PubMed検索式の作り方|系統的レビューで再現できる書き方
再現できるPubMed検索式は、研究課題から取り出した概念(通常は対象集団と介入、それに研究デザインのフィルタ)ごとに、統制語(MeSH)と自由語([tiab])をORで束ね、概念同士をANDでつないで作ります。そのうえで、検索したプラットフォーム・検索日・実行したとおりの最終検索式を記録します。本記事では、NCBI E-utilitiesを使って実際に1本の検索式を組み立て、各行の件数を示します(最終行は2026年10月8日時点で14,210件)。選択のたびに件数がどう変わったかも確認します。
本記事が扱うのはPubMedだけです。EmbaseやOvidの構文の詳細、重複除去、スクリーニングは扱いません。レビュー全体の流れはシステマティックレビューとは?やり方を8ステップで解説をご覧ください。
1. 研究課題から検索の「概念」を取り出す
まずPICO(対象集団・介入・比較対照・アウトカム)を書き出し、そのうち検索式に入れる要素を決めます。Cochrane Handbook(第4章、バージョン6.5.1)は、研究課題のすべての側面で検索する必要は通常なく、むしろ望ましくない場合もあると述べています。比較対照やアウトカムはタイトル・抄録に十分書かれていないことが多く、MeSHでも十分に索引されていないことが多いためです。MEDLINEのような総合データベースでは、通常、健康上の問題(対象集団)、介入、含めたい研究デザインの3組の用語を用意します。1つの概念の中の用語はORで結んで感度を高め、概念同士はANDで結びます。
| PICOの要素 | 検索式に入れるか | 本記事の実例 |
|---|---|---|
| P:対象集団・疾患 | 入れる | うつ病 |
| I:介入 | 入れる | 運動 |
| C:比較対照 | 明記され、一貫して報告されている場合のみ(例:プラセボ) | 検索しない |
| O:アウトカム | 抄録で一貫して報告されている場合のみ | 検索しない |
| 研究デザイン | 入れる。通常は検証済みのフィルタを使う | ランダム化比較試験 |
CやOを加えるかどうかは、研究チームが課題ごとに判断します。Handbookは、ヒット件数が多いという理由だけで比較対照やアウトカムを加えたくなった場合は、先に同書が挙げる代替の方法を検討するよう述べています。
以下の実例は説明用の検索です。登録済みプロトコルではなく、1件もスクリーニングしておらず、ヒットした件数は適格な研究の数ではありません。
2. MeSHと自由語([tiab])は両方使う
PubMedで概念を探す方法は2つあります。1つはMeSH(Medical Subject Headings)で、MEDLINEの各論文の主題を記述するための統制語彙です。用語は階層構造に並び、広い用語の下に狭い用語が置かれます(PubMed User Guide)。もう1つは、タイトル・抄録などのフィールドの語を探す自由語で、[tiab]と書きます。Cochrane Handbookは、Cochraneレビューの検索ではこの2つを適切に組み合わせて使うべきだとしています。
PubMed User Guideの記載のうち、ヒットする件数を左右する点が3つあります。
[mh]は既定で下位語も含めて検索(explode)します。下位語を含めたくないときは[mh:noexp]を使います。今回の検索では、"Exercise"[mh]が293,028件、"Exercise"[mh:noexp]が170,295件で、階層の下位語によって122,733件が加わりました。- MeSHは索引付けの際に付与されます。プレプリントやオンライン先行公開の引用など、MEDLINEの索引対象でない記録があります(PubMed User Guideの種(ヒト・動物)フィルタの説明)。MeSHだけの検索では、まだMeSHが付いていない記録は見つかりません。
- 用語は定義(scope note)を読んで選びます。2026年10月8日に、E-utilities経由でMeSHデータベースを確認しました。「Depressive Disorder」(ツリー番号F03.600.300)は、気分の障害が顕著で持続する感情障害と定義されています。「Depression」(F01.145.126.350)は別の用語で、大うつ病性障害とは対比される抑うつ状態を指すと説明されています。うつ病に関するレビューではどちらも候補になるため、実例では両方を使いました。「Physical Activity」は、MeSH用語「Exercise」の入口語(entry term)に含まれています。
それぞれの方法がどれだけ寄与するかを、表1に示します。各概念を、MeSHのみで見つかった記録、自由語のみで見つかった記録、両方で見つかった記録に分けました(同じ日の同じ実行)。
| 概念 | MeSHのみ | 両方 | 自由語のみ | ORブロックの合計 |
|---|---|---|---|---|
| P(うつ病) | 47,208件(7.1%) | 255,329件(38.4%) | 363,114件(54.6%) | 665,651件 |
| I(運動) | 109,847件(15.4%) | 225,154件(31.7%) | 375,993件(52.9%) | 710,994件 |
この例では、どちらの概念でも、ORブロックの半分以上が自由語だけで見つかった記録です。MeSHだけで見つかった記録の割合は小さいものの、確かに存在します。どちらを欠いても漏れが生じます。ただし、これは「どの記録が関連するか」を示すものではなく、2つの経路が部分的に重なり、互いの代わりにはならないことを示すだけです。MEDLINE/PubMedを使った137件の系統的レビューの検索式を調べた研究では、92.7%の検索式に何らかの誤りがあり、最も多かった誤りは自然言語・統制語の両方で用語が不足していることと、MeSHに関する誤りでした(Salvador-Oliván ら, 2019)。
3. 構文の基本:Boolean・フィールドタグ・フレーズ・トランケーション
以下はいずれもPubMed User Guideの記載に基づきます(別途記載のあるものを除く)。
- Boolean演算子は大文字で書きます。AND・OR・NOTは大文字です。PubMedは左から右へ処理するため、概念ごとに括弧でまとめます。
- フィールドタグは角括弧で書きます。
depression[tiab]はタイトルと抄録だけを検索します。フィールドタグを付けると自動用語マッピング(ATM)が無効になり、入力したとおりに検索されます。 - フレーズは二重引用符で囲むか、タグを付けます。例:
"depressed mood"[tiab]。引用符で囲んだフレーズがPubMedのフレーズ索引にない場合は、警告が表示され、語は自動用語マッピングで処理されます。今回のE-utilitiesの応答には、どの行にも警告はありませんでした。 - トランケーション(切り詰め)。アスタリスクは0文字以上の任意の文字を表し、最初のアスタリスクの前に4文字以上が必要です(例:
exercis*)。ワイルドカードも自動用語マッピングを無効にするため、"heart attack*"は心筋梗塞のMeSH用語にはマッピングされません。
トランケーションは、損のない拡張ではなく、トレードオフです。2026年10月8日の実測値は次のとおりです。
| 検索 | 件数 |
|---|---|
depress*[tiab] |
693,427件 |
depression[tiab] OR depressive[tiab] OR "depressed mood"[tiab] |
606,501件 |
exercis*[tiab] |
444,702件 |
exercise[tiab] OR exercises[tiab] |
428,983件 |
アスタリスクによって、うつ病では86,926件、運動では15,719件が増えました。その中には、欲しい語(exercising、exercisedなど)もあれば、別の意味で「depress」で始まる語など、欲しくない語も含まれる可能性があります。どちらなのかは、増えた記録の一部を実際に読まないとわかりません。件数だけでは判断できません。
語を並べて入力しただけのとき、PubMedは何をするか
E-utilitiesのesearchにexercise depression randomized controlled trialと入力したところ、PubMedは検索式を自動的に変換し、6,015件を返しました。「exercise」はMeSH用語と全フィールドの語形に、研究デザインの語は出版タイプとMeSHの「as topic」の用語にマッピングされていました。手早い検索としては妥当です。ただし系統的レビューでは弱点が2つあります。変換の内容を自分で書いていないため、同じ水準で管理・記録できないこと、そして「physical activity」「aerobic training」のような同義語が入らないことです。入力しただけの検索は探索に使い、そのあとで明示的な検索式を書いてください。
4. フィルタと制限:便利だが、どれにもリスクがある
検索フィルタとは、特定の種類の記録(研究デザインなど)を取り出すために設計された検索式です(Cochrane Handbook 4.4.7節)。Handbookは、ヒトを対象にしたランダム化試験を探すときは検証済みのフィルタを使うべきだとし、フィルタは慎重に使うこと、そして開発の信頼性、報告された性能、頻繁に変わるインターフェースや索引付けを踏まえた現時点での正確さで評価することを求めています。また、すでに対象の研究デザインに限定されているCENTRALには、ランダム化試験のフィルタを使わないとしています。
実例では、Handbookの図4.4.aにあるPubMed形式の「Cochrane Highly Sensitive Search Strategy for identifying randomized trials in MEDLINE(感度最大化版、2008年改訂)」を使いました。
#1 randomized controlled trial [pt]
#2 controlled clinical trial [pt]
#3 randomized [tiab]
#4 placebo [tiab]
#5 drug therapy [sh]
#6 randomly [tiab]
#7 trial [tiab]
#8 groups [tiab]
#9 #1 OR #2 OR #3 OR #4 OR #5 OR #6 OR #7 OR #8
#10 animals [mh] NOT humans [mh]
#11 #9 NOT #10
私は、これを1つの式にまとめ、フレーズには引用符を付けました。論理はHandbookのとおりです。フィルタを使った場合は出典を引用してください(PRISMA-Sの項目10)。
このフィルタ、およびほかの制限を加えたくなったときに、同じ日の件数がどう変わったかを示します。
| 選択 | 件数 | 注目する点 |
|---|---|---|
| トピック行のみ(#7) | 37,583件 | 研究デザインのフィルタなし |
#7 AND "randomized controlled trial"[pt] のみ |
4,392件 | フィルタ後の結果の30.9%。出版タイプは出版社が提供するか、MEDLINEの索引付けで付与されるため、まだ索引付けが済んでいない引用はこのフィルタで除かれることがあります(PubMed User Guide) |
#7 AND randomized[tiab] OR randomised[tiab] のみ |
7,300件 | フィルタ後の結果の51.4% |
| #7 AND Cochraneフィルタ(#9) | 14,210件 | #7の37.8%が残る |
#9 AND "humans"[mh](サイドバー型のヒト限定) |
11,743件 | 種の限定は、MEDLINEの索引付けで付与されたMeSH用語に依存します |
#9 NOT "humans"[mh] NOT "animals"[mh] |
2,467件 | #9の17.4%にはどちらのタグもありません。MEDLINEの索引対象でない記録(プレプリント、オンライン先行公開)があるとガイドは述べていますが、この2,467件の中身は確認していません。HandbookのNOT句はこれらを残し、ヒト限定は除きます |
#9 AND English[la] |
13,595件 | 英語に限定すると615件(4.3%)が除かれます |
#9 AND Japanese[la] |
49件 | 日本語の記録も存在し、言語の制限をかけると見えなくなります |
Cochrane Handbookは、検索を言語で制限すべきではないとしています。言語の制限が正当化される場合でも、検索で制限するのではなく、研究選択の際の適格基準として課すべきだという主張がある、と紹介しています。また、Cochraneの介入レビューでは恣意的な日付の制限は推奨されず、文書の種類による制限(例:書簡の除外)も適用すべきでないとしています。研究チームが言語や日付で制限する場合は、その理由を明記してください(PRISMA-Sの項目9)。
5. 実例:9本の検索行と最終検索式
プラットフォームと日付。PubMed(米国国立医学図書館)を、NCBI E-utilitiesのesearchエンドポイント(db=pubmed)からRで検索しました。実施日は2026年10月8日で、#1〜#10の検索はUTC 07:47:13〜07:47:21に実行しました。第2〜4節の比較に使った件数は、同じRセッションで実行しています(UTC 07:47:22〜07:48:16)。最終検索式をPubMedのウェブ画面に入力したところ、同じ日に14,210件と表示されることも確認しました。
| 行 | 概念 | 検索式(実行したとおり) | 件数 |
|---|---|---|---|
| #1 | P、MeSH | "Depression"[mh] OR "Depressive Disorder"[mh] |
302,537 |
| #2 | P、自由語 | depression[tiab] OR depressive[tiab] OR "depressed mood"[tiab] OR "mood disorder*"[tiab] |
618,443 |
| #3 | P | #1 OR #2 |
665,651 |
| #4 | I、MeSH | "Exercise"[mh] OR "Exercise Therapy"[mh] |
335,001 |
| #5 | I、自由語 | exercis*[tiab] OR "physical activity"[tiab] OR "aerobic training"[tiab] OR "resistance training"[tiab] OR "strength training"[tiab] OR yoga[tiab] |
601,147 |
| #6 | I | #4 OR #5 |
710,994 |
| #7 | P AND I | #3 AND #6 |
37,583 |
| #8 | デザインのフィルタ | Cochrane感度最大化RCTフィルタ(図4.4.a)単独 | 6,079,063 |
| #9 | 最終 | #7 AND #8 |
14,210 |
| #10 | 最終(登録日を固定) | #9 AND ("1900/01/01"[edat] : "2026/10/08"[edat]) |
14,210 |
#1〜#10は、本記事での便宜上の番号です。PubMedの詳細検索ではHistoryの行を同じように組み合わせられますが、Historyの番号を使って作った検索はURLに保存できません。Historyの有効期限が切れると行が失われるためです(PubMed User Guide。Historyは8時間操作がないと失効し、保持されるのは直近100件の検索です)。そのため、保存する検索式は、すべて展開した形のものにする必要があります。
最終検索式(#10)をそのまま掲載します。PubMedの検索ボックスに貼り付ければ再実行できます。PubMedでこの検索式を開くこともできます。
(((("Depression"[mh] OR "Depressive Disorder"[mh]) OR (depression[tiab] OR depressive[tiab] OR "depressed mood"[tiab] OR "mood disorder*"[tiab])) AND (("Exercise"[mh] OR "Exercise Therapy"[mh]) OR (exercis*[tiab] OR "physical activity"[tiab] OR "aerobic training"[tiab] OR "resistance training"[tiab] OR "strength training"[tiab] OR yoga[tiab]))) AND (("randomized controlled trial"[pt] OR "controlled clinical trial"[pt] OR randomized[tiab] OR placebo[tiab] OR "drug therapy"[sh] OR randomly[tiab] OR trial[tiab] OR groups[tiab]) NOT ("animals"[mh] NOT "humans"[mh]))) AND ("1900/01/01"[edat] : "2026/10/08"[edat])
件数は日々変わります。PubMedには毎日記録が追加され、すでにPubMedにある記録も、新しい索引語が付くなどして更新されることがあります(PRISMA-S、項目13)。同じ日に、同じ検索式で登録日の上限を2026年9月7日("2026/09/07"[edat])に戻して実行すると14,131件で、79件少なくなりました。したがって、私の検索式を後日再実行すると、14,210件以上の件数になると予想されます。登録日で固定した検索式でも、件数が完全に再現される保証はありません。日付と件数を両方記録するのはそのためです。
件数の取得に使ったRのコードです(短縮版。検索式の全文は上の表にあります)。
esearch_count <- function(q) {
r <- httr::POST("https://eutils.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/eutils/esearch.fcgi",
body = list(db = "pubmed", term = q, retmode = "json", retmax = 0),
encode = "form")
Sys.sleep(0.5) # E-utilitiesのレート制限の範囲内に収める
j <- jsonlite::fromJSON(httr::content(r, as = "text", encoding = "UTF-8"))
list(count = as.integer(j$esearchresult$count),
when = format(Sys.time(), "%Y-%m-%d %H:%M:%S", tz = "UTC"))
}
L <- character(10)
L[1] <- '"Depression"[mh] OR "Depressive Disorder"[mh]'
# ... L[2]〜L[8]は上の表のとおり ...
L[7] <- sprintf("(%s) AND (%s)", L[3], L[6])
L[9] <- sprintf("(%s) AND (%s)", L[7], L[8])
res <- lapply(L, esearch_count)
Rの出力(セッションからそのままコピー):
line count retrieved_utc
1 1 302537 2026-10-08 07:47:13
2 2 618443 2026-10-08 07:47:14
3 3 665651 2026-10-08 07:47:15
4 4 335001 2026-10-08 07:47:16
5 5 601147 2026-10-08 07:47:16
6 6 710994 2026-10-08 07:47:17
7 7 37583 2026-10-08 07:47:18
8 8 6079063 2026-10-08 07:47:19
9 9 14210 2026-10-08 07:47:20
10 10 14210 2026-10-08 07:47:21

図の読み方:2つの概念ブロックはそれぞれ数十万件を返し、両者を結ぶと37,583件、デザインのフィルタをかけると14,210件になります。また、どちらのブロックでも、MeSHと自由語は互いに相手が見つけない記録を見つけています。
6. 検索を記録し、論文に書き、再実行できるようにする
何を報告するかは、PRISMA 2020とその検索の拡張版が定めています。
- PRISMA 2020は、検索したすべての情報源と、各情報源を最後に検索した日を明記すること(項目6)、フィルタと制限を含め、すべてのデータベースの完全な検索式を示すこと(項目7)を求めています。
- PRISMA-S(Rethlefsen ら, 2021)は、さらに細かく定めています。検索した各データベースの名前とプラットフォームを書くこと(項目1)。検索式は「実行したとおりにコピー&ペースト」して載せること(項目8)。制限(項目9)と、公表済みのフィルタの出典(項目10)を書くこと。各検索式について最後に検索した日を示すこと(項目13)。検索式のピアレビューがあれば説明すること(項目14)。各情報源から得られた記録の総数を記録すること(項目15)。PRISMA-Sは、MEDLINEが少なくとも10のプラットフォームから利用でき、それぞれフィールドコード、フレーズ検索、トランケーションの動作が異なると述べており、これがプラットフォーム名を書く理由です。
- Cochrane Handbook(MECIR C36)は、検索した情報源、時期、実施者、用語を、すべての検索が再現できる程度に詳しく内部記録として残すことを求めています。また、レビューの公表前12か月以内に検索を再実行することも求めています(MECIR C37)。
検索ごとに残す最低限の記録は次のとおりです。
| 項目 | 本記事での例 |
|---|---|
| データベースとプラットフォーム | MEDLINE/PubMed、米国国立医学図書館(NLM)、ウェブ画面。件数はE-utilitiesのesearchで取得 |
| 実行した日付と時刻 | 2026年10月8日、UTC 07:47 |
| 実行したとおりの検索式の全文 | 上に掲載した最終検索式 |
| 件数 | 14,210件 |
| 制限とフィルタ(出典つき) | Cochrane感度最大化RCTフィルタ(Handbook図4.4.a)、登録日は2026/10/08まで、言語・日付の制限なし |
| 実行者とレビュー者 | 氏名またはイニシャル |
| 再実行・更新の日付 | 実行のたびに行を追加 |
最終検索式を原稿に書き出す手順
- 最後の実行のあと、PubMedのクエリボックスから、すべて展開した検索式をコピーします。Historyの番号を使った形のものを貼り付けないでください。
- 第5節のような行ごとの表(件数と日付つき)を、付録または補足資料に残します。PubMedのHistoryには、各クエリ、その件数、タイムスタンプが表示され、Downloadボタンでcsvファイルを作れます(PubMed User Guide)。Historyはセッション内の保存なので、失効する前にダウンロードしてください。ガイドによれば、Excelは通常1つのセルに1,024文字を超える内容を表示できないため、長い検索式を全文確認するにはCSVをテキストエディタで開きます(本記事の最終検索式は615文字ですが、長い検索式ではこの上限を超えることがあります)。
- Methodsには、プラットフォームと日付を書き、完全な検索式は付録を参照させます。PRISMA-Sは、完全な検索式を補足資料に載せ、その場所をMethodsに記載してリンクすることを提案しています。最後の検索日を抄録に書くことも提案しています。
- 件数はPRISMAフロー図に入れます。そのデータベースから特定された記録数として記載します(PRISMA声明でシステマティックレビューを正しく報告する方法を参照)。
7. 検索式をチェックしてもらう:PRESSとよくある誤り
Cochraneは、検索を実行する前に検索式のピアレビューを受けることを強く推奨しています。エビデンスに基づくチェックリストがPRESS 2015です(McGowan ら, 2016)。残された6つの要素は、研究課題の変換、Boolean演算子と近接演算子、件名標目、テキストワード検索、スペル・構文・行番号、制限とフィルタです。著者らの系統的レビューでは、構造化されたPRESSが検索の誤りを見つけ、検索語の選択を改善できる可能性が示唆されました。Handbookはさらに、医学・医療系の司書(ライブラリアン)や情報専門家が、公表前に検索式の部分を作成するか、少なくともコメントすべきだとしています。PRISMA-Sも、経験豊富な検索者・情報専門家・司書による検索式のピアレビューを強く検討するよう述べています。
実務の順序の例:PICOの概念を書く → PubMedの検索式を作る → 検索式と研究課題を司書または2人目の検索者に送る → 誤りを直す → 最終の検索式を実行する → 日付と件数を記録する。検索式がピアレビューを受けたこと、その方法(使ったツール)を報告するのがPRISMA-Sの項目14です。
8. Editverse Japanがお手伝いできること
検索の設計とレビューの記載を、投稿前に整えたい方へ
検索の設計、データベースの選択、最終検索式は、研究チーム(可能であれば司書)の仕事です。Editverse Japanは、プロトコルとMethodsの検索に関する記載の整理、PRISMA 2020とPRISMA-Sに沿った報告の確認、付録の表の整形、英文校正を、研究者の方と一緒に進めます。サービスの全体は系統的レビュー・メタアナリシス支援をご覧ください。採択まで追加料金なしでサポートを継続します(採否はジャーナルの編集者・査読者が判断し、採択を保証するものではありません)。研究デザイン、結果の解釈、結論、投稿の判断は研究者に帰属します。
まとめ
- 検索する概念は、タイトル・抄録によく書かれているもの(通常はP、I、研究デザイン)に絞り、CやOは理由があるときだけ加えます。
- MeSHと
[tiab]の自由語は併用します。実例では、それぞれが相手の見つけなかった記録を見つけました。 - Boolean演算子は大文字で書き、概念ごとに括弧でまとめます。トランケーションはトレードオフとして扱います。
- フィルタや制限にはそれぞれリスクがあります(出版タイプや種のタグは索引付けに依存し、言語の制限は記録を隠します)。フィルタは出典を引用し、制限には理由を書きます。
- 実行のたびに、プラットフォーム、日付、すべて展開した検索式、件数を記録します。件数は日々変わります。
- 検索式は実行する前にピアレビュー(PRESS)を受け、そのことを報告します。
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よくある質問
Q. PubMedだけで系統的レビューの検索は足りますか?
分野によって異なり、研究チームが判断します。Cochrane Handbookは、MEDLINE、Embase、CENTRAL、試験登録簿など複数の情報源を挙げており、PRISMA 2020は、検索したすべての情報源と最後の検索日を書くよう求めています。本記事が扱うのはPubMedの部分だけです。
Q. MeSH用語だけで検索してもよいですか?
実例では、自由語だけで見つかった記録が、各ORブロックの54.6%(うつ病)と52.9%(運動)を占めました。MeSHは索引付けの際に付与されるため、オンライン先行公開の引用のように、まだMeSHが付いていない記録もあります。Cochraneは両方の併用を勧めています。
Q. CochraneのRCTフィルタは必ず使う必要がありますか?
Handbookは、ヒトを対象にしたランダム化試験を探すときは検証済みのフィルタを使うべきだとしていますが、CENTRALには使わないとしています。フィルタが課題に合うかどうかは、研究チームが判断します。使うときは出典を引用し、報告してください(PRISMA-Sの項目10)。
Q. 検索日はいつの日付を書きますか?
各検索を実行した日付です。更新した場合は、最後に再実行した日付も書きます(PRISMA 2020の項目6、PRISMA-Sの項目13)。Handbookは、公表前12か月以内に検索を再実行することを求めています。
Q. ヒット件数が多すぎるとき、アウトカムを足して絞ってもよいですか?
場合によってはあり得ますが、アウトカムは抄録に十分書かれていないことが多く、索引付けも不十分なことが多いため、Handbookは、件数が多いという理由だけで比較対照やアウトカムを加える前に、代替の方法を検討するよう示しています。アウトカムが一貫して報告されているかを確認してから加え、その判断を記録してください。
参考資料
PubMed収載の文献(各文献は2026年10月8日にNCBI E-utilitiesのesummaryで確認)
- Rethlefsen ML, Kirtley S, Waffenschmidt S, et al. PRISMA-S: an extension to the PRISMA Statement for Reporting Literature Searches in Systematic Reviews. Syst Rev. 2021;10(1):39. doi: 10.1186/s13643-020-01542-z. PMID: 33499930(CC BY 4.0。PMC7839230で全文を確認)。
- Page MJ, McKenzie JE, Bossuyt PM, et al. The PRISMA 2020 statement: an updated guideline for reporting systematic reviews. BMJ. 2021;372:n71. doi: 10.1136/bmj.n71. PMID: 33782057(PMC8005924で項目6・7を確認)。
- McGowan J, Sampson M, Salzwedel DM, Cogo E, Foerster V, Lefebvre C. PRESS Peer Review of Electronic Search Strategies: 2015 Guideline Statement. J Clin Epidemiol. 2016;75:40-46. doi: 10.1016/j.jclinepi.2016.01.021. PMID: 27005575(抄録を確認)。
- Salvador-Oliván JA, Marco-Cuenca G, Arquero-Avilés R. Errors in search strategies used in systematic reviews and their effects on information retrieval. J Med Libr Assoc. 2019;107(2):210-221. doi: 10.5195/jmla.2019.567. PMID: 31019390(抄録を確認)。
組織・ガイドライン(2026年10月8日に参照)
- Lefebvre C, Glanville J, Briscoe S, et al. Chapter 4: Searching for and selecting studies [last updated March 2025]. In: Higgins JPT, Thomas J, Chandler J, et al., editors. Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions version 6.5.1. Cochrane; 2025:Cochrane Handbook 第4章
- National Library of Medicine. PubMed User Guide:PubMed User Guide
- National Library of Medicine. MeSHデータベース(「Depressive Disorder」「Depression」「Exercise」「Exercise Therapy」)。NCBI E-utilitiesのesummary(db=mesh)で確認