PubMedで、MeSH「Retrospective Studies」の論文数は2000年の13,869件から2025年の107,237件へ、題名・抄録に「retrospective」を含む論文数は7,486件から118,277件へ増え、全収載件数に占める割合は2025年にそれぞれ5.7%と6.3%

後ろ向き研究の論文の書き方|Methods・倫理審査・限界

後ろ向き研究(retrospective study)の論文では、読者から見えない3つの点を、Methodsで示す必要があります。データがどこから来て誰が含まれていたのか、計画されていないデータ収集のもとで曝露とアウトカムをどう定義したのか、そして日本の指針に沿って倫理審査を経たのか、の3点です。別の研究者が本文だけでデータセットを再現できるようにMethodsを書き、倫理面の経路(審査を行った機関、同意の免除かオプトアウトか)を1文で正確に述べ、選択バイアス・情報バイアス・交絡を限界の項に名前を挙げて書いてください。本記事では、E-utilitiesで取得したPubMedの年別件数と、CC BYで公開されている2026年の日本のレジストリ研究のMethodsという、2つの実在の資料を使って各部分を説明します。STROBEのチェックリストそのものは【完全ガイド】STROBE声明で観察研究を正しく報告する方法に譲り、ここでは繰り返しません。

1. 後ろ向き研究とは何か

後ろ向き研究とは、研究以外の目的で記録された既存のデータを使う研究です(Hess, 2004)。後ろ向きの症例対照研究では、症例と対照を特定したうえで、過去にさかのぼって曝露を比較します(Hess, 2004)。この論理を共有する3つのデザインは、いずれもSTROBEの対象です。STROBEは22項目からなり、そのうち18項目はコホート研究・症例対照研究・横断研究に共通します(von Elm ら, 2007)。

デザイン 特徴 論文で明確にすること
後ろ向きコホート研究 研究開始時点で、曝露もアウトカムもすでに記録されている。曝露でグループを分ける 記録の出どころ、期間、対象者の条件、記録から曝露とアウトカムをどう特定したか
症例対照研究 アウトカムで対象者を選ぶ(症例と対照)。過去の曝露を比べる 症例の定義、対照の選び方、曝露を誰がどう確認したか
診療録調査・症例集積 記録から情報を抜き出して、集団や診療を記述する 誰が、どの様式と研修で抽出し、一貫性をどう確かめたか(Vassar と Holzmann, 2013)
前向きレジストリの後ろ向き解析 データは前向きに集められたが、この研究課題の解析は後から行う 両方を書く。レジストリは前向きで、この解析は後ろ向きである、と
前向きコホート研究、後ろ向きコホート研究、症例対照研究について、研究を始める時点に対して曝露とアウトカムがどの時期にあるかを示す概念図(数値データなし)
図1. 研究を始める時点に対する、曝露とアウトカムの時間関係(概念図。数値データはありません)© editverse.com

読み方:後ろ向きコホート研究では、曝露もアウトカムも研究開始前に記録済みで、研究者は記録を読んで解析します。前向きコホート研究では、曝露の測定から始めます。

日本では、似ているが別物の用語が2つあります。倫理指針は「後ろ向き」という語を使いません。指針は「既存試料・情報」を、研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報、または計画書の作成以降に取得されたもので取得の時点ではこの研究に用いることを目的としていなかったもの、と定義しています(指針 第2⑺)。また厚生労働省・文部科学省のガイダンスは、治療を研究目的で制御せずに転帰などを収集する研究は、前向きに行う場合も含めて、介入を伴わない研究(観察研究)と判断してよいとしています。つまり「後ろ向き」は時間の流れを表す言葉で、倫理手続を決めるのは「既存情報」と「観察研究」という区分です。この3つの言葉は、区別して正確に書いてください。

2. 実データで見る:PubMedに後ろ向き研究はどれくらいあるか

自分の論文が加わる文献の中に、このような研究がすでに非常に多く含まれています。規模を確かめるため、2通りの検索でPubMedの年別件数を数えました。取得日は2026年10月7日(UTC)、PubMed E-utilitiesの esearch、フィールドは [dp](出版日)、対象は2000〜2025年の暦年です。

  • MeSH:"Retrospective Studies"[MeSH Terms] AND {年}[dp]
  • テキストワード:retrospective[tiab] AND {年}[dp]
  • 分母:{年}[dp]
# R 4.3.3; jsonlite
library(jsonlite)
cnt <- function(term) {
  u <- paste0("https://eutils.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/eutils/esearch.fcgi?db=pubmed&retmode=json&rettype=count&term=",
              URLencode(term, reserved = TRUE))
  as.integer(fromJSON(paste(readLines(u, warn = FALSE), collapse = ""))$esearchresult$count)
}
yrs <- 2000:2025
d <- data.frame(year = yrs)
d$mesh <- sapply(yrs, function(y) { Sys.sleep(0.35); cnt(sprintf('"Retrospective Studies"[MeSH Terms] AND %d[dp]', y)) })
d$tiab <- sapply(yrs, function(y) { Sys.sleep(0.35); cnt(sprintf('retrospective[tiab] AND %d[dp]', y)) })
d$all  <- sapply(yrs, function(y) { Sys.sleep(0.35); cnt(sprintf('%d[dp]', y)) })
d$share_mesh <- 100 * d$mesh / d$all
d$share_tiab <- 100 * d$tiab / d$all

Rの実行結果(抜粋):

年 MeSH「Retrospective Studies」 題名・抄録に「retrospective」 PubMed全収載件数 MeSHの割合 テキストワードの割合
2000 13,869 7,486 532,637 2.6% 1.4%
2010 36,564 21,140 942,371 3.9% 2.2%
2020 98,071 72,436 1,641,214 6.0% 4.4%
2021 111,203 86,925 1,787,566 6.2% 4.9%
2024 101,521 96,821 1,739,986 5.8% 5.6%
2025 107,237 118,277 1,881,970 5.7% 6.3%
PubMedで、MeSH「Retrospective Studies」の論文数は2000年の13,869件から2025年の107,237件へ、題名・抄録に「retrospective」を含む論文数は7,486件から118,277件へ増え、全収載件数に占める割合は2025年にそれぞれ5.7%と6.3%
図2. PubMedでMeSH「Retrospective Studies」に該当する年別件数と、題名・抄録に「retrospective」を含む年別件数(2000〜2025年)。件数と、全収載件数に占める割合(データ出典:PubMed E-utilities、2026年10月7日取得)© editverse.com

読み方:題名または抄録に「retrospective」を含むレコードは、2000年の7,486件から2025年の118,277件に増え、その年の全PubMed収載件数に占める割合は1.4%から6.3%になりました。MeSHの系列は2021年に6.2%でピークとなっています。2025年は、テキストワードの件数(118,277件)がMeSHの件数(107,237件)を上回っています。

この集計の限界も、論文で限界を書くときと同じように示しておきます。数えているのは検索でヒットした件数であり、デザインそのものの数ではありません。MeSH用語はレコードの索引付けに左右されます。「retrospective」という語は、研究デザイン以外を述べる文にも現れます。また、過去の年の件数も、検索を再実行すると少し変わることがあります。日本についての参考値として、同じMeSH検索に Japan[ad](所属欄に「Japan」を含む)を加えると、2025年は8,098件でした。同じ年の Japan[ad] のレコードは80,644件で、その10.0%にあたります(データベース全体では5.7%)。これも検索ヒット件数どうしの比です。

3. Methodsの書き方

以下では、後ろ向き研究のMethodsの各要素を、実在の論文がどう書いたかと対応させて示します。例に使うのは、Taniguchi ら(J Am Coll Emerg Physicians Open 2026、PMID 41852487、PMC12991942、CC BY 4.0)です。日本の多施設・前向き心停止レジストリ(SOS-KANTO)を後ろ向きに解析した論文です。ここでは、節の組み立てを見るためだけに使い、結果の評価はしません。以下の記述は言い換えです。

要素 書くこと 例の論文の記載
デザインとデータ源 デザインとデータベースの名前、誰が何のためにデータを集めたか、期間、施設 前向き多施設コホートの後ろ向き解析と明記。レジストリは関東地方の救急42病院が対象で、2019年9月から2021年3月まで
倫理と同意 審査を行った機関と承認番号、同意の免除かオプトアウトか、オプトアウトの情報をどこに掲載したか 参加施設は倫理審査委員会の承認を得て、同意は免除。レジストリはオプトアウト方式で、各病院がウェブサイトに情報を掲載。この解析は名称を示した倫理委員会が承認番号つきで承認。STROBEとヘルシンキ宣言に言及
対象者の条件 組み入れ・除外の基準と、その理由 救急隊が搬送した院外心停止の患者すべてを対象とし、搬送されなかった患者がレジストリにない理由も説明
曝露 操作的定義、判定した人、時点、使った情報 agonal breathing(死戦期呼吸)を定義し、各時点で誰が記録したかを示し、客観的なモニタリングではなく直接観察に基づくと明記
アウトカム 定義、尺度、時点、副次アウトカム 30日時点の良好な神経学的転帰(CPC 1または2)。副次は30日生存
共変量 一覧と、その選択の理由 調整した変数を明示的に列挙
欠測データ どれだけ欠測し、どう扱い、確認をどう行ったか 曝露データが各時点で約28%欠測していたと報告し、ランダムフォレストによる補完を用い、完全ケース解析と比較
感度分析 事前に定めたもの 事前に定めた感度分析を3つ実施

この論文は、欠測データについてResultsで「病院前の死戦期呼吸の情報が2,806人(28.3%)、病院での死戦期呼吸の情報が2,720人(27.4%)で欠測していた」と報告しています。査読者が探すのは、こうした1文です。補完や感度分析の技術的な部分は、感度分析とは|論文での報告方法と欠測データ・E値の実例とSterne ら(2009)をご覧ください。

診療録から抽出する場合に加える項目

人が診療録からデータを抜き出す場合、データの質は手順に左右されるため、Methodsでその手順を書いておく必要があります。Vassar と Holzmann(2013、オープンアクセス)は、診療録調査でよくある10の誤りを挙げています。研究課題が不明確、事前のサンプリング計画がない、変数の操作的定義がない、抽出者の研修・モニタリングがない、標準化された抽出様式がない、手順書がない、組み入れ・除外基準が明示されていない、評価者間・評価者内の信頼性を扱っていない、パイロットテストがない、守秘と倫理への配慮がない、の10点です。Gilbert ら(1996)は、3つの救急医学誌(1989〜1993年)の原著論文986本を調べ、244本(25%)が診療録調査に依拠していたことを報告しました。それらのうち、組み入れ基準の記載は98%、変数の定義は73%でしたが、抽出者の研修は18%、標準化された抽出様式は11%、抽出者のモニタリングは4%、抽出者の盲検化は3%、評価者間信頼性は5%にとどまりました。これは1つの専門領域と過去の一時期の数字なので、現在の割合としてではなく、手順を書き残す理由として読んでください。

Methodsの雛形(編集上の助言であり、ジャーナルやICMJEの規則ではありません)

This was a retrospective [cohort / case-control] study using [data source] at [institution(s)] from [start date] to [end date]. We included [eligibility]. We excluded [exclusion criteria and reason]. Exposure was defined as [definition], identified from [field in the record] by [who]. The outcome was [definition and time point]. Covariates were [list]. Data on [variable] were missing in [n (%)]; we handled them by [method] and checked the result with [complete-case or other analysis]. [For chart abstraction: abstractors were trained, used a standardised form, and agreement was assessed on [n] charts using [statistic].] The study was approved by [committee, approval number, date]. Informed consent was [waived / not required] because [reason approved by the committee], and information about the study, including how to decline participation, was [posted at …]. The report follows STROBE.

角かっこの中は、ご自身の研究計画書と記録から埋めてください。裏づけのない欄は埋めないでください。

4. 日本の倫理審査・同意・オプトアウト:公式ページの記載

本節は、2026年10月7日に実際に開いた厚生労働省と文部科学省の公式ページだけに基づいています(以下の各項目の閲覧日も同日です)。法的助言ではありません。どの手続が自分の研究に当てはまるかは、所属機関の倫理審査委員会が判断します。

あわせて読みたい:倫理審査が不要な研究とは(判断基準と確認先)/後ろ向き研究のオプトアウト同意:条件と英語の書き方

開いた資料(いずれも2026年10月7日閲覧):

どの版が適用されるか。一覧ページには、令和8年8月27日付の一部改正が掲載されています。同日の施行通知は、改正後の指針を2026年12月1日から施行するとしており、すでに実施中の研究は、個人情報保護関連の法令等を遵守する場合に限り、従前の例によることができる(経過措置)としています。同じ通知は、ガイダンスを今後改訂するとも述べています。私が各ページを開いた時点で掲載されていたガイダンスは令和6年4月1日付で、改正後の条項番号にはまだ対応していません。したがって、2026年10月7日時点では、ご自身の計画書が令和5年改正の本文と改正後の本文のどちらに当たるかを、倫理審査委員会に確認してください。以下の点は、特に断らない限り、どちらの本文でも当てはまります。

「研究」に当たるか。ガイダンスには、医療の一環とみなして、指針でいう研究に該当しないと判断してよい例が挙げられています。たとえば、医療従事者が自ら行った医療の患者の転帰などを、以後の医療の参考とするために診療録を見返して検討する場合です。指針は、傷病の成因や診断・治療の有効性の理解といった知識を得ることを目的とする活動を研究と定義しています(第2⑴)。ご自身の取り組みが研究に当たるかどうかは、所属機関が判断します。ジャーナルから尋ねられてからではなく、始める前に確認してください。

既存情報を使う研究に指針が求めること。

  1. 審査と許可:研究責任者は、倫理審査委員会の意見を聴き(第6の2⑴)、研究機関の長の許可を受けなければなりません(第6の2⑶)。これは両方の本文で共通です。
  2. インフォームド・コンセントが原則です(第4の1⑶)。自らの研究機関が保有する既存情報のみを用いる研究については、指針が、同意に代えて、通知と拒否できる機会の保障(オプトアウト)によることができる条件を定めています。令和5年改正の本文では第8の1⑵イ(エ)、改正後の本文では第8の2⑶ウ(ア)です。令和8年8月27日の施行通知は、改正の方針を、リスクに応じてIC(インフォームド・コンセント)またはオプトアウトのいずれかを行うもの、と要約しています。
  3. オプトアウトとは、研究対象者等に通知するか、容易に知り得る状態に置き、研究が実施または継続されることについて、原則として拒否できる機会を保障する方法です。公開すべき事項には、利用目的と利用方法、利用する情報の項目、利用開始の予定日、利用する者の範囲、情報の管理に責任を有する者、求めに応じて利用を停止する旨、その求めを受け付ける方法が含まれます(指針の通知事項。項目1〜3と7〜10)。
  4. ガイダンスは、容易に知り得る状態に置く方法の例として、院内掲示とインターネット上での周知を挙げています。また、オプトアウトによる場合は、その理由と、通知または公開する事項・方法(文書の見本など)を研究計画書に記載する必要があります。
  5. 登録と公表:介入を行わない研究でも、研究の概要を実施に先立って公開データベースに登録するよう努めること(第6の4⑴)、研究責任者が終了後に結果を公表すること(第6の6⑵)が定められています。

論文に何を書くか(編集上の助言)。審査を行った倫理審査委員会の名称、承認番号と承認日を書き、同意が免除されたのかオプトアウトを用いたのか、オプトアウトの情報をどこに掲載したのかを述べます。指針の条件をMethodsに貼り付ける必要はありません。委員会が承認した経路を、そのまま書いてください。倫理記載の一般的な書き方は、倫理承認とインフォームド・コンセントの正しい報告方法にあります。

5. 限界として書くこと

「バイアスの可能性がある」という一般的な1文より、どのバイアスで、それにどう対処したかを書いた限界の段落のほうが役に立ちます。例に使った論文も、自らの限界の項で複数を挙げていました。曝露が臨床判断に依存するための誤分類、曝露データの約30%の欠測、イベント数が少なく精度が下がること、首都圏のみのコホートによる選択バイアスの可能性、対象集団内の不均一性、そして観察研究のため因果関係を示せないこと、です。この具体性を目安にしてください。

バイアス 後ろ向き研究での生じ方 書くこと
選択バイアス 記録が揃っている・入手できる人だけがデータセットに入る。単一施設や単一地域。便宜的標本(Vassar と Holzmann, 2013) どのようにデータセットに入ったか、誰が除かれたか。可能なら含めた人と除いた人を比較
情報バイアス 曝露とアウトカムは研究ではなく診療のために記録された。記載が不完全、または職員によって異なる 使った定義、情報源の項目、誰が抽出したか、研修と一致度(Vassar と Holzmann, 2013、Gilbert ら, 1996)
交絡 デザインでグループを作っていない 調整した共変量、測定していないもの、調整の限界。交絡因子とはと傾向スコアマッチングの方法をご覧ください
不死時間バイアス(コホート) 曝露の前の期間が、曝露された期間として分類される(Lévesque ら, 2010) 各群で追跡の開始をどう定義したか
欠測データ 記載の抜け 量、対処法、感度分析(Sterne ら, 2009)

この研究デザインが示すのは関連であって因果ではない、という点も明記してください。

6. 査読者が尋ねること

次の表は、STROBE(von Elm ら, 2007)、Vassar と Holzmann(2013)、Gilbert ら(1996)をもとにした編集上の整理です。査読者の行動についての統計ではありません。

想定される質問 答える場所
対象者はどう特定され、誰が除かれたか 対象者の条件の段落とフローチャート
研究のために作られていない記録で、曝露とアウトカムをどう定義したか 情報源の項目、時間枠、判定者を添えた定義
抽出者は研修を受け、一致度は確認されたか Methods(診療録調査の項目)
欠測はどれだけで、別の扱いでも結果は保たれるか Resultsの1文と感度分析
倫理審査の承認を得たか、同意はどう扱ったか 承認番号とオプトアウトの説明を含む倫理記載
測定されていない交絡で結果を説明できないか 限界の項(何を測定し、何を測定していないか)
因果を主張していないか 結論の書き方(関連)

これらの問いに研究に基づいて答えるのは研究者です。英文校正や構成のサポートは、答えを読みやすく整える役目を担い、採否はジャーナルが判断します。

投稿前に、報告ガイドラインへの準拠を確認したい方へ

報告ガイドライン準拠確認(¥19,800、納期3〜5営業日)は、研究デザインに合った報告ガイドライン(観察研究ならSTROBE)に照らして原稿を確認し、不足項目を指摘して改善案をお示しします。統計の解析とMethodsの記載については、医学統計解析サポートをご覧ください。研究デザイン、解釈、結論は研究者のものです。採否はジャーナルが判断しますが、採択まで追加料金なしでサポートを継続します。

まとめ

  • 時間の流れを正確に書く(後ろ向きコホート、症例対照、診療録調査、前向きレジストリの後ろ向き解析)。
  • Methodsは、データセットを再現できるように書く。情報源、期間、対象者の条件、曝露、アウトカム、共変量、欠測データ。
  • 倫理面の経路を1文で述べる。審査機関と承認番号、同意の免除かオプトアウトか、通知をどこに掲載したか。適用される指針の版は、倫理審査委員会に確認する(改正後の本文は2026年12月1日に施行)。
  • 選択バイアス・情報バイアス・交絡を限界の項に名前を挙げ、どう対処したかを書く。

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よくある質問

Q. 後ろ向きコホート研究と症例対照研究は何が違いますか?

後ろ向きコホート研究は、曝露でグループを分け、すでに記録されているアウトカムを比べます。症例対照研究は、症例と対照から出発して、過去の曝露を比べます(Hess, 2004)。

Q. 日本で診療録の後ろ向き調査に倫理審査は必要ですか?

指針の対象となる研究については、倫理審査委員会の意見と研究機関の長の許可が必要です。ガイダンスには、医療従事者が自らの診療のために診療録を見返す場合など、研究に該当しないと判断してよい例が挙げられています。どちらに当たるかは、所属機関が判断します。

Q. オプトアウトとは何ですか?

研究対象者等に通知するか、容易に知り得る状態に置き、原則として拒否できる機会を保障する方法です。公開すべき事項は指針に列挙されています。

Q. 後ろ向き研究でもSTROBEは必要ですか?

STROBEは、コホート研究・症例対照研究・横断研究を対象としています(von Elm ら, 2007)。完成したチェックリストの提出が必要かどうかは、投稿先ジャーナルの投稿規程で確認してください。詳しくはSTROBEの記事をご覧ください。

参考資料

PubMed収載(各文献はNCBI E-utilitiesのesummaryで2026-10-07に確認)

  • [文献1]von Elm E, Altman DG, Egger M, Pocock SJ, Gøtzsche PC, Vandenbroucke JP; STROBE Initiative. The Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology (STROBE) statement: guidelines for reporting observational studies. Lancet. 2007;370(9596):1453-1457. doi:10.1016/S0140-6736(07)61602-X. PMID: 18064739(抄録を確認)。
  • [文献2]Hess DR. Retrospective studies and chart reviews. Respir Care. 2004;49(10):1171-1174. PMID: 15447798(抄録を確認)。
  • [文献3]Vassar M, Holzmann M. The retrospective chart review: important methodological considerations. J Educ Eval Health Prof. 2013;10:12. doi:10.3352/jeehp.2013.10.12. PMID: 24324853. PMC3853868(CC BY、全文を確認)。
  • [文献4]Gilbert EH, Lowenstein SR, Koziol-McLain J, Barta DC, Steiner J. Chart reviews in emergency medicine research: Where are the methods? Ann Emerg Med. 1996;27(3):305-308. doi:10.1016/s0196-0644(96)70264-0. PMID: 8599488(抄録を確認)。
  • [文献5]Sterne JA, White IR, Carlin JB, Spratt M, Royston P, Kenward MG, Wood AM, Carpenter JR. Multiple imputation for missing data in epidemiological and clinical research: potential and pitfalls. BMJ. 2009;338:b2393. doi:10.1136/bmj.b2393. PMID: 19564179(書誌情報を確認。欠測データの多重補完という主題の参照にとどめます)。
  • [文献6]Lévesque LE, Hanley JA, Kezouh A, Suissa S. Problem of immortal time bias in cohort studies: example using statins for preventing progression of diabetes. BMJ. 2010;340:b5087. doi:10.1136/bmj.b5087. PMID: 20228141(書誌情報を確認。不死時間バイアスという問題の存在の参照にとどめます)。
  • [文献7]Taniguchi H, Yamada K, Kitano S, Bunya N, Homma Y, Tagami T, Aoki M; SOS-KANTO 2017 Study Group. Association between agonal breathing and outcomes after out-of-hospital cardiac arrest: a retrospective study. J Am Coll Emerg Physicians Open. 2026;7(2)(電子版 2026年3月7日). doi:10.1016/j.acepjo.2026.100345. PMID: 41852487. PMC12991942(CC BY 4.0、全文を確認。Methodsの構成を示す目的でのみ使用し、短い語句以外は言い換え)。

そのほかの資料

  • [資料8]人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和5年3月27日一部改正、および令和8年8月27日一部改正)、同施行通知(令和8年8月27日)、同ガイダンス(令和6年4月1日)。厚生労働省・文部科学省。URLは第4節に記載。2026年10月7日閲覧。
  • [資料9]PubMed E-utilities(esearch)、https://eutils.ncbi.nlm.nih.gov/。2026年10月7日取得。

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