DC1・DC2・PDの採択率を9つの書面合議審査区分別に示した点と区間の図。DC1は10.6〜11.8%、DC2は11.6〜12.3%、PDは19.0〜25.4%で、区分間の差は偶然で生じる範囲に収まる

学振に不採用だったら|開示の読み方と再申請の判断(DC1・DC2・PD)

令和9(2027)年度採用分の特別研究員(PD・DC2・DC1)は、2026年9月30日に第一次選考結果が電子申請システムで開示されました。不採用だった場合に見られるのは、各審査項目の評点と、審査区分内の「不採用者のうちのおおよその順位」です。この記事は、日本学術振興会(JSPS)の募集要項と選考方法のページ(2026年10月10日確認)をもとに、開示の時期と内容、評点の読み方、再申請の資格と判断の手順を整理します。

研究課題や研究計画の中身、結論は申請者ご自身のものです。ここで扱うのはJSPSが公開しているルールと数字の読み方で、採否はJSPSの審査で決まります。申請書そのものの書き方は学振申請書の書き方、科研費の不採択については科研費に不採択だったらで解説しています。

1. 開示の時期と見られる期間

募集要項(令和9年度採用分)によると、選考結果は申請者と申請機関に、研究者養成事業電子申請システムで開示されます。開示は3段階で行われます。

時期 開示される内容
令和8(2026)年10月上旬頃まで 第一次採用内定者、第二次採用内定候補者、不採用者
令和9(2027)年1月上旬頃まで 第二次採用内定候補者について、第二次採用内定者、補欠者、不採用者
令和9(2027)年2月中旬頃まで 補欠者について、採用内定者、不採用者(予定)

出典:特別研究員募集要項(DC・PD、令和9年度採用分)「選考結果の開示」。JSPSは、選考に関する個別の問い合わせには応じないとしています。

第一次選考結果は2026年9月30日に開示されました。JSPSのお知らせによると、申請者は申請書の作成時に使ったID・パスワードで電子申請システムにログインして確認します(ID・パスワードが不明な場合は申請機関に問い合わせます)。機関担当者も確認できます。審査結果の郵送による通知は行われません。電子申請システム上で結果を見られるのは、令和9(2027)年3月31日(水)9:00までです。

日本学術振興会の令和9年度採用分特別研究員の第一次選考結果のお知らせで、電子申請システムでの開示、郵送通知を行わないこと、閲覧期限が令和9年3月31日9時までであることを赤枠で示した画面
画面1. 令和9年度採用分の第一次選考結果のお知らせ(日本学術振興会、2026年9月30日掲載、2026年10月10日確認)

画面の見方:赤枠①は、開示の方法(電子申請システム)、ログイン方法、郵送の通知がないことを示します。赤枠②は、システム上で結果を閲覧できる期限(令和9年3月31日9:00)です。期限を過ぎると閲覧できなくなるため、評点と順位は、期限の前にご自身の手元に控えておくことをおすすめします(編集上の提案です)。

※画面は、手順の解説のためにJSPSの公開ページの該当箇所を切り取り、赤枠と番号を加えたものです。出典:令和9(2027)年度採用分特別研究員の第一次選考結果について(日本学術振興会、2026年10月10日確認)。

2. 開示される内容|評点と、不採用者の中での順位

募集要項は、不採用者に「各審査項目の評点」と「該当する審査区分における不採用者のうちのおおよその順位」を開示すると定めています。おおよその順位は、申請機関にも開示されます。採用内定者にも、希望に基づいて各審査項目の評点が開示されます。

ここで注意したいのは、順位が不採用者の中での順位であることです。たとえば「不採用者のうち10位」は、その区分で採用された人数に10を足した位置の前後にいたことを意味します。順位が採用ラインにどれだけ近いかを知るには、その審査区分の採用数が必要です。なお、JSPSが公表している採用状況は、9つの「書面合議審査区分」ごとの数字で、開示に使われる「審査区分」の粒度と一致するとは限りません。順位から全体の位置を見積もるときは、規模感の目安にとどめてください。

3. 評点の仕組み|2つの審査項目と、二段階の書面審査

JSPSの選考方法のページによると、DC・PDの選考は、約1,800人の特別研究員等審査会の審査委員が、二段階の書面審査で行います。一段階目では、1申請あたり、書面審査セットごとに配置された原則5名の審査委員が、申請者の研究能力・将来性などを評価します。一段階目の結果で、採用内定数の上位80%〜120%の申請者が「ボーダーゾーン」となり、二段階目の書面審査の対象になります。

一段階目の評点は、次の2つの審査項目ごとに、絶対評価で5段階(5:非常に優れている、4:優れている、3:良好である、2:普通である、1:見劣りする)で付けられます。そのうえで、2項目の点数を考慮しつつ、書面審査セット内での相対評価により、5段階の総合評価の評点(5が最も採用を強く推奨)が付きます。二段階目では、他の審査委員の一段階目の評点・意見も参考に、A(採用を強く推奨)、B(採用を推奨)、C(採用してもよい)、D(A〜Cに入らない)の4段階の評点が付きます。

審査項目 JSPSの記載 見直しの観点(編集上の提案)
① 自身の研究課題設定に至る背景が示されており、かつその着想が優れていること。また、研究の方法にオリジナリティがあり、自身の研究課題の今後の展望が示されていること。(PDは加えて、博士課程での研究の単なる継続ではなく、新たな研究環境に身を置いて、研究者としての能力を一層伸ばす意欲が見られること) 研究課題を1文で言えるか。背景と先行研究の中での位置づけが、専門外の審査委員にも伝わるか。方法の独自性と、今後の展望を示したか。PDは、受入研究機関を選んだ理由と、環境を変える意義を書いたか
② 学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること 研究業績や経験が、この計画を実行できる根拠として示されているか。業績を並べるだけでなく、研究者としての成長の見通しと結びつけたか

出典:JSPS「特別研究員 選考方法」(DC・PDの審査方針、審査の流れ、審査項目及び評点の付し方)。右の列は、JSPSの規則ではなく、当社の編集上の提案です。

不採用者に開示される「各審査項目の評点」が、上の①②の評点だけか、総合評価や二段階目の評点を含むかは、公開資料からは確認できませんでした。開示画面に表示される項目を確認してください。

4. 審査区分で、採択率は変わるか

審査区分を選び直せば有利になるのか、という疑問に、令和8年度採用分のデータで答えます。JSPSの採用状況(7月1日現在)には、9つの書面合議審査区分ごとの申請者数と採用者数があります。区分ごとの採択率を計算すると、DC1は10.6〜11.8%(全体11.2%)、DC2は11.6〜12.3%(全体11.9%)、PDは19.0〜25.4%(全体22.9%)でした。

DC1・DC2・PDの採択率を9つの書面合議審査区分別に示した点と区間の図。DC1は10.6〜11.8%、DC2は11.6〜12.3%、PDは19.0〜25.4%で、区分間の差は偶然で生じる範囲に収まる
図9. 学振の書面合議審査区分別の採択率(令和8年度採用分、日本学術振興会の採用状況から計算)

読み方:9区分すべてが、全体の採択率から偶然だけで生じる95%の範囲の中に収まりました。区分間の差を検定(χ²検定)しても、有意な差は見られませんでした(DC1、DC2、PDのいずれもp>0.8)。ただし、これは9つの大きな区分での集計で、開示に使われる細かい審査区分や、区分ごとの採用数の決め方は、公開資料では確認していません。PDの採用者数には、DCに申請して採用時までに博士の学位を取得し、PDに資格変更した人が含まれます(JSPSの注記)。この図から言えるのは、大きな区分ごとの採択率に差が見られない、ということです。審査区分の選び直しで採択率が上がる根拠は、このデータからは読み取れません。審査区分は、研究内容に最も合うものを選ぶのが基本です。

5. 再申請の資格

募集要項が再申請を制限しているのは、特別研究員の採用経験者です(確認した範囲)。採用されなかった人が、次の公募に応募することを制限する規定は見当たりませんでした。ただし、資格は採用年度の4月1日時点で数えるため、次回の募集要項で必ず確認してください。令和9年度採用分の主な資格は次のとおりです。

区分 令和9年度採用分の資格(令和9年4月1日現在) 再申請で確認すること
DC1 大学院博士課程に在学し、区分制の博士課程後期第1年次相当(在学月数12か月未満)など。4月に博士課程後期に進学する予定の人を含む 翌年は在学月数が変わるため、DC2の資格(第2年次以上相当、在学月数12か月以上36か月未満など)に当たるかを確認する。休学は在学月数に影響する
DC2 区分制の博士課程後期第2年次以上相当(在学月数12か月以上36か月未満)など 在学月数が上限を超えると、資格を満たさなくなる場合がある
PD 博士の学位を取得後5年未満(令和4年4月2日以降に取得。申請時は見込みでもよい)。受入研究機関は、原則として出身研究機関以外の機関を選ぶ(研究機関移動) 学位取得後5年未満の起点日は、次の公募では1年後ろにずれる計算です(当社の計算)。受入研究機関と受入研究者の選定、研究機関移動の要件を確認する

出典:特別研究員募集要項(DC・PD、令和9年度採用分)の「申請資格」。特別研究員の採用経験者は再度申請できません。ただし、DC1またはDC2の採用経験者は、PDに申請できます(過去にPD等に採用内定後、学位未取得等により資格を変更してDC2に採用された場合を除く)。

あわせて読みたい:海外特別研究員の申請書の言語ルール

6. 再申請か、見直しか|進め方

次の手順は、当社の編集上の提案です。JSPSの規則ではありません。

  1. 評点を、審査項目ごとに書き出す。①と②のどちらが低いか、PDでは研究機関移動と環境を変える意欲が伝わっていたかを確認します。
  2. 順位から、採用ラインとの距離を見積もる。「不採用者のうちの順位」にその区分の採用数を足した位置を、規模感として捉えます。距離が近ければ、低かった項目を中心に絞って改訂します。遠ければ、研究課題の設定や計画の規模から見直すほうが、手戻りが少なくなります。
  3. 資格を確認する。在学月数(DC)、学位取得後の年数と研究機関移動(PD)が、次の公募でも満たされるかを調べます。
  4. 日程を逆算する。令和9年度採用分は、2026年2月上旬に募集要項が公表され、4月上旬に申請の受付が始まり、申請期限は6月3日(水)17:00でした。令和10年度採用分の日程は、JSPSの公表を確認してください。

評点が低かった項目の見直しは、申請書の「研究課題の背景と着想」「研究方法」「研究業績」の書き方に直結します。DC・PDの違いと申請書の構成は、学振申請書の書き方に整理しています。

あわせて読みたい:再申請と並行して探す民間財団の助成

よくある質問

Q. 学振の不採用の結果は、どこで見られますか。

研究者養成事業電子申請システムです。申請書の作成時に使ったID・パスワードでログインします。郵送による通知は行われません。令和9年度採用分の結果は、令和9(2027)年3月31日(水)9:00まで閲覧できます。

Q. 不採用の理由を、JSPSに問い合わせられますか。

募集要項は、選考に関する個別の問い合わせには応じないとしています。開示されるのは、各審査項目の評点と、不採用者のうちのおおよその順位です。

Q. 不採用だと、次回は申請できませんか。

確認した範囲の募集要項で再申請が制限されているのは、特別研究員の採用経験者です。不採用になった人が、資格を満たす限り、次の公募に申請することを制限する規定は見当たりませんでした。

Q. DCに採用された人は、PDにも申請できますか。

できます。DC1またはDC2の採用経験者は、PDに申請できます。ただし、過去にPD等に採用内定後、学位未取得等により資格を変更してDC2に採用されたことがある場合は除かれます。

Q. 「第二次採用内定候補者」「補欠者」とは何ですか。

募集要項が示す、開示の段階の区分です。第一次の開示では、第一次採用内定者、第二次採用内定候補者、不採用者が示され、令和9年1月上旬頃までに第二次採用内定者、補欠者、不採用者が、2月中旬頃までに補欠者について採用内定者、不採用者が開示される予定です。

研究費申請支援

学振申請書添削

再申請の草稿を、審査項目①②に照らして読み直したい方へ。評点が低かった項目を伺ったうえで、申請書の構成と記述を見直します。研究課題、研究計画、結論は申請者ご自身のもので、私たちが申請書を書くことはありません。採否はJSPSの審査で決まるため、採択をお約束することはできません。

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学振・科研費・AMEDなど、研究費申請支援の全体は研究費申請書添削支援のページでご確認いただけます。

まとめ

令和9年度採用分の第一次選考結果は、2026年9月30日に電子申請システムで開示されました。不採用者には、各審査項目の評点と、審査区分内の不採用者のうちのおおよその順位が開示されます。結果の閲覧期限は令和9年3月31日9:00で、郵送の通知はありません。評点は①研究課題の背景・着想・方法・展望、②学術の将来を担う研究者としての期待、の2項目で、順位は不採用者の中での順位です。令和8年度採用分では、大きな審査区分ごとの採択率に差は見られませんでした。再申請の制限は採用経験者のみで、DC・PDの資格は次の公募の募集要項で確認します。

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参考資料

上記の内容は2026年10月10日にJSPSの公開資料で確認しました。図9と本文の採択率は、JSPSの採用状況の申請者数・採用者数から当社で計算したものです。「編集上の提案」「当社の計算」と明記した部分は、JSPSの規則ではありません。日程は予定で、変更の可能性があります。令和10年度採用分の募集要項は、公表後に必ず最新の内容でご確認ください。

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