは、一般的な文脈とその重要性、知識のギャップ、目的または仮説(場合によってはアプローチも)です。SwalesのCARSモデルも同じ3つの機能に名前を付けています。領域の確立、ニッチの確立、ニッチを占めること、の3つです。
Q2. CARSモデルとは何ですか?
「Create a Research Space(研究の空間をつくる)」の略で、John Swales が提案した、研究論文の序論の3つのムーブからなるモデルです。2004年に改訂されました。主に英語圏の研究論文の慣行を記述したもので、要件ではありません。
Q3. 序論の長さはどれくらいが適切ですか?
決まった数値はありません。Bahadoran らが紹介する資料では、250〜300語程度で通常は十分とされ、時に500〜600語です。今回分析したPLOS ONEの2論文は367語と310語でした。投稿先ジャーナルの上限と、最近の掲載論文に従ってください。
Q4. 序論に結果を書いてもよいですか?
ICMJEは、報告する研究のデータや結論を序論に含めないよう求めています。一方で、最後に結果の短い要約を勧める執筆ガイドもあります(Mensh と Kording)。投稿先ジャーナルの方針を確認してください。
Q5. 序論の参考文献は何件が適切ですか?
決まった件数はありません。ICMJEは直接関係のある文献だけを求めています。今回の実在の2論文は、序論でそれぞれ20件と6件(いずれも異なる文献)を引用しています。件数より、関連性と質が重要です。
参考資料
- Bahadoran Z, Jeddi S, Mirmiran P, Ghasemi A. The Principles of Biomedical Scientific Writing: Introduction. Int J Endocrinol Metab. 2018 Oct;16(4):e84795. doi:10.5812/ijem.84795. PMID: 30464776. PMC6218661(全文を確認、CC BY-NC)。
- Mensh B, Kording K. Ten simple rules for structuring papers. PLoS Comput Biol. 2017 Sep 13;13(9):e1005619. doi:10.1371/journal.pcbi.1005619. PMID: 28957311. PMC5619685(全文を確認、CC BY 4.0)。
- Yakhontova T. What Nonnative Authors Should Know When Writing Research Articles in English. J Korean Med Sci. 2021 Sep 6;36(35):e237. doi:10.3346/jkms.2021.36.e237. PMID: 34490755. PMC8422042(全文を確認、CC BY-NC)。
- Drake JM, Han BA. How to write a scientific paper in fifteen steps. PLoS Comput Biol. 2025 Sep;21(9):e1013505. doi:10.1371/journal.pcbi.1013505. PMID: 40991585. PMC12459795(全文を確認、CC BY 4.0)。
- Alanazi M, Alqarni M. The very first sentence in research article introductions: A rhetoric comparative approach. Heliyon. 2022 Aug 8;8(8):e10241. doi:10.1016/j.heliyon.2022.e10241. PMID: 36046533. PMC9421402(全文を確認、CC BY-NC-ND)。
- Fried T, Foltz C, Lendner M, Vaccaro AR. How to Write an Effective Introduction. Clin Spine Surg. 2019 Apr;32(3):111-112. doi:10.1097/BSD.0000000000000714. PMID: 30234565.(抄録のみ確認。効果的な序論が関連研究を土台にギャップを示し研究課題を提示する、という記述にのみ使用。)
- 分析した論文A:Song Y, Liu H, Liu Y, et al. The association between nap time, nighttime sleep and depression in Chinese older adults: A cross-sectional study. PLoS One. 2024;19(6):e0302939. doi:10.1371/journal.pone.0302939. PMID: 38843237. PMC11156306(CC BY 4.0)。
- 分析した論文B:Kirk D, Baart AM, McLean J, et al. Association between diet quality and all-cause mortality in a large Dutch cohort. PLoS One. 2024;19(8):e0302905. doi:10.1371/journal.pone.0302905. PMID: 39178206. PMC11343414(CC BY 4.0)。
- ICMJE. Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals:Preparing a manuscript for submission to a medical journal(「Introduction」の項). https://www.icmje.org/recommendations/browse/manuscript-preparation/preparing-for-submission.html(2026年10月7日閲覧)。
- Europe PMC REST API(全文XML、2026年10月7日取得):PMC11156306、PMC11343414。
- Swales JM. Genre Analysis: English in Academic and Research Settings. Cambridge University Press; 1990、および Swales JM. Research Genres. Cambridge University Press; 2004。いずれも本記事の作成では閲覧しておらず、上記のBahadoranら、Yakhontova、Drakeと Han、Alanazi と Alqarni が説明するCARSモデルの原典として挙げています。
- R Core Team. R 4.3.3; ggplot2 4.0.3; stringr 1.6.0。