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オプトアウト同意とは|後ろ向き研究の倫理記載と英語での書き方

オプトアウトとは、個別の同意(インフォームド・コンセント)を受ける代わりに、研究の情報を通知または公開し、拒否の機会を保障する方法です。条件を満たさない場合は、同意が必要です。最終判断は、所属機関の倫理審査委員会が行います。

ご確認ください(確認日:2026年10月11日)

本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。オプトアウトで進められるか、同意が必要か、お知らせにどの項目をどこへ掲載するかの最終判断は、所属機関の倫理審査委員会・研究支援部門にあります。指針には令和8年8月27日付の一部改正(施行は2026年12月1日)が公表され、ガイダンスは令和6年4月1日改訂版が掲載されています(改正後の指針に合わせた改訂は「後日掲載」。確認日時点)。以下では、令和5年改正の本文(確認日時点で施行中)と、令和8年改正の本文の両方の条番号を示します。どちらの本文が自分の研究に適用されるかは、委員会にご確認ください。

この記事でわかること

  • オプトアウトとインフォームド・コンセントの違い
  • オプトアウトが認められる場面と、同意が必要になる場面
  • 「研究実施のお知らせ」(オプトアウト文書)に書く項目と、公開の仕方
  • 日本の後ろ向き研究5報が、倫理記載に何を書いていたか(図と表)
  • 英語論文での書き方の例文(雛形)と、注意点

国の指針(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」)は、自らの研究機関が保有する既存の診療情報などを使う後ろ向き研究で、一定の条件を満たす場合に、この方法を認めています。個別の同意を受ける手続に代えて、通知と拒否の機会の保障という手続をとるものです。条件に当たるかどうかは、研究責任者の判断を踏まえ、所属機関の倫理審査委員会が審査し、機関の長が許可します。この記事では、指針の条件、「研究実施のお知らせ」に書く項目、英語論文での書き方の例文を整理し、日本の後ろ向き研究5報の倫理記載を実際に開いて比べました。

1. オプトアウトとは何か:同意との違い

指針が定める手続は、研究の内容に応じて、大きく次のように分かれます。オプトアウトは、このうち「通知等と拒否の機会」にあたります。

手続 内容 主な場面(指針の記載を要約)
インフォームド・コンセント 説明事項を説明し、同意を得る 新たに試料を取得する研究など。既存の試料・情報でも、下の他の手続に当たらない場合
オプトアウト 決められた事項を通知する、または容易に知り得る状態に置き、原則として拒否できる機会を保障する 自らの研究機関が保有する既存試料・情報を用いる研究などで、条件を満たす場合
手続の簡略化 侵襲(軽微なものを除く)を伴わないなどの要件を満たし、広報や事後的な説明などの措置を講ずる 第8の9(令和5年改正の本文では第8の8)。研究計画書に定めて、機関の長の許可を受ける
手続を要しない場合 同意などの手続が不要 個人を識別できない既存試料を、条文の条件のもとで用いる場合(令和8年:第8の2⑵イ(ア))。令和5年改正の本文には、既に作成されている匿名加工情報などを用いる場合の規定もあります(第8の1⑵イ(ア))。令和8年改正の本文では、仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報は第8の1⑴により個人情報保護法に則って扱い、第8の1・2の対象となる「研究に用いられる情報」には含めません

オプトアウトは、個別の同意を受ける代わりに、「知る機会」と「やめてほしいと言える機会」を、研究機関の側が用意する手続です。条件を満たさない場合は、同意(インフォームド・コンセント)が必要です。なお、ガイダンスは、他機関へ情報を提供する場面で、この指針のオプトアウトは、個人情報保護法第27条第2項が定める「オプトアウトによる個人データの第三者提供」とは異なり、同項が求める個人情報保護委員会への届出などは要しない、と述べています。

そもそもその活動が倫理審査の対象になるのかは、別の問題です。

あわせて読みたい:倫理審査が不要な研究とは:要否の判断基準と迷ったときの確認先

2. どんなときにオプトアウトが認められ、どんなときに同意が必要か

後ろ向き研究でよくある「自院の診療録など、既存の情報だけを使う」場合を中心に、指針の条文の要点を並べます(すべて要約です。実際の適用は委員会が判断します)。

場面 指針の整理(要約) 条文の位置
自機関の既存の情報だけを使う(試料なし) 同意を受けない場合は、通知事項(利用目的と方法、情報の項目、開始予定日、利用する者の範囲、管理責任者、停止の求めに応じる旨とその受付方法)を通知または容易に知り得る状態に置き、原則として拒否できる機会を保障します。ただし、取得時の同意の範囲内で研究内容が特定されたときなど、他の条件に当たる場合があります。令和5年改正の本文は、学術研究目的で取り扱う必要があり対象者の権利利益を不当に侵害するおそれがないこと、または特段の理由があり適切な同意を受けることが困難であること、といった要件を置いています。令和8年改正の本文では、個人情報保護法第18条第3項各号への該当などの形に整理されています 令和8年:第8の2⑶ウ(ア)
令和5年:第8の1⑵イ(エ)
自機関の既存試料(検体)を使う 同意が原則です。令和5年改正の本文は、オプトアウトによる場合の要件として、既存試料を用いなければ研究の実施が困難であることなどを置いています(第8の1⑵ア(エ))。令和8年改正の本文は、自機関保有の既存試料・情報について、通知事項を通知等し、拒否の機会を保障する手続を定めています(第8の2⑵イ(イ)) 令和8年:第8の2⑵イ
令和5年:第8の1⑵ア
新たに試料を取得する 説明事項についてインフォームド・コンセントを受けます(委員会の意見と機関の長の許可を受けて、説明事項を省略できる場合があります) 令和8年:第8の2⑵ア
令和5年:第8の1⑴
新たに要配慮個人情報を取得する(試料を用いない研究) 病歴などの要配慮個人情報を新たに取得する研究は、原則としてインフォームド・コンセントを受けます。例外の要件があります 令和8年:第8の2⑶ア
令和5年:第8の1⑴イ(イ)②(ⅰ)
新たに要配慮個人情報以外の情報を取得する(試料を用いない研究) 研究の実施について、通知事項(①から⑪まで)を通知または容易に知り得る状態に置き、拒否できる機会を保障します(オプトアウトの方法)。侵襲を伴う研究や介入を行う研究は、インフォームド・コンセントを受けます(令和8年:第8の2⑴) 令和8年:第8の2⑶イ
令和5年:第8の1⑴イ(イ)②(ⅱ)
他機関から提供を受ける 提供元がとった措置の内容、提供元の名称・住所・長の氏名、取得の経緯を確認します。オプトアウトで提供を受ける場合は、特定の個人を識別できない既存試料・情報を用いる場合を除き、自機関でも通知事項を通知または容易に知り得る状態に置き、拒否の機会を保障します 令和8年:第8の2⑸
令和5年:第8の1⑸
海外にいる方へ提供する 別の規定があり、原則として提供について同意が必要です。例外にも、追加の手続があります 令和8年:第8の2⑹
令和5年:第8の1⑹

この表のとおり、「後ろ向きだからオプトアウトでよい」と一律に決まっているわけではありません。ガイダンスは、オプトアウトによる場合には、その理由と、通知する事項・方法(文書の見本など)を研究計画書に記載し、見本を添付して審査に提出するよう求めています(第7の解説)。つまり、オプトアウトを選ぶ理由を、研究計画書の中で説明する必要があります。

なお、未成年の方や、同意能力を欠く成人の方、亡くなった方が対象の場合は、第9の規定(代諾者等)も確認が必要です。

要否を考える流れ(4つの質問)

  1. そもそも指針でいう「研究」ですか。診療の一環として診療録を見返す、症例を報告する、といった活動は、研究に当たらない場合があります。倫理審査が不要な研究の記事をご覧ください。
  2. 新たに試料や情報を取得しますか。新たに取得する場合は、同意が原則となる場面が多く、試料か情報か、要配慮個人情報かどうかで整理が異なります。
  3. 使うのは、自らの研究機関が持つ既存の試料・情報だけですか。そうなら、オプトアウトの条件に当たるかどうかを、研究計画書で整理して委員会に確認します。
  4. 他機関・海外との間で、データのやりとりがありますか。あれば、提供元・提供先の手続を、それぞれ確認します(令和8年:第8の2⑸⑹、令和5年:第8の1⑸⑹)。

臨床研究法の対象になる観察研究かどうかは、指針とは別の確認が必要です。

あわせて読みたい:臨床研究法の対象・対象外:観察研究はどうなるか

3. 「研究実施のお知らせ」には何を書くか

オプトアウトで公開(通知)する文書は、機関によって「研究実施のお知らせ」「情報公開文書」「オプトアウト文書」などと呼ばれます。指針が通知または容易に知り得る状態に置くべき事項として挙げているのは、次の項目です(自機関の既存の情報を使う場合。令和8年改正の本文では第8の7の①②③⑦⑧⑨⑩。令和5年改正の本文では第8の6の同じ番号の項目)。

指針の通知事項(要約) お知らせでの書き方の例(雛形。自作)
① 利用目的と利用方法 「〇〇の患者さんの治療経過を調べ、△△との関連を明らかにする研究です」。ガイダンスは、この項目に、研究の概要(名称、目的、研究期間など)を含むとしています
② 利用する情報の項目 年齢、性別、診断名、検査値、治療内容、転帰など。氏名・住所などは使わないのであれば、その旨
③ 利用を開始する予定日 「〇年〇月〇日から」
⑦ 利用する者の範囲 当院の研究者、共同研究機関名など
⑧ 情報の管理について責任を有する者 機関名と、研究責任者または管理責任者の氏名
⑨ 求めに応じて、利用や他機関への提供を停止する旨 「ご自身の情報が研究に使われることを望まない場合は、下記までお申し出ください。研究に使用しません」(申し出の期限は、機関の規程に合わせます)
⑩ ⑨の求めを受け付ける方法 連絡先(部署名、電話、メールなど)と、受付時間

実務では、上の項目のほかに、研究課題名、対象となる方(期間や条件)、実施する研究機関、倫理審査委員会の承認と機関の長の許可、個人情報の保護、結果の公表の方法などを書く機関が多く見られます。たとえば、新潟大学医学部の公開書式例(申請番号2025-0252)は、対象者と期間、概要、目的、研究期間、情報の利用方法、利用する情報の項目、利用する者の範囲、管理責任者、連絡先を記載する構成でした。三重大学医学部附属病院のオプトアウト文書記載例(Ver 2.0)も、研究への使用を希望しない場合の申出先や、倫理審査委員会の審査と病院長の許可を受けた旨などを記載する構成でした(どちらも2026年10月11日に確認)。機関ごとに、独自の書式を用意している例があります。まず、所属機関の書式をご確認ください。

お知らせの骨組み(雛形。機関の書式がある場合は、そちらを優先してください)

【研究課題名】〔 〕
【研究機関・研究責任者】〔 〕
【倫理審査委員会の承認・機関の長の許可】〔承認番号、日付〕
【対象となる方】〔診療期間、診療科、条件〕
【研究の目的・概要・方法】〔利用目的と利用方法。他機関へ提供する場合はその方法〕
【利用する情報の項目】〔 〕
【利用を開始する予定日・研究期間】〔 〕
【利用する者の範囲】〔共同研究機関名など〕
【情報の管理責任者】〔 〕
【研究への利用を望まない場合】〔利用や他機関への提供を停止する旨、申し出の方法と連絡先〕
【個人情報の保護・結果の公表】〔個人が特定されない形で公表する旨など〕

これは書き方の例です。必須の項目は、委員会が承認した研究計画書と、機関の規程が決めます。

どこに公開するか:「容易に知り得る状態」

ガイダンスは、「容易に知り得る状態」とは、広く一般に研究の実施を知らせること(不特定多数の人々が知ることができるように発表すること)であり、研究の性質と情報の取扱い状況に応じた合理的で適切な方法によるべきだとしています。例として、研究機関のホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載や、医療機関など対象の方が訪れる場所へのポスターなどの掲示、パンフレットなどの備置き・配布が挙げられています。公開場所と方法が妥当かどうかは、研究機関の長が確認します。信州大学医学部のように、審査を経た研究のオプトアウト文書を、申請システムから学部ホームページへ自動で公開する運用をしている機関もあります(信州大学の通知、令和8年4月1日。リンク)。

拒否の申し出があったとき

指針は、研究について通知された情報などに基づく拒否があった場合、遅滞なく、その内容に従った措置を講ずるとともに、その旨を本人に説明するよう定めています(令和8年改正の本文では第8の10、令和5年改正の本文では第8の9)。措置が困難な場合は、倫理審査委員会の意見を聴いたうえで機関の長が許可したときに限り、例外があります。申し出の受付窓口、解析前の対象者からの除外の手順、記録の方法は、研究計画書の段階で決めておくと、慌てずに対応できます(編集上の助言)。

4. 実例:日本の後ろ向き研究5報は、倫理記載に何を書いていたか

PubMedで、日本の施設の後ろ向き研究のうち、オプトアウトに触れ、無料で全文を読める2022〜2026年の論文を検索し(2026年10月11日)、全文を開いて倫理記載(Declarations)を読みました。そのうち5報を例として取り上げます。網羅でも無作為抽出でもなく、書き方の違いが分かるものを選んだ例ですので、割合として読まないでください。倫理審査やオプトアウトの手続が適切かどうかを評価するものでもありません。

日本の後ろ向き研究5報(PMID 40420235、40533872、41146359、40229713、41369783)の倫理記載に、指針の名称、委員会名、承認番号、承認日、オプトアウト、周知の場所、同意不要の位置づけ、既存データへの言及が書かれていたかを示す一覧図。
図1. 日本の後ろ向き研究5報の倫理記載に書かれていた要素(タップで拡大)
読み方:塗りは「その論文の倫理記載に書かれていた」、白は「書かれていない」です。5報とも、指針の名称・委員会名・承認番号・オプトアウトに触れていました。一方、承認日(1報)、周知の場所(3報)、「同意は不要」という位置づけ(2報)、既存データ・匿名化への言及(2報)は、書き方が分かれていました。これは各論文の倫理手続の良し悪しを評価するものではなく、論文に書かれた文章の比較です。5報は、PubMedの無料全文から選んだ例で、標本ではありません。実際の記載は、承認した委員会の文言に合わせてください。
出典:Ishigo T ほか, J Pharm Health Care Sci 2025(PMID 40420235);Ishida R ほか, 同誌 2025(PMID 40533872);Ohtani M ほか, 同誌 2025(PMID 41146359);Kondo N ほか, BMC Cancer 2025(PMID 40229713);Terada T ほか, Support Care Cancer 2026(PMID 41369783)。Europe PMCの全文で2026年10月11日に確認。作図:Editverse Japan(R 4.3.3)。
論文(PMID) 倫理記載の要点(言い換え)
Ishigo T ほか. J Pharm Health Care Sci 2025.(PMID 40420235、doi:10.1186/s40780-025-00452-3、CC BY)多施設後ろ向き研究(バンコマイシン) ヘルシンキ宣言と指針(英語名はやや異なる表記)に沿って実施。昭和大学の倫理委員会が承認し、承認番号を記載。同意はオプトアウトの方法で得た、と記載。公開場所の記載はなし
Ishida R ほか. J Pharm Health Care Sci 2025.(PMID 40533872、doi:10.1186/s40780-025-00459-w、CC BY)後ろ向きコホート(フォーミュラリーの効果) データは匿名化して使用したため、2021年版の指針が定めるオプトアウト(情報公開と撤回の機会)に従った、と記載。倉敷中央病院の倫理委員会の承認番号を記載。承認日と公開場所の記載はなし
Ohtani M ほか. J Pharm Health Care Sci 2025.(PMID 41146359、doi:10.1186/s40780-025-00501-x、CC BY)後ろ向き研究(COVID-19の抗体薬) 指針の公式英語名を記載。東邦大学医療センター大森病院の倫理委員会の承認番号を記載。オプトアウトの機会を患者さんに知らせ、詳細は施設のウェブサイトに示した、と記載
Kondo N ほか. BMC Cancer 2025.(PMID 40229713、doi:10.1186/s12885-025-14047-6、CC BY-NC-ND)後ろ向き研究(陽子線治療後の肋骨骨折) 研究の情報を施設内とウェブサイトで周知し、研究期間中いつでもオプトアウトできるようにした、と記載。既存データのみのため個別の同意は不要と判断した旨と、承認日、承認番号も記載。8要素のすべてに言及(このライセンスのため、本文の引用は行わず、言い換えのみ)
Terada T ほか. Support Care Cancer 2026;34(1)(PubMedの書誌情報は2025年、CrossRefは2026年34巻1号。PMID 41369783、doi:10.1007/s00520-025-10197-2、CC BY)後ろ向き研究(レンボレキサント) ヘルシンキ宣言と指針に沿って実施。国立がん研究センターの審査委員会が承認し、承認番号を記載。同意は後ろ向きの設計のため免除、オプトアウトの情報は病院のウェブサイトに掲載した、と記載

この表から言えること(8つの要素の集計は図1のとおりです)。

  • 5報とも、指針の名称、審査した委員会の名称、承認番号、オプトアウトに触れていました。
  • 承認日まで書いていたのは1報(Kondoら)でした。公開場所(ウェブサイトや施設内)に触れていたのは3報、「同意は不要」または「免除」と書いていたのは2報、既存データや匿名化に触れていたのは2報でした。
  • 指針の名称の書き方も、5報で揃っていませんでした(公式の英語名に近い表記と、そうでない表記)。厚生労働省が公開している英語版の題名は、「Ethical Guidelines for Medical and Biological Research Involving Human Subjects」です(参考訳。法的効力を持つのは日本語の原文のみ)。

「同意は免除された(waived)」と書くか、「オプトアウトで同意を得た」と書くかも、論文によって違います。どちらの表現が適切かは、委員会が出した承認の文書の言い回しに合わせるのが確実です。

集計の再現(R)

図1は、上の5報の倫理記載を筆者が読んで、各要素について「書かれていた(1)/書かれていなかった(0)」を付けた集計です。判断には主観が入ります(たとえばKondoらの「既存データのみのため個別同意は不要」は、「同意は不要・免除」と「既存データへの言及」の両方に数えました)。Rのコードと出力は次のとおりです。

m <- rbind(  # 列:指針の名称/委員会の名称/承認番号/承認日/オプトアウト・拒否の機会/周知の場所/同意は不要・免除と明記/既存データ・匿名化への言及
  Ishigo=c(1,1,1,0,1,0,0,0), Ishida=c(1,1,1,0,1,0,0,1), Ohtani=c(1,1,1,0,1,1,0,0),
  Kondo =c(1,1,1,1,1,1,1,1), Terada=c(1,1,1,0,1,1,1,0))
stopifnot(nrow(m) == 5)
colSums(m)
# [1] 5 5 5 1 5 3 2 2

空白は「その論文の倫理記載には書かれていない」ことを示すだけで、実際に行われなかったという意味ではありません。たとえば、公開場所は論文に書かれていなくても、機関のウェブサイトには掲載されていたかもしれません。

5. 英語論文での書き方:例文(雛形)

上の5報では、指針の名称、審査した委員会と承認番号、同意の扱い(オプトアウトか免除か)を書いているものが共通して見られ、承認日や情報の公開場所は、書いている論文と書いていない論文に分かれました。ICMJEの勧告は、著者は独立した審査機関の承認を求め、編集者から求められたときに文書を示せるようにしておくことを述べています。投稿先の規程を確認のうえ、承認の文書と矛盾しないように書いてください。後ろ向き研究のMethods全体の書き方と、倫理記載の一般的な書き方は、次の記事にまとめています。

あわせて読みたい:後ろ向き研究の論文の書き方:Methods・倫理審査・限界/倫理承認とインフォームド・コンセントの正しい報告方法

英語の記載の雛形(Editverse Japanが作成した例文です。事実と異なる部分は書き換えてください)

(例1:ウェブサイトで周知し、オプトアウトで進めた場合)
This retrospective study used existing clinical records only and was conducted in accordance with the Declaration of Helsinki and the Ethical Guidelines for Medical and Biological Research Involving Human Subjects. The study protocol was approved by the Ethics Committee of [institution] (approval no. [number], [date]). Individual informed consent was not obtained; instead, information about the study was posted on [the hospital website / in the outpatient area], and patients were given the opportunity to decline participation (opt-out).

(例2:字数が限られる場合の短い形)
The Ethics Committee of [institution] approved this study (approval no. [number]). Instead of individual consent, an opt-out procedure was used: study information was posted on [website], and patients could request that their data not be used.

(例3:他機関のデータを用いた多施設の後ろ向き研究の場合)
Data from [institution B] were provided to [institution A] after each institution made information about the study publicly available and ensured that patients had the opportunity to decline, as approved by the respective ethics committees (approval nos. [number A] and [number B]).

これらは書き方の例であり、承認された手続と異なる内容は書かないでください。委員会の承認の文書にある表現が、これらの例文と異なる場合は、委員会の表現を優先します。ジャーナルが独自の書式(「Ethics approval and consent to participate」などの見出し)を定めている場合は、それに従ってください。

英語の倫理記載を含む原稿全体の表現の確認は、医学論文英文校正でも承っています。

まとめ

オプトアウトは、個別の同意を受ける代わりに、研究の情報を通知または容易に知り得る状態に置き、拒否の機会を保障する方法です。自機関の既存の情報を使う後ろ向き研究などで、指針の条件を満たす場合に認められますが、一律に使えるものではなく、研究計画書で理由を説明し、委員会の審査と機関の長の許可を受けます。お知らせには、利用目的、情報の項目、開始予定日、利用する者の範囲、管理責任者、停止の求めの受付方法を書き、ホームページや院内掲示など、対象の方が容易に知り得る場所に置きます。英語論文では、指針の名称、委員会と承認番号、オプトアウトの内容と公開場所を、承認の文書と矛盾しないように書いてください。最終判断は所属機関の倫理審査委員会・研究支援部門にあります。

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よくある質問

オプトアウト同意とは何ですか。

研究対象の方に、研究の情報を通知する、または容易に知り得る状態に置き、研究が行われることについて原則として拒否できる機会を保障する方法です。個別の同意(インフォームド・コンセント)を受ける代わりに、通知と拒否の機会の保障という手続をとります。指針が定める条件を満たす場合に認められ、条件を満たさない場合は同意が必要です。条件に当たるかは倫理審査委員会が審査し、機関の長が許可します。

後ろ向き研究なら、必ずオプトアウトで進められますか。

いいえ、一律にはそうなりません。自らの研究機関が保有する既存の情報を使う場合などに、指針の条件を満たせばオプトアウトによることができますが、新たに試料や要配慮個人情報を取得する研究や、海外へのデータ提供などは、別の整理が必要です。研究計画書で、オプトアウトによる理由を説明し、委員会の審査を受けます。

オプトアウトのお知らせは、どこに掲載すればよいですか。

ガイダンスは、「容易に知り得る状態」の例として、研究機関のホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載や、医療機関などでのポスターの掲示、パンフレットの備置き・配布を挙げています。公開場所と方法が妥当かどうかは、研究機関の長が確認します。機関ごとに規程や書式がありますので、所属機関の指示に従ってください。

英語論文では、オプトアウトをどう書けばよいですか。

指針の名称、審査した委員会の名称と承認番号、同意をオプトアウトで扱った旨、情報の公開場所を簡潔に書くのが一般的な形です。表現は、委員会の承認の文書に合わせてください。本記事に、雛形となる例文を3つ載せています。

オプトアウトの申し出(拒否)があったら、どうしますか。

指針は、拒否があった場合に、遅滞なく、その内容に従った措置を講ずるとともに、その旨を本人に説明するよう定めています。措置が困難な場合の例外には、委員会の意見と機関の長の許可が必要です。受付窓口と対応の手順は、研究計画書の段階で決めておくとよいでしょう。

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英文校正を見る →

参考文献・公式情報(確認日:2026年10月11日)

以下は、2026年10月11日に実際に開いたページです。指針・ガイダンスの引用は短い語句にとどめ、内容は言い換えています。

  1. 厚生労働省「研究に関する指針について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html
  2. 文部科学省「人を対象とする生命科学・医学系研究」:https://www.mext.go.jp/a_menu/lifescience/bioethics/seimeikagaku_igaku.html
  3. 人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和8年8月27日一部改正、2026年12月1日施行。第8の2、第8の7、第8の9、第8の10):https://www.mhlw.go.jp/content/001743409.pdf
  4. 同(令和5年3月27日一部改正の本文。第8の1⑵、第8の6):https://www.mhlw.go.jp/content/001077424.pdf
  5. 施行通知(令和8年8月27日):https://www.mhlw.go.jp/content/001743404.pdf
  6. 同ガイダンス(令和6年4月1日一部改訂。第7の解説、第8の解説):https://www.mhlw.go.jp/content/001237478.pdf
  7. 英語版(参考訳。令和5年改正までを反映。法的効力を持つのは日本語の原文のみと記載):https://www.mhlw.go.jp/content/001457376.pdf
  8. ICMJE. Protection of Research Participants(推奨事項は2026年1月更新と記載):icmje.org
  9. Ishigo T, Suzuki A, Ibe Y, Fujii S, Fukudo M, et al. J Pharm Health Care Sci. 2025. PMID 40420235. doi:10.1186/s40780-025-00452-3
  10. Ishida R, Yamada N, Sato K, Maekawa A, Kamei T, et al. J Pharm Health Care Sci. 2025. PMID 40533872. doi:10.1186/s40780-025-00459-w
  11. Ohtani M, Yokoo T, Miyazaki T, Yasuda H, Nishikawa E, et al. J Pharm Health Care Sci. 2025. PMID 41146359. doi:10.1186/s40780-025-00501-x
  12. Kondo N, Yoshiura T, Kakinohana Y, Yamashita M, Arimura T, et al. BMC Cancer. 2025. PMID 40229713. doi:10.1186/s12885-025-14047-6
  13. Terada T, Hirayama T, Sadahiro R, Wada S, Yamaguchi J, et al. Support Care Cancer. 2026;34(1). PMID 41369783. doi:10.1007/s00520-025-10197-2(上記5報の書誌情報は、PubMedとCrossRefで照合。倫理記載はEurope PMCの全文で確認)
  14. 新潟大学医学部のオプトアウト書式例、三重大学医学部附属病院のオプトアウト文書記載例、信州大学医学部の通知(本文中のリンク)。
  15. 集計と図:Rバージョン4.3.3(2024-02-29)、ggplot2、ragg。図1は上記5報の倫理記載を筆者が読んで付けた記号の集計で、測定データではありません。

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