国際先導研究の様式S-64(2)、(3)、(L)は英語、S-64(1)、(4)とWeb入力項目は日本語又は英語。海外特別研究員の申請書情報と申請内容ファイルは日本語で、受入研究者向けの研究概要は受入研究者が理解できる言語で書くことを示した図

科研費・学振で英語の申請書が必要な制度|国際先導研究・海外特別研究員の言語ルール【2026年版】

国際共同研究を支える科研費と学振の制度には、英語で書く書類と日本語で書く書類が、様式ごとに決まっています。「英語の申請書が必要」と言っても、全てを英語で書く制度は一部で、海外特別研究員の申請内容ファイルのように、日本語で書く制度もあります。この記事は、日本学術振興会(JSPS)の公募要領・作成要領(2026年10月10日確認)をもとに、国際先導研究、海外特別研究員、国際共同研究強化の言語ルールと、英語で書くときの注意点を整理します。

科研費の基本は科研費申請書の書き方、学振の特別研究員(DC・PD)は学振申請書の書き方で解説しています。

1. 制度ごとの言語ルール

国際先導研究の様式S-64(2)、(3)、(L)は英語、S-64(1)、(4)とWeb入力項目は日本語又は英語。海外特別研究員の申請書情報と申請内容ファイルは日本語で、受入研究者向けの研究概要は受入研究者が理解できる言語で書くことを示した図
図1. 制度別の申請書類の記載言語(日本学術振興会の公募要領・作成要領による)
制度 対象 英語が関わる書類 公募・申請の時期
国際先導研究
(国際共同研究加速基金)
日本側研究者が、海外の共同研究者と共同で行う国際共同研究。応募総額5億円以下、研究期間7年(最長10年まで延長可)、採択予定はおおむね5件程度 様式S-64(2)、(3)、(L)は英語。S-64(1)、(4)は日本語又は英語 令和8年度は2026年1月9日〜3月13日(終了)
国際共同研究強化
(国際共同研究加速基金)
基盤研究、若手研究、特別研究員奨励費の採択者が、現在の研究計画について、半年〜1年程度海外で行う国際共同研究。1,200万円以下 様式S-61。日本語版と英語版の様式が公開されている(使用できる言語は公募要領で確認) 令和8年度は2026年7月14日〜9月17日(終了)
海外特別研究員 博士の学位取得後5年未満(令和9年度採用分は2027年4月1日現在)などの要件を満たし、海外の大学等研究機関に2年間派遣される研究者 申請内容ファイルは日本語。受入研究者向けの研究概要や、語学能力の説明などで英語が関わる 令和9年度採用分は2026年5月11日17:00が提出期限(終了)

出典:JSPS「国際先導研究 公募情報」「国際共同研究強化 公募情報」「海外特別研究員 募集要項」と各公募要領・作成要領。令和9年度の国際先導研究・国際共同研究強化の公募要領、および令和10年度採用分の海外特別研究員の募集要項は、2026年10月10日の時点で確認していません。

2. 国際先導研究|英語で書く書類

国際先導研究の研究計画調書は、Web入力項目と、様式S-64(1)〜(4)、S-64(L)の添付ファイルで構成されます。JSPSの公募ページには、言語の指定が明記されています。

日本学術振興会の国際先導研究の公募ページで、S-64(1)と(4)は日本語又は英語、S-64(2)、(3)、(L)は英語で作成するという注記を赤枠で示した画面
画面1. 日本学術振興会の国際先導研究 公募ページ(令和8年度、2026年10月10日確認)

画面の見方:赤枠①②は、S-64(1)と(4)が日本語又は英語、S-64(2)、(3)、(L)が英語という注記です。赤枠③は、S-64(2)の様式名(Framework and Significance of International Joint Research, etc.)です。

※画面は、手順の解説のためにJSPSの公開ページの該当箇所を切り取り、赤枠と番号を加えたものです。出典:国際先導研究の公募について(日本学術振興会、2026年10月10日確認)。

S-64(2)|研究の枠組み、研究計画、若手研究者の育成計画(英語)

  • 令和8年度公募要領の例では、Framework and Significance of International Joint Research欄が5頁以内、Contents of Research Plan欄が5頁以内、Plan for Fostering Early-career Researchers欄が4頁以内、総頁数は14頁以内です。
  • 研究業績は網羅的に書かず、研究計画の実行可能性の根拠となる主要なものを書きます。論文は、掲載済みまたは掲載が確定したものに限ります。
  • 人材育成は、この種目の中心です。応募総額の7割を人材育成費とすることが標準とされ、ポストドクター・大学院生(博士課程)を海外の共同研究者のグループへ派遣・交流させる計画(2年〜3年が中心)を、必ず盛り込むことが求められます。研究組織は、研究者数の3倍程度のポストドクター・大学院生が研究協力者として参画する体制です。
  • 様式をまたぐ参照はできません。事前の選考ではWeb入力項目(前半)、S-64(1)、S-64(3)、S-64(L)のみを使い、海外レビューではS-64(1)を参照しないため、S-64(1)に載せた図をS-64(2)で引用することはできません(逆も同様)。必要な図は、それぞれの様式に載せます。
  • 機微な研究アイディアは、記述に注意します。漏洩が応募者に重大な不利益を与えるおそれのある内容は、書き方に十分注意するよう、記入要領に書かれています。

S-64(3)|応募要件の根拠とCV(英語)

  • 研究代表者は、責任著者となっている国際共著論文(2020年以降に発表したものに限る)が被引用数Top10%の国際共著論文に該当することなど、国際的に卓越した研究成果を挙げていることが要件です。分野によっては、大型国際共同研究プロジェクトの代表者の経験や、海外で刊行された学術書(2015年以降)の著者であることを示す方法もあります。
  • エビデンスは、URLを示すだけではなく、画面のキャプチャなどを図として貼り付けます。使用するデータベースやTop10%の定義(分野、対象年、調査日など)は応募者が選び、審査委員が認識できるように示します。エビデンスがない場合や、Top10%の定義が著しく恣意的な場合は、要件を満たしていないと判断される可能性があります。
  • CVは、研究代表者と研究分担者ごとに別の頁で作成します。論文を挙げる場合は、論文名、著者名、掲載誌名、巻号や頁、発表年(西暦)など、研究業績を特定できる情報を書きます。

S-64(3)の記載要領は、JSPSの令和6年度「国際先導研究 研究計画調書(添付ファイル項目)の作成・記入要領」によります。令和8年度版は公募ページで確認してください。

S-64(L)|Letter of Intent(海外の共同研究者が英語で作成)

Letter of Intentは、海外の共同研究者自らが英語で作成し、自筆でサインします。海外の共同研究者が複数いる場合は、最大3名分まで添付でき、1名分の提出は必須です。同意書は研究計画調書の一部として審査されます。海外の共同研究者には、氏名などの個人情報が科研費の業務のために利用されることを、あらかじめ説明する必要があります。

審査の流れ(令和8年度公募)

書面審査は、人文社会、理工、生物の3つの系委員会ごとに、原則8名〜14名の審査委員が、研究計画調書に加え、国内の審査意見書作成者と海外レビュアが各3名程度で作成する意見に基づいて行います。海外レビューの評点が著しく低い課題は不採択です。事前の選考結果は5月中旬、ヒアリング課題の選定結果は9月中旬、審査結果の通知と交付内定は11月中旬の予定でした。

3. 海外特別研究員|日本語の申請書と、英語が関わる部分

海外特別研究員の申請書は、申請書情報(申請書1〜3ページ、電子申請システムで入力)、申請内容ファイル(申請書4ページ以降、Wordなどの様式で作成)、受入意思確認書、評価書で構成されます。このうち申請内容ファイルは日本語で記入します。英語が関わるのは、次の部分です。

書類・項目 言語・分量 書くこと
申請書情報 「(英文)」と指定された項目以外は日本語 研究課題名(英文)は250バイト以内。海外における受入の大学等研究機関での身分は英文(例:Postdoctoral Fellow、Research Fellow)
申請内容ファイル 日本語。10ポイント以上 研究計画、外国で研究することの意義(派遣先機関・指導者の選定理由、派遣先との打合せ状況を含む)
受入研究者向けの研究概要 受入研究者が理解できる言語(英語等)。2,000バイト以内、図表は挿入できない 受入意思確認書の作成を依頼するときに、海外の受入研究者が参考にする、研究内容・研究計画の概要
語学能力の確認 申請書情報の「外国での研究遂行能力について」欄。800バイト以内 主な使用言語(理系の区分は英語が必須)について、TOEFL(iBT)79点、TOEIC 730点、英検準1級のいずれか程度の語学能力を、客観的な指標で説明する。準備中の場合は研鑽の予定を具体的に書く
評価書 評価書作成者が、英語又は日本語で入力。4,000バイト(全角2,000文字)以内 申請者の研究内容に精通した研究者1名が作成

出典:JSPS「海外特別研究員及び海外特別研究員-RRA 令和9(2027)年度採用分 申請書作成要領」。

語学能力の説明に使える客観的な指標として、作成要領は、語学検定試験の結果、国際学会での発表経験、論文執筆の経験、留学経験、研究室での日常的な使用、共同研究での使用などを挙げています。申請書情報に入力する海外の受入研究者には、必ず本人と連絡を取り、受入について承諾を得ることが求められます。申請者が入力した受入研究者のメールアドレスに、受入意思確認書の作成依頼が届くため、アドレスの誤りがないよう確認します。

令和9年度採用分の申請書の提出期限は、2026年5月11日(月)17:00でした。令和10年度採用分の募集要項は、2026年10月10日の時点で確認していません。

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4. 国際共同研究強化

国際共同研究強化は、基盤研究、若手研究、特別研究員奨励費の採択者が、現在実施している研究計画について、国際共同研究を行うことで格段に発展させることを目的とする種目です。令和8年度は2026年7月14日から9月17日が公募期間でした。JSPSのこの種目のページは、この公募を「令和8(2026)年度」と表記しています。同じ時期(2026年7月14日〜9月17日)の科研費の公募は「令和9年度公募」と呼ばれるため、年度の呼び方が異なります。本記事では、種目ごとにJSPSの表記に合わせています。研究計画調書の添付ファイル項目はS-61の1様式で、JSPSの公募ページには日本語版と英語版の様式、および作成・記入要領が公開されています。応募に使用できる言語の規定は、公募要領で確認してください。

5. 英語で書くときの確認点(編集上の提案)

  • 読み手ごとに、様式を使い分ける:国際先導研究では、国内の審査委員と海外レビュアが、読む様式の範囲が異なります。海外レビュアが読む様式だけで、研究の意義が伝わるかを確かめます。
  • 日本語の計画を、そのまま訳さない:様式の欄の指示と頁数に合わせて、英語で構成し直します。頁数の超過や様式の変更はできません。
  • 論文の書誌情報を、要領どおりに書く:論文名、著者名、掲載誌名、巻号・頁、発表年(西暦)が、揃っているかを確認します。
  • 校正者と共有する情報を決める:未発表のデータや、機微なアイディアを含む部分は、共有の範囲を決めてから渡します。
  • 生成AIの利用は、個人の責任で判断する:JSPSは、研究計画調書の作成に生成AIを利用すると、意図せず著作権の侵害や、個人情報・機密情報の漏洩につながるリスクがあるため、そのことに留意した上で、研究者個人の責任で判断するよう求めています。
  • 内容は、応募者のものであること:科研費の研究計画調書の内容は、応募する研究者独自のものでなければなりません。英文校正は、表現を整える支援であり、研究内容を代わりに作るものではありません。

あわせて読みたい:科研費 提出前チェックリスト

よくある質問

Q. 日本語だけで、国際先導研究に応募できますか。

できません。様式S-64(2)、(3)、(L)は英語で作成する様式です。S-64(1)、(4)は日本語又は英語です。

Q. 海外特別研究員の申請書は、英語で書きますか。

申請内容ファイルは日本語で記入します。英語が関わるのは、研究課題名(英文)、受入研究者向けの研究概要、語学能力の説明などです。

Q. 海外特別研究員で求められる英語力の目安は。

作成要領は、TOEFL(iBT)79点、TOEIC 730点、英検準1級のいずれか程度を、客観的な指標で説明するよう求めています。申請時にその水準に達していない場合は、派遣開始までの語学研鑽の予定を具体的に書きます。

Q. 次の公募はいつですか。

令和9年度の国際先導研究・国際共同研究強化の公募要領と、令和10年度採用分の海外特別研究員の募集要項は、2026年10月10日の時点で確認していません。令和8年度は、国際先導研究が1月9日〜3月13日、国際共同研究強化が7月14日〜9月17日でした。

科研費・学振・AMED・JSTなど、研究費申請支援の全体は研究費申請書添削支援のページでご確認いただけます。

まとめ

英語で書く書類は、制度ごと、様式ごとに決まっています。国際先導研究は、S-64(2)、(3)、(L)が英語です。海外特別研究員は、申請内容ファイルが日本語で、受入研究者向けの研究概要や語学能力の説明で英語が関わります。応募する制度の公募要領と作成要領で、書類ごとの言語、頁数、提出者を確認し、受入研究者や海外の共同研究者への依頼は、早めに行ってください。

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参考資料

上記の内容は2026年10月10日に公開資料で確認しました。公募要領は制度ごと・年度ごとに改訂されるため、応募前に必ず最新の公募要領と作成要領をご確認ください。「編集上の提案」と明記した部分は、JSPSの規則ではありません。

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