研究に集中するために任せてよい作業・任せるべきでない作業
研究時間を確保するために、英文校正や体裁調整などの周辺作業を専門家に任せたいと考える研究者は少なくありません。一方で、「どこまで任せてよいのか」という線引きに迷う声もよく耳にします。本記事では、ICMJEの著者資格基準を判断の軸として、任せてよい作業と、研究者自身が担うべき作業を整理します。
判断の軸:ICMJEの著者資格基準を応用する
この線引きに使える明確な基準が、国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)の著者資格基準です。ICMJEは、著者として認められるための条件として、(1) 研究の構想・デザインまたはデータの取得・分析・解釈への実質的な貢献、(2) 論文の起草または重要な知的内容への批判的推敲、(3) 出版される最終版の承認、(4) 研究全体への説明責任、の4つすべてを満たす必要があるとしています(詳細は【共著者ガイド】論文の著者資格と貢献度の決め方で解説しています)。この基準に照らすと、言語面の編集や体裁調整のような、研究の構想・解釈・結論に踏み込まない作業は、著者資格の4条件に該当しない、つまり第三者に任せても問題のない領域だと整理できます。逆に、4条件のいずれかに関わる作業は、研究者自身が担うべき領域です。
任せてよい作業
次のような作業は、研究の構想・解釈・結論そのものに踏み込まないため、専門サービスに任せることができます。
| 作業 | 該当するサービス例 |
|---|---|
| 英文校正 | スタンダード英文校正/学位論文英文校正 |
| 投稿規程に合わせた体裁調整 | 投稿規程フォーマット調整 |
| 日英翻訳 | 論文翻訳(日英) |
| 図表の作成・整形 | 論文図表作成 |
| 統計解析の実行(手法選択は研究者と協議のうえ) | 医学統計解析サポート |
| 投稿先ジャーナルの候補選定 | ジャーナル選定 |
統計解析については、手法の選択や結果の解釈は研究者自身の判断であり、専門サービスはあくまで実行・技術面のサポートです。
任せるべきではない作業
一方、次のような作業はICMJE基準の4条件に直接関わるため、研究者自身が担うべき領域です。
- 研究デザインの決定:どのような研究疑問を、どのような方法で検証するか
- データの取得・実験の実施:研究の根幹となるデータそのものを生み出す作業
- 結果の解釈:得られたデータが何を意味するかという学術的判断
- 結論の決定:研究から何を主張するかという最終判断
- 文献レビューにおける学術的な選定・評価:どの先行研究を重要と位置づけ、どう批評するか(詳しくは文献レビュー執筆支援|どこまで依頼してよいか)
- 最終原稿の承認:投稿前に内容全体を精査し、責任を持てる状態にすること
これらを第三者に委ねてしまうと、著者資格の実質を欠いた状態になり、ゴーストライティングに近づいてしまいます。
迷ったときの簡単な確認方法
ある作業を任せてよいかどうか迷った場合、「その結果について、査読者からの質問に自分で答えられるか」を自問すると判断しやすくなります。英文校正や体裁調整の結果について査読者から質問が来ることは通常ありませんが、研究デザインの妥当性や結果の解釈について問われた場合、研究者自身がその場で説明できる必要があります。この基準で説明できない作業は、任せるべきではない領域である可能性が高いといえます。
まとめ
研究に集中するためには、周辺作業を専門家に任せることは有効な手段です。判断の軸はICMJEの著者資格基準にあり、研究の構想・データ解釈・結論・文献の学術的選定・最終承認は研究者自身が担い、英文校正・体裁調整・翻訳・図表作成・統計解析の実行といった作業は任せてよい領域として整理できます。
公費・研究費でのご利用
見積書を発行いたします
科研費・AMED・JST等の公的研究費でお支払いいただけます。ご依頼前に見積書、納品時に納品書(貴機関の検収手続にそのままご利用いただけます)、検収後に請求書を発行いたします。請求書の宛名のご指定にも対応いたします。
お支払いは初稿をご確認いただいたあとで結構です。事前のお振込は不要です。機関請求書払いのお支払い期限は、請求書発行日から60日以内といたします。
関連記事
- 【共著者ガイド】論文の著者資格と貢献度の決め方
- 文献レビュー執筆支援|どこまで依頼してよいか
- 指導教員となかなか会えない・連絡が取れないときの進め方
- 博士課程のタイムライン管理|逆算スケジュールとマイルストーン設定
参考資料
- International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE). Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals.icmje.org