学位論文の英文要旨の書き方|Abstractとの違い — Editverse Japan

学位論文の英文要旨の書き方|Abstractとの違い

学位論文には英文要旨(English Abstract)の提出を求める大学院が多くありますが、その書式・語数を全国一律に定めた規則はありません。実際に求められる形式は大学院・研究科ごとに大きく異なり、なかには英文要旨そのものを求めず日本語の要旨のみで足りる研究科もあります。本記事では、この「大学院ごとの違い」を踏まえたうえで、学位論文の英文要旨がジャーナル論文のAbstractとどう性格が異なるのかを解説します。

全国一律の書式規定は存在しない

博士論文を国立国会図書館(NDL)に送付する際の案内を確認しても、英文要旨の書式・語数について全国一律の定めは見当たりません。要旨の要否・言語・文字数(語数)は、各大学院・研究科が個別に定めています。

大学院によってこれほど違う(3つの実例)

実際に3つの大学院・研究科が公表している学位論文作成要領を確認すると、要旨の扱いは次のように大きく異なります。

大学院・研究科 要旨の扱い
東京大学 総合文化研究科 論文が英語で書かれている場合であっても、要旨は日本語のみとし4,000字以内にまとめると規定。英文要旨は求めていない。
東京大学 医学系研究科 要旨は「和文300字」または「英文250語以内」のいずれかとする、二者択一の規定。
筑波大学 システム情報工学研究科(一般書式) 学位論文本体の書式要領には英文要旨の個別規定がなく、英語論文の場合は別途の要領を参照するとされている。

同じ「学位論文の要旨」でも、日本語のみで足りる研究科、和文・英文いずれかを選べる研究科、独自の別要領を参照する研究科まで幅があります。英文要旨の執筆に着手する前に、必ずご自身の研究科の最新の提出要領・作成要領で、要旨の要否・言語・文字数(語数)の上限を確認してください。

学位論文の英文要旨とジャーナル論文のAbstractの違い

書式の違いとは別に、英文要旨とジャーナル論文のAbstractは、書き手が想定すべき読み手・目的が異なります。ジャーナル論文のAbstractは、その分野の専門読者が「この論文を読むかどうか」を判断するための要約で、通常は一つの研究・一つの実験系を対象とします。一方、学位論文の要旨は、審査委員会や学位授与記録・図書館目録の読み手を想定し、複数章・複数研究にまたがる学位論文全体を、一つの首尾一貫したストーリーとして要約する必要があります。各章のAbstractを単純につなぎ合わせただけでは、学位論文の要旨としては冗長かつ散漫になりがちです。

英文要旨を書く際の実務上のポイント

提出先の要領で定められた文字数・語数の上限を厳守すること、学位論文全体を貫く研究の位置づけ・目的・主な結論を一つのまとまりとして提示すること、各章固有の詳細な数値結果よりも学位論文全体としての新規性・意義を優先することが実務上のポイントになります。すでに公表済みの論文がある場合でも、その論文のAbstractをそのまま流用するのではなく、学位論文全体の要旨として改めて書き直す前提で臨むことをおすすめします。

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まとめ

学位論文の英文要旨は、書式・語数ともに全国一律の規則がなく、大学院ごとに大きく異なります。まずご自身の研究科の提出要領を確認したうえで、ジャーナル論文のAbstractとは異なり、学位論文全体を一つのストーリーとして要約するものだという点を意識して執筆することをおすすめします。

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参考資料

  • 国立国会図書館.国内の博士論文の収集.ndl.go.jp
  • 東京大学大学院総合文化研究科.博士学位請求論文等の作成要領.j.u-tokyo.ac.jp
  • 東京大学大学院医学系研究科.博士学位論文作成要項.m.u-tokyo.ac.jp

英文要旨の要否・書式・文字数(語数)は大学院・研究科ごとに定められています。本記事で紹介した実例はあくまで参考であり、正式な要件は必ずご自身の研究科の最新の学位論文提出要領・作成要領でご確認ください。

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