課程博士・論文博士とは|学位論文の英文校正の注意点 — Editverse Japan

課程博士・論文博士とは|学位論文の英文校正の注意点

日本の博士学位には「課程博士」と「論文博士」という2つの取得ルートがあります。さらに学位論文そのものの構成についても、一つの研究を貫く書き下ろしのモノグラフ形式を求める研究科と、すでに公表された論文を基礎とする形式を認める・求める研究科があり、これは大学院を超えた一律のルールではありません。本記事ではこの2つの軸を整理し、「公表論文に基づく学位論文」を英文校正する際に注意すべき点を解説します。

課程博士と論文博士の違い

課程博士は、大学院博士課程に在籍し、所定の単位取得・研究指導を経て学位論文を提出し取得する学位です。一方、論文博士は大学院の課程に在籍せず、学位論文の審査のみによって博士の学位を取得する、日本に特有の制度です。取得ルートは異なりますが、授与される学位そのものの価値・扱いに違いはありません。近年は論文博士の位置づけについて議論もありますが、現時点で全国一律の廃止が決定しているわけではなく、実施の可否・要件は大学院ごとに異なります。

学位論文の構成:モノグラフ形式か、公表論文に基づく形式か

課程博士・論文博士のどちらのルートを取るかとは別の軸として、学位論文そのものの構成にも大学院・分野による違いがあります。実際に、早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科の博士論文審査の手引きは「単なる関係論文を寄せ集めただけの学位論文はあり得ない」と明記し、一貫した書き下ろしのモノグラフ形式を求めています。一方、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の学位論文の手引きは、論文審査制度を備えた学術誌に掲載済み、または受理された原著論文(英語を含む)に基づいて作成されたものでなければならないと定め、査読誌への掲載実績を前提とした構成を求めています。同じ「学位論文」でも、求められる構成はこのように大学院・分野によって正反対になり得ます。

なぜこの違いが英文校正に影響するのか

モノグラフ形式の学位論文は、序論から結論までを一つの文章として書き下ろすため、章をまたいだ用語・時制・文体の一貫性を全体で保つことが校正の中心になります。これに対し、公表論文に基づく学位論文は、すでに個別のジャーナルで査読・編集を経た複数の章(各論文)を土台とするため、校正の課題はむしろ別のところにあります。各論文が発表時期の異なる別々のジャーナルで編集されているため、章ごとに用語の表記・時制の使い方が微妙に異なっていることが多く、さらに論文と論文をつなぐ「総合序論(General Introduction)」「総合考察(General Discussion)」といった新規に書き下ろす部分は、既存の各章と地続きの文体で書く必要があります。単純にジャーナル論文の校正を複数回繰り返すのとは異なる作業になります。

依頼前に確認しておきたいこと

英文校正を依頼する前に、(1) ご自身の学位論文がモノグラフ形式か公表論文に基づく形式か、(2) 公表論文に基づく形式の場合、各章の初出ジャーナルでの表記・スタイルガイド、(3) 総合序論・総合考察など新規執筆部分の有無、の3点を整理しておくと、校正者に的確に依頼内容を伝えられます。

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まとめ

課程博士・論文博士という取得ルートの違いと、モノグラフ形式か公表論文に基づく形式かという学位論文の構成の違いは、別の軸でありながらどちらも大学院・分野ごとに扱いが異なります。特に公表論文に基づく学位論文は、個別のジャーナル論文の校正とは異なる「複数章の一貫性」という課題があることを踏まえて、英文校正の依頼内容を整理しておくことをおすすめします。

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参考資料

  • アカリク.課程博士と論文博士の違い.acaric.jp
  • 早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科.博士学位論文審査の手引き.waseda.jp
  • 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科.博士後期課程の学位論文について.mdp.nagasaki-u.ac.jp

学位論文の構成要件・論文博士の取り扱いは大学院・研究科ごとに定められています。本記事で紹介した2つの大学院の例はあくまで対照的な運用の一例であり、正式な要件は必ずご自身の研究科の最新の学位論文提出要領でご確認ください。

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