基盤研究(C)と若手研究の小区分ごとの新規採択率(令和7年度、各306小区分)。基盤研究(C)の全体の採択率は27.43%で小区分別は20.0〜33.0%、若手研究の全体は40.23%で小区分別は28.6〜50.0%。すべての小区分が、偶然だけで生じる95%の範囲に収まっている

科研費に不採択だったら|開示の読み方と再申請の判断

科研費(基盤研究(B・C)・若手研究)に不採択だった場合、次の申請書の手がかりになるのは、応募時に開示を希望した人だけが受け取れる「審査結果の開示」です。内容は、小区分内のおおよその順位、評定要素ごとの審査委員の素点(平均)、審査委員が選んだ定型所見です。令和9(2027)年度公募の予定表では、採否の通知(2027年2月26日)とは別に、審査結果の開示が「4月頃」とされています。この記事は、その開示を読み解き、同じ研究課題で再申請するのか、種目や小区分を変えるのかを決めるまでの手順に絞って説明します。

研究課題、研究計画、科学的な判断は申請者ご自身のものです。ここで扱うのは、JSPSが公開しているルールと数字の読み方で、採否はJSPSの審査で決まります。種目の違いや申請書の書き方そのものは基盤研究(C)・若手研究の違いと書き方と科研費申請書の書き方、提出前の確認は科研費 提出前チェックリストをご覧ください。論文の不採択(ジャーナルのリジェクト)は別の話で、Reject and ResubmitとRevise and Resubmitの違いで扱っています。

1. 結果通知と開示は同じ日ではありません

令和9年度の基盤研究(B・C)・若手研究の予定表(公募要領 p.16)を整理します。いずれも予定で、JSPSは変更が生じる可能性があると明記しています。

時期 できごと 根拠・状態
2026年7月14日〜9月17日 令和9年度公募の受付期間(参考) 公募要領 p.2・p.16。次の公募の日程は、JSPSが公表するまで確定しません
2027年2月26日 審査結果の通知(採択・不採択)。電子申請システムで研究代表者と研究機関に通知 予定(公募要領 p.16・p.24)
2027年4月上旬 交付内定 予定(公募要領 p.16)
2027年4月頃 審査結果の開示(開示を希望した不採択者) 予定(公募要領 p.16)

通知日に分かるのは採否で、順位や評点が見られるのは、予定表では4月頃です。通知日に点数が出ないからといって、開示が行われないわけではありません。

開示について、確認しておきたい点が3つあります。

  • 開示は応募時に希望した人だけに行われます。研究計画調書のWeb入力項目「開示希望の有無」で選びます。「希望しない」を選んだ場合は、いかなる理由でも開示しないと書かれています(Web入力要領 項目11)。次回の応募では、この欄を必ず確認してください。
  • 開示は応募者本人だけが見られます。機関の担当者を含め、応募者以外は閲覧できないとされています(同)。指導者や共同研究者に読んでもらう場合は、ご自身で共有します。
  • 開示を希望していなかった場合は、JSPSが公開している「審査における評定基準等」で、草稿を評定要素ごとに自己点検する方法があります(編集上の提案です)。

2. 開示で見られるもの、見られないもの

基盤研究(B・C)と若手研究で開示される内容は、公募要領(p.24)と審査規程(第13条)に書かれています。2つの資料で表現が少し異なる点は、表の注意点の欄に示しました。

開示項目 資料の記載 読むときの注意
おおよその順位 公募要領:小区分におけるおおよその順位。審査規程:採択されなかった研究課題全体の中でのおおよその順位 順位は「不採択になった課題の中」での順位と読めます(第4節)。表示の形式(数値か区分か)は、公開資料には書かれていません
評定要素ごとの素点(平均点) 各評定要素に係る審査委員の素点(平均点)。審査規程では、1段階目の書面審査における評定要素ごとの審査結果 各評定要素は4(優れている)〜1(不十分)の4段階で、審査委員3名の平均になります(第3節)。2段階目の結果は開示項目に書かれていません
定型所見 評定要素を「2 やや不十分」または「1 不十分」と評価した審査委員が、評定要素のどの項目が不十分かを選択したもの 自由記述ではなく選択式の項目です(第5節)
その他の評価項目 審査規程:その他の評価項目の評価結果。研究経費の妥当性は、複数の審査委員が「×」を付けると、配分額が平均より低く設定されます。人権の保護・法令等の遵守は、所定の手続き・対策等に不十分な点があれば、その旨が表示されます 研究費の応募・受入等の状況と、人権・法令等の欄は、総合評点には考慮されません

開示項目として書かれていないものもあります。審査委員が書く自由記述の「審査意見」は、2段階目の審査で他の審査委員に示すためのもので、公募要領が挙げる開示項目(順位、素点の平均、定型所見)には含まれていません。また、各審査委員の審査結果が特定されないよう配慮した上で開示すると、審査規程第13条に書かれています。1人の審査委員の評価を特定して読むことはできません。

3. 平均評点から、何が起きたかを読む

基盤研究(C)と若手研究では、小区分ごとに3名の審査委員が審査します(公募要領 p.23)。各評定要素は、4・3・2・1の4段階で評価されます。3名の平均が取りうる値は10通りしかなく、平均の値から、評価の分かれ方がかなり絞り込めます。次のRのコードで、3名の評点の組み合わせ(順不同、全20通り)を数えました。

g <- expand.grid(a = 1:4, b = 1:4, c = 1:4)
g <- g[g$a <= g$b & g$b <= g$c, ]   # 3名の評点(順不同):20通り
g$mean <- round((g$a + g$b + g$c) / 3, 2)
g$has_le2 <- g$a <= 2                 # 2以下を付けた審査委員がいるか
aggregate(has_le2 ~ mean, data = g, FUN = function(x) paste0(sum(x), "/", length(x)))
3名の平均 評点の組み合わせ(順不同) 2以下を付けた審査委員がいる組み合わせ
4.00 (4,4,4) 0/1
3.67 (3,4,4) 0/1
3.33 (3,3,4)、(2,4,4) 1/2
3.00 (3,3,3)、(2,3,4)、(1,4,4) 2/3
2.67 (2,3,3)、(2,2,4)、(1,3,4) 3/3
2.33 (1,3,3)、(2,2,3)、(1,2,4) 3/3
2.00 (2,2,2)、(1,2,3)、(1,1,4) 3/3
1.67 (1,2,2)、(1,1,3) 2/2
1.33 (1,1,2) 1/1
1.00 (1,1,1) 1/1

読み方:平均が3.00未満の評定要素には、必ず、2または1を付けた審査委員がいます。したがって、その評定要素には定型所見が付いているはずです。平均が3.67以上なら、2以下を付けた審査委員はいません。3.00と3.33は、3名のうち1名だけが低く評価した場合と、全員が3以上だった場合の両方があり得ます。平均だけで判断せず、その評定要素の定型所見の有無を確認してください。

注意点が2つあります。第1に、これは評点の組み合わせを数えただけの計算で、実際の分布を示すものではありません。第2に、審査委員の評価は、同じ申請書でも審査委員によって大きく割れることがあります。NIHの申請書25件を43名の審査者が評価した再現実験では、評点にも講評にも、審査者の間の一致は見られませんでした(Pier ら, 2018)[文献3]。NIHの審査で得られた結果で、科研費にそのまま当てはまるとは限りませんが、3名のうち1名の評価だけで申請書の全体像を判断しないという姿勢の根拠にはなります。また、審査規程は、高い総合評点を得る課題が、すべての個別要素で高い評価を得ている必要はないと書いています(別添5・別添6)。すべての評定要素を満点にしようとするより、低かった要素を、他の要素とのバランスの中で引き上げることを考えてください。

4. 「おおよその順位」は、不採択の中での順位です

審査規程第13条は、順位を「採択されなかった研究課題全体の中でのおおよその順位」と定めています。順位が「不採択者の中で10位」であれば、その小区分の全体では、採択件数に10を足した位置の前後にいたことになります。計算例を示します。JSPSが公表している令和7(2025)年度の小区分別の表(新規分)で、小区分01010「哲学および倫理学関連」を使います(件数は年度により変わります)。

種目 応募 採択 不採択 不採択の中で「おおよそ○位」のとき、全体での位置
基盤研究(C) 150件 46件 104件 10位なら、46+10=56位前後(150件中。上位から約37%)
若手研究 56件 25件 31件 5位なら、25+5=30位前後(56件中。上位から約54%)

この計算は、順位が数値で示される場合の目安です。順位が採択ラインにどれだけ近いかを読むには、ご自身の小区分の採択件数が必要です。JSPSの「配分結果集計表(審査区分別)」に、小区分ごとの応募件数と採択件数が載っています。

小区分によって、採択ラインの位置はどれくらい違うのでしょうか。令和7(2025)年度の新規分について、小区分ごとの採択率を計算しました。2026年10月9日の時点で、JSPSのページに掲載されている最新の小区分別の表です。

kc <- read.csv("kakenhi-kiban-c-r7.csv")   # 小区分コード, 応募件数, 採択件数(JSPSの表から転記)
kc$rate <- kc$adopt / kc$apps
P <- sum(kc$adopt) / sum(kc$apps)          # 全体の採択率
z <- (kc$rate - P) / sqrt(P * (1 - P) / kc$apps)
sum(abs(z) > 1.96)                          # 偶然だけで生じる95%の範囲の外に出た小区分の数
小区分ごとの新規採択率を応募数に対して示した漏斗図(令和7年度)。基盤研究(C)は全体27.43%で小区分の中央値26.8%、若手研究は全体40.23%で中央値39.1%。どちらも306小区分のうち帯の外に出た小区分は0でした。
図1. 小区分ごとの新規採択率(基盤研究(C)・若手研究、令和7(2025)年度、各306小区分)。点が1つの小区分、破線が全体の採択率、帯が偶然だけで生じる95%の範囲(データ:JSPS「配分結果集計表(審査区分別)」令和7年度、R)© editverse.com

読み方:どちらの種目も、306のすべての小区分が、偶然だけで生じる95%の範囲の中に収まりました。自分の小区分の採択ラインは、全体の採択率から大きく外れてはいません。ただし若手研究では、小区分が小さい(応募件数の中央値は30.5件)ため、採択1件で採択率が3.3ポイント動きます。

基盤研究(C) 若手研究
小区分の数/応募件数/採択件数 306/46,497件/12,756件 306/13,883件/5,585件
不採択件数 33,741件 8,298件
全体の採択率 27.43% 40.23%
小区分別の採択率:最小/第1四分位/中央値/第3四分位/最大 20.0%/25.7%/26.8%/28.3%/33.0% 28.6%/37.5%/39.1%/41.2%/50.0%
小区分別の採択率の標準偏差 1.87ポイント 3.42ポイント
小区分あたり応募件数の中央値/50件未満の小区分 104.5件/38 30.5件/226
採択1件あたりの採択率の変化(中央値の小区分) 約1.0ポイント 約3.3ポイント
偶然だけで生じる95%の範囲の外にある小区分 0/306 0/306

図と表のデータは、JSPSの表の行を集計したもので、合計は表の「合計」行(基盤研究(C)46,497件・12,756件、若手研究13,883件・5,585件)と一致しました。この図は、小区分ごとの採択率が全体の値の近くにあることを示すだけで、その理由(採択件数の割り当て方法など)は、公開資料で確認していません。数字は令和7(2025)年度のもので、年度による違いは基盤研究(C)・若手研究の違いと書き方の年次推移をご覧ください。

5. 定型所見を、修正の問いに変える

審査規程は、評定要素を2または1と評価した審査委員が「評定要素のいずれの項目について」不十分と判断したかを選択すると定めています。評定基準で各評定要素の下に書かれている観点が、この「項目」にあたると読むのが自然です。ただし、開示画面の項目名そのものは公開資料に書かれておらず、下の表は読み方の対応表です。画面の文言と同じとは限りません。表の最後の列は、Editverse Japanの編集上の提案で、JSPSの規則ではありません。申請書の場所は、基盤研究(C)・若手研究の違いと書き方の記事にある評定要素の表と同じ考え方です。

評定要素 評定基準にある観点(要約) 申請書の主な場所 修正のための問い(編集上の提案)
(1) 学術的重要性 核心をなす学術的「問い」が明確で、独自性や創造性があるか 「研究目的、研究方法など」の概要(10行程度)、学術的「問い」欄 問いを1文で言えるか。先行研究のどこと違うのかを、専門外の審査委員にも分かる形で書いたか
(1) 学術的重要性 着想に至る経緯と、国内外の研究動向の中での位置づけは明確か 同欄の背景部分 位置づけを示す先行研究は具体的か。自分の研究が埋める空白を明示したか
(1) 学術的重要性 広い学術・科学技術・社会への波及効果が期待できるか 同欄 誰に、どんな変化が起きうるのかを、根拠とともに書いたか
(2) 研究方法の妥当性 研究方法等は具体的かつ適切か 「研究目的、研究方法など」 目的と各年度の方法が対応しているか。方法の選択理由を示したか
(2) 研究方法の妥当性 研究経費は研究計画と整合性がとれているか Web入力の「研究経費とその必要性」 経費の各項目が、どの年度のどの作業のためのものか、追えるか
(2) 研究方法の妥当性 研究目的を達成するための準備状況は適切か 同欄 予備的な結果や、すでに着手している準備を具体的に書いたか
(3) 研究遂行能力及び研究環境 これまでの研究活動から見て、研究計画に対する十分な遂行能力を有しているか 「応募者の研究遂行能力及び研究環境」欄 業績を網羅するのではなく、この計画の実行可能性の根拠として選んだか
(3) 研究遂行能力及び研究環境 研究施設・設備・研究資料等の研究環境は整っているか 同欄 必要な設備や資料を、使える状況で書いたか

優先順位のつけ方(編集上の提案):まず、平均が3.00未満だった評定要素から手をつけます。次に、その評定要素に付いた定型所見を、上の表の行に対応させます。最後に、順位と、ご自身の小区分の採択件数から、採択ラインとの距離を見積もります。距離が近ければ、指摘された評定要素を中心に絞って改訂します。距離が遠ければ、研究の問いや計画の規模、小区分の選び方から見直すほうが、手戻りが少なくなります。改訂した内容が研究計画の中身に関わるときは、その判断は申請者ご自身のものです。

6. 再申請か、種目・小区分の変更か

令和9年度の公募要領(公募要領)で確認できた、再申請の判断に関わるルールを示します。次の公募の公募要領が公表されたら、同じ箇所を必ず読み直してください。

  • 不採択は、若手研究の受給回数に数えられません。若手研究は、若手研究(S・A・B)と合わせて、同一研究者の受給は2回までです。「受給」とは、課題が採択され、交付決定を受けることを指します(公募要領 p.19〜20)。
  • 若手研究の応募資格は、採択年度の4月1日時点で数えます。令和9年度公募は「2027年4月1日現在で博士の学位取得後8年未満(2019年4月2日以降に取得)」で、取得見込みの者、産前産後の休暇や未就学児の養育期間を除くと8年未満となる者を含みます(同 p.19〜20)。同じ数え方をすると、1年後の公募では起点日が2020年4月2日になる計算です。これは当社の計算ですので、次の公募要領で確認してください。博士の学位取得日は、研究機関の担当者がe-Radに登録します。
  • 基盤研究(S・A・B・C)を研究代表者として受給したことがある方は、若手研究に応募できません。2010年度以降に新規に受給した研究者が対象です(同 p.21)。基盤研究を受給(交付決定)したことがなければ、この制限には該当しません。
  • 基盤研究(C)と若手研究には、同じ年度に、両方の研究代表者として新規応募することはできません。別表1の重複制限一覧表で、基盤研究(C)の新規応募と若手研究(1回目・2回目とも)の新規応募の交点が「×」(一つの研究課題にのみ応募できる)です(p.36)。同じ種目への複数応募もできません(p.29)。
  • 不採択になった課題の再応募を制限する規定は、確認した範囲では見当たりません。重複制限は、同じ年度に応募・受給する複数の課題の関係を定めるものです。不採択の課題を、次の公募で応募すること自体は、制限の対象とは書かれていません。
  • 小区分は、応募者が選びます。審査委員は小区分ごとに選ばれます(公募要領 p.23)。
開示から見える状況 考えられる方向(編集上の提案) 確認すること
順位が不採択者の中で上位で、低評価の評定要素が1つに集中している 同じ種目・同じ小区分で、その評定要素を中心に絞って改訂する その評定要素の定型所見と、申請書の該当箇所(第5節)
評定要素(3)(研究遂行能力及び研究環境)が低い 計画の規模、体制、業績の示し方を見直す。基盤研究(C)は研究分担者を加えたチームでの応募が可能 研究分担者を含められるか(種目の要件)。業績が計画の根拠になっているか
評定要素(1)で位置づけや問いの伝わりにくさが指摘されている 専門外の読者にも伝わる書き方に改め、必要なら小区分を選び直す 審査区分表で、問いの重要性を最も理解できる審査委員がいそうな小区分はどこか
若手研究から基盤研究(C)へ、あるいはその逆を考えている 応募資格と重複制限を、次の公募要領で確認したうえで決める 博士の学位取得後の年数、受給歴、別表1

他の資金配分機関のデータも、参考として紹介します。ただし、JSPSの科研費のデータではありません。生物医学分野の研究費の再応募を調べたスコーピングレビュー(11件の研究)では、1件を除くすべての研究で、再応募は初回の応募より採択されやすい結果でした。調査は研究ごとに条件が異なる横断研究が中心で、対象はNIHなどの生物医学分野の資金でした(Lasinsky ら, 2024)[文献1]。著者らは、最初の審査で良い評価を受けた課題ほど再応募されやすく、再応募でも採択されやすいと述べています。米国NHLBIの早期段階の研究者(ESI)によるR01の新規応募では、不採択だった応募の51.4%(821件中422件)が再応募され、順位(パーセンタイル)が50未満の応募で82.3%(294件中242件)、50以上で34.2%(527件中180件)が再応募されました(Boyington ら, 2016)[文献2]。再応募する人は自分で選んでいるため、再応募の採択のしやすさがそのまま「再応募すれば採択される」という意味にはなりません。科研費には、再応募を別に扱う区分は、公募要領では確認できませんでした。

あわせて読みたい:学振の開示と再申請(DC・PD)

7. 再申請でよくある失敗(編集上の提案)

  • 指摘された評定要素と関係なく、全体を書き直す。弱かった評定要素を特定しないまま全面改訂すると、評価が高かった部分を損ないます。
  • 採択率を追って、研究期間や規模を変える。研究期間ごとの採択率の違いは観察データで、基盤研究(C)・若手研究の違いと書き方で解説しているとおり、計画を変える理由にはなりません。
  • 再申請の応募時に、開示希望を確認しない。この欄は、応募のたびに自分で選ぶ項目です。
  • 若手研究の資格を、前年の数え方のまま判断する。採択年度の4月1日で数えます。
  • 基盤研究(C)と若手研究の両方に、同じ年度に応募しようとする。別表1で「×」です。
  • 定型所見を、審査委員のコメント全文だと考える。選択式の項目で、自由記述の審査意見は開示項目に含まれていません。
  • 書き直しを、所属機関の学内締切の直前に始める。学内締切は、JSPSの締切よりかなり前に設定されていることがあります。

8. 通知日から次の公募までの進め方

「日程の位置づけ」の列に「公式日程(予定)」と書いた行が、JSPSの予定表にもとづく日程です。そのほかの行は、当社の編集上の提案です。

時期 やること 日程の位置づけ
2027年2月26日 採否を確認する。開示を希望していたかを確認する。草稿一式と、e-Radの登録情報(学位取得日など)を手元に保存する 公式日程(予定)
3月ごろ 若手研究の場合は、次回の基準での資格を確認する。重複制限、研究期間、体制の見直し方針を仮置きする 編集上の提案
2027年4月頃 開示が届いたら、第3〜5節の表で、評定要素ごとに修正方針を1行ずつ書く 公式日程(予定)
5〜6月 改訂版の草稿を作り、同じ小区分に近い読み手と、少し離れた分野の読み手の両方に読んでもらう 編集上の提案
7月ごろ 次の公募要領が公表されたら、日程、様式、変更点、重複制限を確認する。令和9年度は7月14日に公募が始まりました 令和9年度の実績を参考にした提案。次の公募の日程はJSPSの公表を確認
8〜9月 所属機関の学内締切に合わせて提出する。令和9年度の応募締切は9月17日でした 同上

気持ちの面で立て直しが必要な場合は、論文のリジェクトを対象にした記事ですが、論文リジェクト後の立ち直り方も参考になります。

再申請の草稿を、評定要素に照らして読み直したい方へ

Editverse Japanの科研費申請書添削(¥49,800)は、研究計画調書の構成と記述を、審査区分をふまえて見直すサービスです。再申請の草稿を拝見する際、開示された内容もあわせて共有いただければ、読み込みの観点を絞りやすくなります。研究課題、研究計画、結論は申請者ご自身のもので、私たちが申請書を書くことはありません。また、採否はJSPSの審査で決まるため、採択をお約束することはできません。

学振・AMEDを含む研究費申請支援の全体は、科研費・学振・AMED申請書添削支援をご覧ください。

あわせて読みたい:厚労科研という別の選択肢 / 並行して探す民間財団の研究助成

まとめ

  • 令和9年度公募の予定では、採否の通知は2027年2月26日、審査結果の開示は4月頃です。開示は、応募時に希望した本人だけが見られます。
  • 基盤研究(B・C)と若手研究の開示は、おおよその順位、評定要素ごとの素点(平均)、定型所見です。自由記述の審査意見は、開示項目に含まれていません。
  • 3名の平均が3.00未満の評定要素には、必ず、2以下を付けた審査委員がいます。3.67以上なら、いません。
  • 順位は不採択になった課題の中での順位です。令和7年度の小区分別採択率は、基盤研究(C)が20.0〜33.0%(全体27.43%)、若手研究が28.6〜50.0%(全体40.23%)で、306の小区分すべてが、偶然だけで生じる95%の範囲に収まりました。若手研究は小区分が小さく、採択1件で3.3ポイント動きます。
  • 不採択は若手研究の受給回数に数えられません。基盤研究(C)と若手研究は、同じ年度に両方へ新規応募することはできません。若手研究の資格は採択年度の4月1日で数えます。
  • 再応募を制限する規定は、確認した範囲では見当たりません。再申請は、開示で低かった評定要素を特定して絞って改訂するのが基本です。

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よくある質問

Q. 科研費の不採択の開示は、あとから請求できますか?

公募要領では、開示は応募時に希望した人だけに行われ、「希望しない」を選んだ場合はいかなる理由でも開示しないと書かれています。次回の応募では、「開示希望の有無」の欄を必ず確認してください。

Q. 科研費の不採択の開示は、いつ見られますか?

令和9年度公募の予定表では、採否の通知が2027年2月26日、審査結果の開示が4月頃です。いずれも予定で、変更の可能性があります。

Q. 開示では何が分かりますか?

基盤研究(B・C)と若手研究では、小区分におけるおおよその順位、評定要素ごとの審査委員の素点(平均点)、定型所見が開示されます。順位は、採択されなかった課題の中での順位です。自由記述の審査意見は、公募要領の開示項目に含まれていません。

Q. 不採択になると、若手研究の受給回数に数えられますか?

数えられません。受給とは、課題が採択され、交付決定を受けることを指します。若手研究は、若手研究(S・A・B)と合わせて、同一研究者の受給が2回までです。

Q. 不採択になった研究課題を、そのまま再応募してもよいですか?

確認した範囲の公募要領には、不採択になった課題の再応募を制限する規定は見当たりませんでした。ただし、開示された評定要素の低評価を特定して改訂することをおすすめします。基盤研究(C)と若手研究の両方に、同じ年度に新規応募することはできません。

参考資料

日本学術振興会(JSPS)の資料(いずれも2026年10月9日に閲覧)

  • 令和9(2027)年度 科学研究費助成事業 公募要領(基盤研究(A・B・C)、挑戦的研究(開拓・萌芽)、若手研究):公募要領(PDF)。審査委員の人数(p.23)、審査結果の通知と開示の項目(p.24)、スケジュール(p.16)、若手研究の応募資格・受給回数(pp.19〜21)、重複制限一覧表(別表1、p.36)。
  • 令和9年度 研究計画調書作成・記入要領(新規):記入要領(PDF)。
  • 令和9年度 研究計画調書(Web入力項目)作成・入力要領:入力要領(PDF)。項目11「開示希望の有無」。
  • 科学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程(令和8年6月22日改正):審査規程(PDF)。第13条(審査結果の開示)、別添5(基盤研究(B・C))、別添6(若手研究)。
  • JSPS 科研費「審査・評価について」(審査結果の開示):ページ。
  • JSPS 科研費データ「配分結果集計表(審査区分別)令和7(2025)年度」:表(PDF)(掲載ページ:科研費データ)。基盤研究(C)新規分、若手研究新規分の小区分別の応募件数・採択件数。

PubMed収載の文献(題名・著者・雑誌・年・巻・ページ・DOIは、2026年10月9日にNCBI E-utilitiesのesummaryで確認。文献1と文献2はPMCの全文、文献3は抄録で内容を確認)

  1. Lasinsky AM, Wrightson J, Khan H, Moher D, Kitchin V, Khan K, Ardern CL. Biomedical research grant resubmission: rates and factors related to success – a scoping review. BMJ Open. 2024;14(11):e089927. doi: 10.1136/bmjopen-2024-089927. PMID: 39542492.
  2. Boyington JE, Antman MD, Patel KC, Lauer MS. Toward Independence: Resubmission Rate of Unfunded National Heart, Lung, and Blood Institute R01 Research Grant Applications Among Early Stage Investigators. Acad Med. 2016;91(4):556-562. doi: 10.1097/ACM.0000000000001025. PMID: 26650674.
  3. Pier EL, Brauer M, Filut A, Kaatz A, Raclaw J, Nathan MJ, Ford CE, Carnes M. Low agreement among reviewers evaluating the same NIH grant applications. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018;115(12):2952-2957. doi: 10.1073/pnas.1714379115. PMID: 29507248.

この記事の確認方法:公募要領、記入要領、審査規程、JSPSのページの記述は、上記の資料を2026年10月9日に開いて確認しました。令和7年度の小区分別の数字は、JSPSの表から転記して集計し、合計が表の合計行と一致することを確認しています。表示の形式(順位が数値か区分か、定型所見の項目名)は公開資料に書かれておらず、開示画面でご確認ください。「編集上の提案」「当社の計算」と明記した部分は、JSPSの規則や論文の記述ではありません。日程はいずれも予定で、変更の可能性があります。

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