EZR(Easy R)の使い方|導入から論文での引用・報告まで
EZR(Easy R)は、統計ソフトRをマウス操作で使えるようにした無料のソフトウェアです。自治医科大学附属さいたま医療センターの神田善伸氏が開発し、生存時間解析、ROC解析、メタアナリシス、サンプルサイズ計算など、臨床研究でよく使う解析がそろっています。使い方の流れは、インストール、CSVの読み込み、記述統計、検定、生存時間解析の順です。論文では、EZRとRのバージョンをMethodsに書き、Kanda(2013)を引用します。本記事はこの流れを実データで確かめ、Methodsの英文例と、EZRだけでは足りない場面の目安を示します。
先にお断りしておくことが2つあります。1つ目は、本記事の数値はRのコードをR 4.3.3で実行した結果であり、EZRの画面から出したものではないことです。EZRのメニュー操作はRのコマンドを作って実行する仕組みです(公式ページ)が、本記事ではEZRの画面を実行していないため、スクリーンショットは載せていません。2つ目は、メニュー名について、Kanda(2013)に印刷されている英語表記と、公式のFAQ・ダウンロードのページに載っている日本語表記だけを使っていることです。日本語のメニュー名を確認できなかった箇所には、日本語名を書いていません。
本記事が扱うのはソフトの使い方と論文での書き方です。どの検定を選ぶかは統計検定の選び方をご覧ください。
1. EZRとは何か、何ではないか
| 項目 | 公式情報の内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 開発者 | 神田善伸氏(自治医科大学附属さいたま医療センター血液科) | PubMedの書誌情報、公式ページ |
| 位置づけ | Rのグラフィカル・ユーザー・インターフェース。公式文例では「生物統計でよく使う統計機能を加えるよう設計した、Rコマンダーの改変版」と説明 | 公式ページ(推奨Methods文例) |
| 追加された機能 | 生存時間解析(競合リスク解析と時間依存性共変量を含む)、ROC解析、メタアナリシス、サンプルサイズ計算などを、ポイント・アンド・クリックで実行 | Kanda(2013)の抄録 |
| 費用とライセンス | 無料。R、Rコマンダー、EZRはGNU General Public License(GPL)に従い、EZRは「完全に無保証」。CRANの表記はGPL-2またはGPL-3 | 公式ページ、CRAN |
| 対応環境 | Windows、Mac OS X、Linux向けの版がある。CRANにはパッケージ(RcmdrPlugin.EZR)としても登録 | 公式ページ、CRAN |
| バージョン | 公式ページのインストーラーは1.68(2024年6月30日)。CRANのパッケージページは1.70(2025年12月8日公開、NEWSによれば修正ポアソン回帰を追加)。いずれも2026年10月7日に確認 | 公式ページ、CRAN |
| マニュアル | 完全なマニュアルは日本語の書籍のみ。英語ではKanda(2013)が簡易マニュアルとして使える | 公式の英語ページ、CRAN |
| サポート | 開発者個人が対応。FAQには、問い合わせへの回答は個別に行い、返信できるとは限らないと記載 | 公式FAQ |
EZRはR上で動くため、EZRで行う解析はRの解析です。ダイアログを操作するたびにRのコマンドが作られてスクリプトウィンドウに表示され、そのコマンドと出力は保存できます(Kanda 2013では「File」→「Save script as」、「File」→「Save output as」)。保存したスクリプトがあれば、共著者や統計の専門家が「何をしたか」を確認できます。これが、EZRを使う大きな利点です。
一方で、EZRは「自分の研究にどの解析が必要か」を決めてはくれません。ダイアログには、入力したとおりの解析を実行する機能しかありません。
2. EZRのインストール
公式のWindows向けページには、2つの方法が書かれています。
- インストーラーを使う方法(開発者が推奨)。ダウンロードのページからEZRsetup(英語版はEZRsetupENG.exe)を入手して実行すると、EZRがRとRコマンダーと一緒にインストールされます。現在のインストーラーに含まれるのはR 4.3.1とRコマンダー2.9-1です(公式ページ、2026年10月7日確認)。開発者がこの方法を勧める理由は、EZRが依存するパッケージが更新されるとEZRで予期しないエラーが出ることがあるためです。
- CRAN経由で入れる方法。Rをインストールし、Rのコンソールで
install.packages("RcmdrPlugin.EZR", dependencies=TRUE)を実行してlibrary(Rcmdr)を入力し、Rコマンダーのメニュー「ツール」→「Rcmdrプラグインのロード」からRcmdrPlugin.EZRを選びます。最新のRが使える一方、上で述べたエラーのリスクがあります。
インストール後は、デスクトップのショートカットからEZRを起動します。「R Console」と「EZR on R Commander」の2つのウィンドウが開きます。操作に使うのは後者で、前者はEZRがその上で動いているため閉じてはいけません(Kanda 2013)。既定のデータフォルダは、ショートカットのプロパティの「作業フォルダ」欄で変更できます。
公式FAQが注意を促している点は次のとおりです。
- 文字コード。R 4.2以降、Windows版のRはCP932(Shift-JIS)ではなくUTF-8を標準にしました。以前の日本語を含むファイルは、読み込めない、または文字化けすることがあります。Excelでは「CSV UTF-8」で保存するとUTF-8、単なる「CSV」で保存するとCP932になります。読み込みのダイアログでは、ファイルのエンコードに「CP932:旧Windows形式」を指定できます。
- Excelファイル。ファイル名や上位フォルダ名に全角文字が含まれると、読み込めないことがあります。その場合はExcelからCSV形式で保存して読み込みます。
- Mac。公式のMac向け手順では、EZRにはX11ウィンドウシステム(XQuartz)が必要とされています。FAQは、Macで起動しない原因のほとんどはEZRではなくRコマンダーのインストールにある、としています。
3. データの読み込み
1行に1人、1列に1変数の形で表を作り、CSV(UTF-8)で保存します。公式ページはCSVでの読み込みを推奨しており、日本語の変数名も扱えますが、英字の大文字と小文字は厳密に区別されると注意しています。
- 読み込み:Kanda(2013)の表記では「File」→「Import data」→「Read Text Data From File, Clipboard or URL」です。公式FAQの日本語表記は、「ファイル」→「データのインポート」→「ファイルまたはクリップボード、URLからテキストデータを読み込む」です。スプレッドシートからの貼り付けは、「Clipboard」を選び、区切りにタブを指定して行えます(Kanda 2013)。
- 読み込めたかの確認:「View」ボタンでデータを表示できます。「Active data set」→「Variables」→「Show variables in active data set」で変数の一覧が出ます(Kanda 2013)。
- 解析前の加工:「Active data set」→「Variables」には、数値変数の区分化、新しい変数の作成、ダミー変数の作成などがあります(Kanda 2013)。
生存時間データのコーディングに注意。EZRの生存時間解析のダイアログでは、時間の変数と、イベントありを1、なしを0とするステータス変数が必要です(Kanda 2013)。公開データセットにはコーディングが異なるものが多くあります。Rのsurvivalパッケージの lung は、打ち切りが1、死亡が2です(Rのヘルプ)。そのため、先に変換が必要です。次の確認は、解析の前に変換が正しいことを示しています。
d <- survival::lung
d$event <- ifelse(d$status == 2, 1, 0) # 1 = 死亡, 0 = 打ち切り
table(d$status, d$event)
0 1
1 63 0
2 0 165
4. 解析の流れ:実データで確かめる
データ。survival::lung は、North Central Cancer Treatment Group(NCCTG)の進行肺がん患者228人のデータです(Rのヘルプ。元の報告はLoprinziら, J Clin Oncol 1994[文献3])。使う変数は、time(生存期間、日)、status、age、sex(1 = 男性、2 = 女性)、ph.ecog(医師が評価したECOGパフォーマンスステータス)です。ECOGの値がない患者が1人います。この例は解析の流れを示すために選んだもので、臨床的な知見ではありません。
実行したもの。以下のRコマンドは、各ステップで挙げるEZRのメニュー項目に相当する、素のRのコマンドです。EZRが実際に生成するスクリプトそのものではなく、出力もEZRの画面ではなく、R 4.3.3とsurvival 3.8.6によるものです。
ステップ1:記述統計
EZRのメニュー(Kanda 2013):カテゴリ変数は「Statistical analysis」→「Discrete variables」→「Frequency distributions」、連続変数は「Statistical analysis」→「Continuous variables」→「Numerical summaries」(平均、標準偏差、最小値、中央値、最大値)です。公式の変更履歴には、論文の表1に当たる背景データのサマリー表を、バージョン1.23からtableoneパッケージを使って自動作成する機能が加わったと書かれています。
d$sex <- factor(d$sex, 1:2, c("Male", "Female"))
nrow(d); table(d$sex)
c(mean = mean(d$age), sd = sd(d$age))
aggregate(age ~ sex, d, function(x) round(c(n = length(x), mean = mean(x), sd = sd(x)), 2))
実際の出力:228人(男性138人、女性90人。男性は60.5%)。年齢は平均62.45歳、標準偏差9.07(範囲39〜82歳)。男性はn = 138、平均63.34、標準偏差9.14。女性はn = 90、平均61.08、標準偏差8.85。ECOGスコアが0、1、2、3、欠測の人数は、順に63、113、50、1、1です。
ステップ2:2群の比較
EZRのメニュー(Kanda 2013):t検定は「Statistical analysis」→「Continuous variables」、Mann-WhitneyのU検定は「Statistical analysis」→「Nonparametric tests」です。割合の比較は「Statistical analysis」→「Discrete variables」→「Create two-way table and compare two proportions」で、既定の検定はFisherの正確確率検定です(Kanda 2013)。どの検定を使うかは、P値を見る前に解析計画で決めておきます。詳しくは統計検定の選び方とカイ二乗検定とFisher正確検定をご覧ください。
t.test(age ~ sex, data = d) # Welch(Rの既定)
wilcox.test(age ~ sex, data = d, exact = FALSE)
d$ecog <- factor(ifelse(d$ph.ecog >= 1, "ECOG>=1", "ECOG 0"), c("ECOG 0", "ECOG>=1"))
tab <- table(d$sex, d$ecog); tab
fisher.test(tab)
実際の出力:
- 年齢、男性と女性の比較:Welchのt = 1.8632、自由度194.72、P = 0.06394。平均値の差は2.26歳(95%信頼区間 −0.13〜4.66)。等分散を仮定するt検定ではt = 1.8504、自由度226、P = 0.06556、Mann-WhitneyのU検定ではW = 7136.5、P = 0.05701でした。この例では3つとも同じ方向ですが、2種類のt検定は別のオプションなので、ダイアログでどちらを選んだかを報告する必要があります。
- ECOGスコア1以上:男性は137人中101人(73.7%)、女性は90人中63人(70.0%)。Fisherの正確確率検定はP = 0.5482、オッズ比0.83(95%信頼区間 0.44〜1.57)でした。
ステップ3:生存時間解析
EZRのメニュー(Kanda 2013):「Statistical analysis」→「Survival analysis」→「Kaplan-Meier survival curve and logrank test」と、同じ「Survival analysis」の中の「Cox proportional hazard regression」です。後者のダイアログには、3水準以上の因子の全体のP値のためのWald検定、比例ハザード性の確認、変数増減法といったオプションがあります。時間の変数、次にステータス変数(1 = イベント)を指定します。
library(survival)
fit <- survfit(Surv(time, event) ~ sex, data = d)
fit
survdiff(Surv(time, event) ~ sex, data = d)
cx <- coxph(Surv(time, event) ~ sex + age, data = d)
summary(cx)
cox.zph(cx)
実際の出力:
- 228人中165人が死亡しました(男性112人、女性53人)。
- 生存期間の中央値:男性270日(95%信頼区間 212〜310)、女性426日(95%信頼区間 348〜550)。全体の中央値は310日(95%信頼区間 285〜363)。逆Kaplan-Meier法による追跡期間の中央値は588日(95%信頼区間 511〜1010)でした。
- 365日時点の生存率:男性33.6%(95%信頼区間 26.1〜43.3)、女性52.6%(95%信頼区間 42.1〜65.8)。
- ログランク検定:カイ二乗値10.3、自由度1、P = 0.0013。
- 性別と年齢を入れたCox回帰(n = 228、イベント165):男性に対する女性のハザード比0.60(95%信頼区間 0.43〜0.83)、P = 0.0022。年齢のハザード比は1歳あたり1.017(95%信頼区間 0.999〜1.036)、P = 0.065。比例ハザード性の確認(cox.zph)は、全体でP = 0.25(性別0.11、年齢0.65)でした。

図の読み方:このデータでは女性のほうが生存期間が長く(ログランク検定 P = 0.0013、調整後のハザード比0.60)、数値はすべて、EZRのダイアログが呼び出すRの標準関数から得られています。論文で大切なのは、どのオプションを選んだかを書くことです。Kaplan-Meier曲線とCoxモデルの読み方と報告の詳細は、別の記事で扱います。
5. 論文への書き方:Methods、引用、バージョン
開発者が求めていること
公式ページは、EZRを使った論文では、Kanda Y., Bone Marrow Transplantation 2013; 48: 452-458 を引用するよう求め、統計解析の記載の例として次の文を挙げています。
All statistical analyses were performed with EZR (Jichi Medical University, Tochigi, Japan), which is a graphical user interface for R (The R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria). More precisely, it is a modified version of R commander designed to add statistical functions frequently used in biostatistics.
ICMJE勧告は、統計ソフトウェアのパッケージとバージョンを明記するよう求めています(「Preparing for submission」のMethods)。SAMPLガイドラインも、使用した統計パッケージまたはプログラムの名称を書くよう求めています(Lang と Altman, 2015)。公式の文例にはバージョン番号がないため、書き加えてください。
Methodsの文例(ご自身の解析に合わせて調整してください)
Statistical analyses were performed with EZR (version X.XX; Jichi Medical University, Tochigi, Japan), a graphical user interface for R (The R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria; version X.X.X), which is a modified version of R commander designed to add statistical functions frequently used in biostatistics (Kanda, 2013). Continuous variables were compared with the Mann-Whitney U test and categorical variables with Fisher’s exact test. Overall survival was estimated by the Kaplan-Meier method and compared with the log-rank test. Hazard ratios were estimated by Cox proportional hazards regression, and the proportional-hazards assumption was checked with Schoenfeld residuals. Two-sided P values below 0.05 were considered statistically significant.
検定の名前は、事前に計画して実際に行ったものに置き換えてください。1文目は開発者の文例を基にバージョンと引用を加えたもので、2文目以降は当社の文例であり、公式の文章ではありません。「Schoenfeld残差で確認した」は、実際にそれを行った場合だけ書いてください。Kanda(2013)はCoxのダイアログに比例ハザード性の確認のオプションがあると述べ、公式の変更履歴にはバージョン1.33で変数ごとのSchoenfeld残差プロットが加わったとあります。
バージョン番号の調べ方
スクリプトウィンドウに R.version.string と入力して実行します。パッケージがそのRのライブラリに入っていれば、packageVersion("RcmdrPlugin.EZR") も使えます(スクリプトウィンドウにはRのコマンドを入力できます。Kanda 2013)。インストーラーの各版がGUI上で自分のバージョンをどう表示するかは、本記事では確認していません。使ったインストーラーのダウンロードページにもバージョンが書かれています(確認時点では1.68)。CRANのパッケージは別系統のリリース(1.70)です。実際に使ったバージョンを書いてください。
引用の書き方
- EZR:Kanda Y. Investigation of the freely available easy-to-use software ‘EZR’ for medical statistics. Bone Marrow Transplant. 2013;48(3):452-458. doi:10.1038/bmt.2012.244. PMID 23208313.
- R(ジャーナルが別途の記載を求める場合):Rの
citation()コマンドが推奨の引用を表示します。R 4.3.3では次のように出力されます。R Core Team (2024). R: A Language and Environment for Statistical Computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. https://www.R-project.org/ 。年はリリースにより変わるため、お使いのバージョンでコマンドを実行してください。
Resultsの書き方(実際の数値を使った例)
Women had longer overall survival than men (median 426 days, 95% CI 348 to 550, versus 270 days, 95% CI 212 to 310; log-rank P = 0.0013). In a Cox model including age, the hazard ratio for women versus men was 0.60 (95% CI 0.43 to 0.83; P = 0.0022).
群ごとの人数とイベント数(男性138人でイベント112件、女性90人でイベント53件)を、同じ段落か表に示します。効果はP値だけでなく信頼区間とともに報告します。報告全般は論文における統計解析結果の報告方法をご覧ください。
6. EZRの限界と、統計の専門家に相談する目安
資料から言える限界
- ダイアログが行うのは計算で、判断ではありません。既定値(たとえば2×2表のFisherの正確確率検定)はありますが、既定値も1つの選択です。選んだオプションを報告してください。
- 多数の解析を簡単に実行できます。計画がないと、選択的な報告につながります。多重比較補正と統計エラー10選をご覧ください。
- RとRコマンダーのバージョンに依存します。パッケージの更新でEZRが壊れることがあるため、開発者はオールインワンのインストーラーを勧めています。R 4.2での文字コード変更も、すでにファイルの読み込みの問題を起こしました。
- ダイアログの守備範囲。Kanda(2013)は、2013年版の時間依存性共変量の機能が、0から1へ1回だけ変わる単純な共変量に限られると述べています。公式ページによればバージョン1.52以降は複数を扱えます。決めつけずに、現在のダイアログで何ができるかを確認してください。
- 資料とサポート。完全なマニュアルは日本語のみで、サポートはボランティアの医師1人が担っています。
- 保証。Rと同様、「完全に無保証」です。
- メニューにない解析。スクリプトウィンドウにRのコードを入力して実行できますが、その場合はRのプログラミングを行うことになります。
専門家に相談する目安
以下は公式の規則ではなく、当社の実務上の見方です。
- 調整に使う共変量の選び方、傾向スコアや重み付けのデザイン、競合リスクのモデルを決める必要がある。EZRはこれらを実行できますが、何が適切かは研究デザインの問題です。
- 査読者から、メニューに見当たらない解析や、事前に計画した検定とは別の検定を求められた。
- 欠測、クラスタリング、反復測定のあるデータで、ダイアログがどう扱うか分からない。
- 投稿前に、保存したスクリプトから第三者に結果を再現してもらいたい。
このような統計支援は、ICMJEの著者資格の基準に照らしても正当な貢献です。研究の問い、解釈、結論は引き続き著者のものです。
7. Methodsを書く前のチェックリスト
- EZRのバージョンとRのバージョンを、実際に使ったソフトから書き写した。
- Kanda(2013)を引用した。ジャーナルが求める場合はRも引用した。
- 使ったすべての検定を、選んだオプション(Welchか等分散を仮定するt検定か、両側かなど)とともに書いた。
- 生存時間データ:時間の単位、イベントの定義、打ち切りの扱い、ステータスを1 = イベント・0 = 打ち切りとしたことを書いた。
- EZRで保存したスクリプトを、データと一緒に保管した。
- 効果量は95%信頼区間とともに、P値は正確な値で報告した。
- 事前に計画していない解析には、探索的であることを明記した。
当社がお手伝いできること
EZRでの解析を、投稿前に第三者の目で確認したい方へ
Editverse Japanの医学統計解析サポート(定額 79,800円)は、統計手法の選択、記述統計・推測統計の実施、生存時間解析、MethodsとResultsの執筆支援までを、研究者の方と一緒に進めるサービスです。解析コードと結果レポートを納品します(R・SPSS・Stata・SASが対応ソフトとして記載されています)。納期の目安は解析内容により5〜14営業日です。採択まで追加料金なしでサポートを継続します(採否はジャーナルの編集者・査読者が判断し、採択を保証するものではありません)。最終的な内容、結果の解釈、結論、投稿の判断は著者に帰属します(ICMJE・COPE準拠)。
すでに査読者から解析について指摘を受けている場合は、査読対応・統計再解析(定額 98,000円)をご覧ください。再解析、再現可能なRスクリプトと出力ログ、統計コメントへのポイントごとの回答まで対応します。
まとめ
- EZRは、神田善伸氏(自治医科大学)が開発した、Rベースの無料のポイント・アンド・クリック型ソフトです。メニュー操作はRのコマンドを作り、保存して共有できます。
- 公式のインストーラー(確認時点でR 4.3.1とRコマンダー2.9-1を同梱)かCRAN経由で入れます。日本語のCSVを読み込むときは、UTF-8への変更に注意してください。
- 基本の流れは、CSVの読み込み、変数とコーディングの確認(ステータスは1 = イベント)、記述統計、検定、Kaplan-MeierとログランクのP、Cox回帰です。
- 実データの例(survival::lung、n = 228)では、ログランク検定のPは0.0013、女性の調整後ハザード比は0.60(0.43〜0.83)でした。これらの数値はRによるもので、EZRの画面から得たものではありません。
- 論文では、Kanda(2013)を引用し、EZRとRをバージョン付きで書き(ICMJEはバージョンの記載を求めています)、選んだオプションを報告します。
- 調整の組み方、競合リスク、傾向スコアなどのデザイン上の判断は、ダイアログの設定ではなく統計上の問いとして扱ってください。
公費・研究費でのお支払い
見積書・納品書・請求書の発行に対応しています。詳細は公費・研究費でのお支払いをご覧ください。ご相談・お見積もりはお問い合わせからどうぞ。
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よくある質問
Q. EZRは無料で使えますか?
はい。公式ページによると、R・Rコマンダー・EZRはGNU General Public License(GPL)に従っており、EZRは完全に無保証です。CRANのパッケージページでもライセンスはGPL-2またはGPL-3と記載されています。
Q. EZRを論文で引用するにはどうしますか?
公式ページは、Kanda Y. Bone Marrow Transplantation 2013; 48: 452-458(doi:10.1038/bmt.2012.244)の引用を求めており、EZRとRを記載する文例も示しています。ICMJE勧告がソフトウェアのバージョンの記載を求めているため、EZRとRのバージョン番号も書き添えてください。
Q. EZRとRの結果は同じになりますか?
EZRはR上で動き、メニュー操作はRのコマンドを作って実行します(公式ページ)。そのため、同じ関数を同じオプションで使えば結果は一致するはずです。ただし本記事ではEZRの画面は実行しておらず、並べて比較はしていません。本記事の数値はRの出力です。
Q. バージョンは1.68と1.70のどちらを書けばよいですか?
実際に使ったバージョンを書いてください。2026年10月7日の確認時点で、公式ページのインストーラーは1.68(2024年6月30日)、CRANのパッケージページは1.70(2025年12月8日公開)と記載されていました。
Q. 日本語のCSVを読み込むと文字化けします。どうすればよいですか?
公式FAQによると、R 4.2以降のWindows版RはUTF-8を標準にしています。Excelでは「CSV UTF-8」で保存するか、古いCSVの場合は読み込みダイアログでファイルのエンコードに「CP932:旧Windows形式」を指定してください。
参考資料
PubMed収載の文献(各文献は2026年10月7日にNCBI E-utilitiesのesummaryで確認)
- Kanda Y. Investigation of the freely available easy-to-use software ‘EZR’ for medical statistics. Bone Marrow Transplant. 2013 Mar;48(3):452-458. doi: 10.1038/bmt.2012.244. PMID: 23208313. PMCID: PMC3590441(全文を確認)。
- Lang TA, Altman DG. Basic statistical reporting for articles published in biomedical journals: the “Statistical Analyses and Methods in the Published Literature” or the SAMPL Guidelines. Int J Nurs Stud. 2015 Jan;52(1):5-9. doi: 10.1016/j.ijnurstu.2014.09.006. PMID: 25441757.(SAMPLの本文はEQUATOR NetworkのPDFで確認)。
- Loprinzi CL, Laurie JA, Wieand HS, et al. Prospective evaluation of prognostic variables from patient-completed questionnaires. North Central Cancer Treatment Group. J Clin Oncol. 1994 Mar;12(3):601-607. doi: 10.1200/JCO.1994.12.3.601. PMID: 8120560.(Rのヘルプが示すlungデータの出典として挙げたもので、この論文自体は読んでいません)。
組織・ソフトウェアの資料
- 神田善伸. フリー統計ソフトEZR(Easy R). 自治医科大学附属さいたま医療センター血液科(2026年10月7日閲覧):公式ページ、ダウンロード、EZRの使い方・変更履歴、FAQ、英語ページ
- CRAN. RcmdrPlugin.EZR(バージョン1.70、2025年12月8日公開):パッケージページ、NEWS
- ICMJE. Recommendations(Preparing for submission、Methods、Statistics)
- EQUATOR Network. SAMPL Guidelines
- R Core Team. R: A Language and Environment for Statistical Computing。survivalパッケージ3.8.6の
lungのヘルプ(本記事の作成に使ったR環境で確認)