査読後半の流れの模式図。上段はEditorial Manager(With Editor→Under Review→Required Reviews Completed→Decision in Process→Decision letter)、下段はScholarOne(Awaiting Reviewer Selection→Under Review / Awaiting Reviewer Scores→Awaiting AE Recommendation→Awaiting (EIC) Decision→Decision in Process→Decision email)。完了した査読数が論文ごとの必要数に達するとRequired Reviews Completedに切り替わり、追加の査読依頼や必要数の引き上げでUnder Reviewに戻ることを示す。図中の出典記号[E1][E2][S1][S2]は本文の資料O1・O2・O3・O4に対応

Required Reviews Completedとは|Awaiting Reviewer Scoresとの違い

Editorial Manager(EM)の「Required Reviews Completed」は、その原稿についてジャーナルが設定した目標数の査読がそろい、担当エディターが内容を検討しているという意味です。判定ではなく、採択・不採択の兆しを示すものでもありません。一方、ScholarOneの「Awaiting Reviewer Scores」はその手前の段階で、査読者が割り当てられ、まだ評価を進めているところです。Required Reviews Completedの次は、エディターが判定の入力を始める「Decision in Process」に進むか、エディターが別の意見を求めて「Under Review」に戻るかのどちらかです。

本記事はこの2つのステータスだけを掘り下げます。両システムのすべてのステータスの一覧は、総まとめ記事Editorial Managerのステータス一覧|ScholarOne対応表と実データをご覧ください。以下の内容は、Elsevier(EM)、Silverchair(ScholarOne)、SAGE(ScholarOneを使う出版社)、Aries Systems(EMの開発元)の公式ヘルプページに基づき、2026年10月1日に確認したものです。公式ページに記載がない点は、推測せずに「記載がない」と明記します。

なお、検索上位のページには「このステータスは通常数時間〜数日で終わる」「とても良い兆候だ」といった説明も見られますが、私たちが確認した公式ヘルプページには、どちらの記述もありません。

1. 公式の定義を並べて比較する

同じ言葉でも、システムや出版社によって意味が少しずつ違います。投稿先のジャーナルが使っているシステムの行を読んでください。

ステータス(著者に表示される名称) システム・出典 公式の記載(訳) 意味しないこと
Required Reviews Completed Editorial Manager(Elsevier)[資料O1] 「目標数(target number)の査読が完了し、担当エディターが査読内容を検討している。エディターは査読について話し合う時間をとることがあり、査読者を追加で招いたり、別のエディターを割り当てたりして、前のステータスに戻すこともある。エディターが判定の入力を始めると、ステータスは『Decision in Process』に移る。」 判定ではありません。「招待された査読者全員が終えた」とも限りません(第2節)。
Required Reviews Complete ScholarOne(SAGEのジャーナル)[資料O5] 「すべての査読が完了し、編集部が受け取ったことを示す。エディターが査読を読んだうえで、追加の査読が必要と考えることがあり、その場合ステータスは『Under Review』に戻ることがある。追加の査読が完了すると、ステータスは『Required Reviews Complete』に戻る。」 判定ではありません。SAGEの表現(all peer reviews:すべての査読)は、Elsevierの表現(target number:目標数)より厳密です。
Under Review / Awaiting Reviewer Scores ScholarOne(Silverchair)[資料O3] 「査読者が割り当てられ、原稿を評価している。エディターや編集部から連絡がない限り、この期間に更新の通知はない。」 「査読が戻ってきた」という意味ではありません。システムが待っているのは、まさにその評価(スコア)です。
Under Review(総称) ScholarOne(SAGEのジャーナル)[資料O5] 「原稿が査読中であることを意味する。[…]査読にかかる時間は査読者の都合によって変わる。『Awaiting Reviewer Scores』など、ほかのステータスもこの総称に含まれることがある。」 —

この表から、2つのことがわかります。

  1. 「Required Reviews Completed」はEMだけの表示ではありません。EMの標準のステータス名ですが、SAGEのヘルプページを見ると、ScholarOneのジャーナルでも「Required Reviews Complete」と表示されることがあります。この表示を見たら、どの解説を読むにしても(本記事も含めて)、まずログインしたシステムがどちらなのかを確認してください。
  2. 2つのステータスは、同じ出来事をはさんで反対側にあります。「Awaiting Reviewer Scores」は査読者を待っている側、「Required Reviews Completed」は査読がそろった側です。ScholarOneで査読者が提出した後の段階を、Silverchairは「Awaiting Recommendations / Awaiting AE Recommendation:査読者がスコアとコメントを提出し、アソシエイトエディター(AE)が査読をまとめて推薦を準備している」と説明しています[資料O3]。これが、EMのRequired Reviews Completedに最も近いScholarOne側の段階です。

2. Editorial Managerが「Required Reviews Completed」を表示する仕組み

このステータスは、エディターが手で入力するものではありません。カウンター(完了した査読の数と目標数の比較)によって自動的に切り替わります。Elsevierはエディター向けのヘルプページで、その仕組みを説明しています[資料O2]。

  • 目標数:「Number of Required Reviews(必要な査読数)とは、判定の準備が整ったとみなすまでに到達すべき、完了した査読の目標数」です。
  • 誰が決めるか:「必要な査読数の初期値は論文種別(Article Type)ごとに定められ、一部のエディターは個々の原稿についてその数を変更する権限を持つ」とされています。切り替えを制御する設定項目の名称は “Move to Submissions with required reviews complete after __ reviews” です。
  • 目標数を変更したときのルール:完了した査読数が目標数以上であれば、「ステータスは『Required Reviews Complete』に変わり、現在の担当エディターのメインメニューにある同名のフォルダーに移る」。目標数より少ない場合は、招待中・承諾済みの査読者が残っていなければ「With Editor」、少なくとも1人の査読者が未完了であれば「Under Review」になります。
  • 関門ではなく目標:「エディターはその数に達する前に判定することも、その数を超えてさらに査読を待つことも、常に可能である」と明記されています。
  • エディターに通知が届くことがある:「エディターの役割の設定によっては、このステータスの変更をきっかけに、担当エディターに自動通知が送られることがある」とされています。
  • 裏で判定作業が進んでいることもある:「エディターが判定を途中まで保存し、まだ送信していない場合、ステータスは『Required Reviews Complete』のまま」です。つまり、Required Reviews Completedが長く続いていても、誰も原稿に手をつけていないとは限りません。エディターがすでに判定の文面を書き始めている可能性もあります。

ダッシュボードの表示を公式のルールで読み解く

見た表示 公式のルールで説明できること 出典
査読者が3人招待されたはずなのに「Required Reviews Completed」になった 目標数が2の可能性があります。このステータスは完了した査読数と目標数を比べるもので、招待した査読者全員の完了を条件としていません。エディターが3人目を待つこともあります(「その数を超えてさらに査読を待つ」)。 [資料O2]
「Required Reviews Completed」から「Under Review」に戻った エディターが査読者を追加で招いたか、未完了の査読者がいる状態で目標数を完了数より上に引き上げたためです。Elsevierは、このステータスが「追加の査読が求められた場合、後で『Under Review』に戻ることがある」としています。 [資料O1][資料O2]
「With Editor」から「Required Reviews Completed」に直接移った、またはその逆 目標数を変更したときのルールで起こりえます。完了数が新しい目標数以上ならRequired Reviews Complete、目標数未満で未完了の査読者がいなければWith Editorです。Elsevierは一般論としても「個々の原稿は、エディターの操作によって段階を飛ばしたり、前の段階に戻ったりすることがある」と述べています。ただし、自分の原稿でどの操作が行われたかは著者には見えません。 [資料O1][資料O2]
「Under Review」から、「Required Reviews Completed」を経ずに判定通知が届いた 目標数に達する前にエディターが判定したためです。Elsevierはこれを「常に可能」としています。 [資料O2]
「Required Reviews Completed」が長く続いている 公式の定義はありません。エディターが査読を読んでいる、他のエディターと協議している、別のエディターを割り当てている、追加の査読を待っている(いずれも資料O1に記載)、または判定を途中まで保存していてステータスが変わらない(資料O2)といった可能性があります。問い合わせのタイミングは第6節を参照してください。 [資料O1][資料O2]
修正稿の提出後、再び「Required Reviews Completed」になった EMは修正稿にも同じステータス用語を使い、Elsevierは修正稿を著者の「Revisions Being Processed」フォルダーに表示するとしています。エディターが修正稿を再び査読に回した場合、ステータスはUnder ReviewとRequired Reviews Completedをもう一度通ることがあります。修正稿の必要査読数が初回と同じかどうかは、確認したページには書かれていません。 [資料O1]

ポイント:EMの「Required Reviews Completed」は、ジャーナルまたはエディターが設定した数にカウンターが達したことを示すだけです。判定に必要な査読がそろったことはわかりますが、その査読が何を推薦しているかについては何も示しません。

では、「目標数」は何件なのでしょうか。すべてのジャーナルに共通する数はありません。EMでは論文種別ごとに初期値が設定されます[資料O2]。SAGEは「Sage Journalsでは通常、外部査読を最低2件必要としている」と記載しています[資料O5]。そのほかの出版社については、確認したページに数の記載はありませんでした。

3. ScholarOneの「Awaiting Reviewer Scores」:知っておきたい3つのこと

3-1. 査読者の番であり、その間は連絡がない

Silverchairは「Under Review」と「Awaiting Reviewer Scores」を1つの定義にまとめ、査読者が「原稿を評価している。エディターや編集部から連絡がない限り、この期間に更新の通知はない」としています[資料O3]。その前の段階(「Awaiting Reviewer Selection / Assignment」)はエディターが査読者を探している期間で、Silverchairによると「査読者の都合やジャーナルの手順によって、数日から数週間かかることがある」とされています[資料O3]。ステータスがAwaiting Reviewer Scoresになっていれば、少なくとも査読者探しは終わり、査読者が割り当てられています。

この段階が長くなりやすいのはなぜでしょうか。ボトルネックは査読者の時間です。生物医学系5誌の査読者を対象にした調査(890人中551人が回答、62%)では、査読依頼を断る理由として最も高い評点を得たのは「ほかの業務との兼ね合い」(conflict with other workload、5段階評価で平均4.06)でした[文献3]。1人に断られるたびに次の依頼が出され、その分また待つことになります。

3-2. 編集部側の作業キューの名前でもある

Silverchairが管理者・編集長・エディター向けに書いたサポート記事は、システムの編集部側にある「Awaiting Reviewers Scores」キューに触れ、原稿がそこに残り続ける理由の1つを説明しています。「査読が取り消され(rescinded)、判定が出された場合、その査読はシステム上『保留(on hold)』として扱われ、査読が完了するか、査読者が原稿から外されるまでその状態が続く。[…]この『保留』のため、原稿はAwaiting Reviewers Scoreキューに残る」[資料O4]。

これは著者向けではなく編集部向けの記述で、著者に見える表示が変わるのかどうか、どう変わるのかについてSilverchairは触れていません。ここで紹介する理由は1つだけです。「Awaiting Reviewer Scores」が長く残っていても、それはシステム上の管理状態であって、論文についての兆候ではない場合があるということです。「Awaiting Reviewer Scores」が判定段階のステータスなど別の表示と同時に出ることもありますが、SilverchairもSAGEもそうした組み合わせを定義していません。気になる場合は、表示から意味を読み取ろうとするよりも、Author Centerから編集部に問い合わせてください(第6節)。

ステータスが逆戻りする場合、たとえば「Awaiting Decision」から「Awaiting Reviewer Scores」に戻った場合も同じです。Silverchairの定義には、この動きの記載はありません。最も近い公式の記述はSAGEのもので、自社のScholarOneジャーナルについて、エディターが「追加の査読が必要」と考えた場合は「ステータスが『Under Review』に戻ることがある」としています[資料O5]。逆戻りは「追加の査読が依頼された」と読むのが妥当です。時間は延びますが、判定ではありません。

3-3. 修正稿の提出後にもう一度表示されるのは普通のこと

Minor Revisionの修正稿を提出した後に、再び「Awaiting Reviewer Scores」と表示されて不安になる方は少なくありません。Silverchairは「Revision Submitted / Awaiting Reviewer Selection (Revised)」について、「ジャーナルの方針によって、編集部が修正稿を再び査読に回すこともあれば、エディターが追加の査読なしに判定することもある」と定義しています[資料O3]。修正稿が査読者に回された場合は、査読者の段階からサイクルがもう一度始まるだけです(同じ査読者かどうかはジャーナルが決めることで、ステータスには表れません)。

4. 2つのステータスはどこにあるか(図解)

査読後半の流れの模式図。上段はEditorial Manager(With Editor、Under Review、Required Reviews Completed、Decision in Process、Decision letter)、下段はScholarOne(Awaiting Reviewer Selection、Under Review / Awaiting Reviewer Scores、Awaiting AE Recommendation、Awaiting (EIC) Decision、Decision in Process、Decision email)。完了した査読数が論文ごとの必要数に達するとRequired Reviews Completedに切り替わり、追加の査読依頼や必要数の引き上げでUnder Reviewに戻る。図中の[E1][E2]は資料O1・O2、[S1][S2]は資料O3・O4に対応
図1. 「Required Reviews Completed」と「Awaiting Reviewer Scores」の位置。Editorial Manager(上段)とScholarOne(下段)の査読後半の流れです。緑の枠が本記事で扱う2つのステータス、矢印の文字は公式ヘルプに書かれた切り替わりの条件です。図中の出典記号は、[E1]=資料O1、[E2]=資料O2、[S1]=資料O3、[S2]=資料O4に対応します(出典:Elsevier Support、Silverchair Support。数値を含まない模式図)© editverse.com

図の読み方:網掛けの帯は、どちらのシステムでも実務上は同じ段階です。エディターが必要とする査読がそろい、まだ判定は出ていません。EMではこの段階に1つの名前(Required Reviews Completed)がついていますが、ScholarOneでは「Awaiting AE Recommendation」と「Awaiting (EIC) Decision」に分かれることがあります。赤い矢印は、公式に記載された唯一の後戻りの経路です(追加の査読を求める、または必要数を引き上げる)。

総まとめ記事でも触れた注意点を、ここでも挙げておきます。次の段階の「Decision in Process」は、2つのシステムで意味が異なります。EMでは「エディターがシステム上で判定の作業を開始した」状態で、判定は「ジャーナルによっては複数のエディターによる確認が必要」とされています[資料O1]。ScholarOneでは、Silverchairが「判定は内部ですでに決まっているが、まだ著者に通知されていない」状態と定義しています[資料O3]。

5. 実データで見る:査読がそろった後、エディターは何を見ているか(Rで分析)

ステータスがRequired Reviews Completedになると、エディターの関心は「査読の結果を総合するとどうなるか」に移ります。著者はまだ査読内容を見られませんが、公表されたデータを見ると、次の判定が「査読者どうしの意見がそろっているかどうか」に強く左右されることがわかります。

データ:Kravitzらは、Journal of General Internal Medicineで2004年から2008年に外部査読に回されたすべての原稿を分析しました。原稿2,264本、査読5,881件、査読者2,916人です[文献1]。論文の表1には、原稿を3つのグループに分けて、各グループの本数と、エディターが初回判定で不採択にした割合が示されています。私たちはこの公表値から不採択数を復元し(例:1,080 × 20.3% ≈ 219)、Rで95%信頼区間を計算しました。

Rコード(2026年10月1日実行、R 4.3.3):

kr <- data.frame(
  group = c("All reviewers: do not reject", "Reviewers disagree", "All reviewers: reject"),
  n = c(1080, 1027, 157),            # Kravitz et al. 2010, Table 1
  pct_rejected = c(20.3, 70.6, 88.5)) # Table 1, "Fraction Rejected by Editors (%)"
kr$rejected <- round(kr$n * kr$pct_rejected / 100)
ci <- t(mapply(function(x, n) prop.test(x, n)$conf.int * 100, kr$rejected, kr$n))
kr$lo <- round(ci[, 1], 1); kr$hi <- round(ci[, 2], 1)
kr$share_of_mss <- round(100 * kr$n / sum(kr$n), 1)
kr
sum(kr$rejected) / sum(kr$n)

出力:

グループ 本数 原稿全体に占める割合 不採択数(復元) 不採択の割合 95%信頼区間
全査読者が「不採択にしない」 1,080 47.7% 219 20.3% 17.9〜22.8%
査読者の意見が分かれた 1,027 45.4% 725 70.6% 67.7〜73.3%
全査読者が「不採択」 157 6.9% 139 88.5% 82.2〜92.9%
合計 2,264 100% 1,083 47.8% —

復元した合計(2,264本中1,083本=47.8%)は、論文に記載された全体の不採択率47.8%と一致しており、復元が正しいことを確認できます。信頼区間は、連続性補正付きのWilsonスコア区間(Rのprop.test)です。

J Gen Intern Medで2004〜2008年に外部査読に回った2,264本について、査読者の推薦の一致度別に、エディターの初回判定が不採択だった割合を示した横棒グラフ。全査読者が「不採択にしない」1,080本で20.3%、意見が分かれた1,027本で70.6%、全査読者が「不採択」157本で88.5%、全体47.8%(横線は95%信頼区間)
図2. 査読がそろった後の判定は、査読者の意見がそろうかどうかで大きく変わります。J Gen Intern Medで2004〜2008年に外部査読に回った2,264本について、査読者の推薦の一致度別に見た、エディターの初回判定での不採択の割合(横線は95%信頼区間)。不採択数は公表された本数と割合から復元。1誌・1期間のデータで、他誌に一般化はできません(データ:Kravitz RL et al. PLoS One 2010;5(4):e10072、表1)© editverse.com

図の読み方:このジャーナルでは、査読者全員が不採択を勧めなかった場合でも5本に1本は不採択となり、査読者の意見が分かれた場合は10本に7本が不採択でした。Required Reviews Completedは、まさにこの検討が行われている段階です。ステータスそのものからは、自分の論文がどのグループに入るのかは何もわかりません。

このデータを正しく読むために

  • 意見が分かれるのは例外ではなく、よくあることです。このデータでは45.4%の原稿で査読者の意見が分かれ、「不採択」対「採択・修正」についての、偶然の一致を補正した一致度はκ(カッパ)=0.11にとどまりました[文献1]。48研究(原稿19,443本)のメタアナリシスでも、ジャーナル査読者間の評価者間信頼性(inter-rater reliability)は文献全体を通じて低いことが示されています(平均ICC/r²=.34、平均Cohenのκ=.17)[文献2]。査読の評価が分かれることは、Required Reviews Completedの段階でエディターがもう1人査読者を招く理由として考えられるものの1つです。査読者の追加は、公式に記載された「Under Review」への戻りの経路です[資料O1]。ただし、エディターがそうする理由を公式ページは挙げていません。
  • ここでの「不採択」は、エディターの初回判定のことです。比較の対象は「採択または修正」で、修正後の最終的な結果はこのデータからはわかりません。
  • 1誌・1期間のデータです。2004〜2008年の、1誌の内科系の原稿です。ご自身の論文には、割合の数字ではなく傾向(意見の一致が重要であること)を当てはめてください。
  • 査読はすでに提出されています。今から何をしても査読内容は変わりません。変えられるのは、判定通知に対する準備の度合いです(第7節)。

実際に査読者の意見が分かれていた場合は、査読者の矛盾コメント対処法で、両方の査読者に自己矛盾なく回答する方法を解説しています。

6. どのくらい続くか、いつ問い合わせるか

どちらのステータスにも、公式の所要期間はありません。Elsevierのステータス解説[資料O1]、Silverchairのステータス定義[資料O3]、SAGEのページ[資料O5]のいずれにも、Required Reviews CompletedやAwaiting Reviewer Scoresの典型的な期間は書かれていません。Elsevierは「査読期間はジャーナルによって異なる(Peer review times vary per journal)」と述べているだけです[資料O1]。「通常○日程度」と日数を示している記事は、個人の体験談を一般化したものです。

公式の情報源から得られるのは、次の3点です。

  1. ジャーナルごとの目安。Elsevierは、ジャーナル自身の編集期間を確認するよう勧めています。多くのジャーナルのホームページでは、「Journal Insights」の指標に「Review Time」のリンクがあり、最初の判定と最終判定までの平均週数が表示されます[資料O6]。待ち時間は、別分野の同僚の論文ではなく、この数字と比べてください(7誌の受付から採択までの日数は、総まとめ記事でPubMedの実データを紹介しています)。
  2. 問い合わせの目安。Elsevierによると、待ち時間がジャーナルの平均査読期間よりかなり長い場合、責任著者はエディターに連絡できます[資料O6]。Silverchairは、ステータスが「予想外に長く変わらない」場合、まずAuthor Centerに対応待ちの項目がないか、迷惑メールフォルダーにメールが入っていないかを確認し、そのうえでContact Journalリンクを使うよう案内しています[資料O3]。
  3. 編集部にも独自のリマインダーがある。Aries SystemsのEditorial Managerリリース24.09(2024年9月)では、「Automated Editor Required Reviews Reminder Report」が追加されました。ジャーナルが設定すれば担当エディターに自動でメールを送れる機能で、対象には「担当エディターが割り当て済み・承諾済みで、必要な査読がそろっている(前回の文書ステータス変更から一定日数が経過した)」原稿が含まれます[資料O7]。投稿先のジャーナルがこの機能を使っているかどうかは著者にはわかりませんが、Required Reviews Completedのまま止まっている原稿を、著者が何もしなくても編集部側で催促できる仕組みがあるということです。

状況別の目安

状況 すること
Awaiting Reviewer Scores/Under Review で、ジャーナルが公表している査読期間内 待つ。何を送っても、査読者の作業は早まりません。
Awaiting Reviewer Scores で、ジャーナルが公表している査読期間を明らかに超えている システム経由で、短く丁寧な状況確認を1回送る(原稿番号、タイトル、投稿日、現在のステータスを記載)。例文:査読・修正サイクルの期間ガイド
Required Reviews Completed が数週間続き、ほかに変化がない 待つ。エディターが他のエディターと協議しているか、追加の査読を待っている可能性があります[資料O1]。
Required Reviews Completed から Under Review に戻った 待つ。追加の査読が求められています[資料O1]。時間は延びますが、判定ではありません。
Required Reviews Completed で、ジャーナルの平均判定期間をかなり超えている 上と同じく、システム経由で問い合わせる[資料O6]。

待っている間に避けること:「時間の節約のため」に、同じ原稿を別のジャーナルに投稿してはいけません。ICMJEは二重投稿を認めていません[資料O8]。他誌に移ると決めた場合は、まず正式に取り下げてください。すべてのステータスに共通する問い合わせの手順は、総まとめ記事の第6節にまとめています。

7. 待ち時間の使い方:判定通知に備える

待ち時間全般のチェックリスト(解析を再実行できる状態にしておく、原稿を新鮮な目で読み直す、回答書の枠組みを用意する)は、総まとめ記事の第7節にあります。Required Reviews Completedならではの点は、査読内容がすでに確定し、次が判定だということです。そのため、届く可能性のある3種類の通知に的を絞って準備できます。

通知の内容 準備しておくもの 詳しい解説
Minor RevisionまたはMajor Revision 空の回答書(コメント1件につき1項目を立て、回答と修正箇所を書き込む形式)と、通知で設定される期限に備えたスケジュール 査読コメントへの回答の書き方、Rebuttal Letterの書き方とテンプレート、論文のリバイスの進め方|7ステップ、Major RevisionとMinor Revisionの違い
新たな解析を求める修正 再解析に数週間ではなく数日で対応できるよう、コード、データ、ソフトウェアのバージョンを整理しておく 査読で統計を指摘されたら
不採択(再投稿の可否を問わず) 次の投稿先の候補リスト(判定を受けて慌てて決めずに済むように) Reject and ResubmitとRevise and Resubmitの違い

第5節で見たとおり、査読の評価は分かれることが少なくありません。修正と不採択のどちらとも決めつけず、両方に備えておくのが得策です。

判定通知が届いたら

判定通知(decision letter)をそのままお送りください。平日24時間以内に、すべての査読コメントを無料で確認し、作業量、再解析の要否、確定見積もりと納期をお知らせします。

査読対応サポート(論文1本あたり定額¥29,800)には、コメントごとの対応表、Response to Reviewersレター、修正箇所の英文校正、エディター宛てのカバーレターが含まれます。査読が2回目以降に及んでも、採択まで追加料金なしでサポートを継続します。科学的な判断は著者・共著者の皆さまが行い、私たちは選択肢を整理してお示しします。

査読者から統計について指摘を受けている場合は、査読対応・統計再解析(¥98,000)で、再解析とMethods・Resultsの修正まで対応します。

採否はジャーナルの編集者・査読者が判断します。私たちがお約束するのは、採択まで追加料金なしでサポートを継続することです。

ICMJEの著者資格の基準では、英文校正、技術的な編集、執筆支援は謝辞に記載される貢献であり、著者資格の対象にはなりません[資料O9]。統計の支援や投稿手続きの支援も同様に扱います。研究デザイン、解釈、結論、そして各査読者への回答の内容は、著者の皆さまのものです。

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まとめ

  • Required Reviews Completed(EM):その原稿に設定された目標数の査読がそろい、担当エディターが検討している状態です[資料O1]。原稿の評価ではなく、カウンターによって切り替わります[資料O2]。
  • 招待された査読者全員が終えたという意味ではなく、結果の予告でもありません。エディターは目標数に達する前に判定することも、さらに査読を待つことも、査読者を追加して「Under Review」に戻すこともできます[資料O1][資料O2]。
  • Awaiting Reviewer Scores(ScholarOne):査読者が割り当てられ、評価中の状態で、その間は更新の通知がありません[資料O3]。編集部側の作業キューの名前でもあり、修正稿の提出後に再び表示されるのは、通常は修正稿が査読者に回されたためです[資料O3][資料O4]。
  • 次に何が起きるかは査読の内容しだいで、査読者の意見はよく分かれます。あるジャーナルでは、意見が分かれた原稿の70.6%が初回判定で不採択となり、全査読者が不採択を勧めなかった場合は20.3%でした[文献1]。
  • どちらのステータスにも公式の所要期間はありません。投稿先のジャーナルが公表している査読期間を目安にし、それを大きく超えた場合はシステム経由で1回問い合わせ、待ち時間は修正の準備に使いましょう。

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よくある質問

Q. 「Required Reviews Completed」になったら、採択されるということですか?

いいえ。Elsevierの定義では、必要な査読の目標数が完了し、担当エディターがその内容を検討している状態にすぎません。どちらのシステムの公式定義にも、判定メールが届く前に結果を示すステータスはありません。1誌の公表データでは、エディターの初回判定は査読者の意見がそろっているかどうかに大きく左右されていましたが、ステータスからは自分の査読がどちらに傾いたのかはわかりません。

Q. ステータスが「Required Reviews Completed」から「Under Review」に戻ったのはなぜですか?

エディターが追加の査読を求めたためです。Elsevierは、追加の査読が求められた場合、ステータスが後で「Under Review」に戻ることがあると明記しています。SAGEも自社のScholarOneジャーナルについて同じことを述べ、追加の査読が届けばステータスはRequired Reviews Completeに戻るとしています。時間は延びますが、判定ではありません。

Q. 査読者が3人招待されたのに、もう「Required Reviews Completed」になりました。エラーですか?

必ずしもエラーではありません。Editorial Managerでは、完了した査読数が、論文種別ごとに、またはエディターが設定した「必要な査読数(Number of Required Reviews)」に達した時点でステータスが切り替わります。Elsevierは、エディターがその数を超えてさらに査読を待つこともできると記載しています。3人目の査読が判定前に届く可能性もあります。

Q. 修正稿を提出した後、また「Awaiting Reviewer Scores」や「Required Reviews Completed」と表示されるのはなぜですか?

修正稿が再び査読者に回されたためです。ScholarOneについてSilverchairは、ジャーナルの方針によって、編集部が修正稿を再び査読に回すことも、エディターが追加の査読なしに判定することもあると定義しています。「Awaiting Reviewer Scores」は査読者が割り当てられて評価中の状態で、その間は更新の通知がありません。Editorial Managerも修正稿に同じステータス用語を使うため、再査読される修正稿はUnder ReviewとRequired Reviews Completedをもう一度通ることがあります。通常のサイクルの一部であり、悪い兆候ではありません。

Q. 「Required Reviews Completed」は通常どのくらい続きますか?いつジャーナルに問い合わせればよいですか?

標準的な期間を示した公式の情報源はありません。待ち時間は、ジャーナル自身が公表している査読期間(Elsevierのジャーナルならホームページの「Review Time」の指標)と比べてください。それをかなり超えている場合に、投稿システムから丁寧な問い合わせを1回送るのが目安です。

参考資料

PubMed収載文献(2026年10月1日、PubMedツールとNCBI E-utilities esummaryで確認)

  1. Kravitz RL, Franks P, Feldman MD, Gerrity M, Byrne C, Tierney WM. Editorial peer reviewers’ recommendations at a general medical journal: are they reliable and do editors care? PLoS One. 2010;5(4):e10072. doi: 10.1371/journal.pone.0010072. PMID: 20386704.(表1の値はPMC全文〔PMC2851650〕から取得)
  2. Bornmann L, Mutz R, Daniel HD. A reliability-generalization study of journal peer reviews: a multilevel meta-analysis of inter-rater reliability and its determinants. PLoS One. 2010;5(12):e14331. doi: 10.1371/journal.pone.0014331. PMID: 21179459.
  3. Tite L, Schroter S. Why do peer reviewers decline to review? A survey. J Epidemiol Community Health. 2007;61(1):9-12. doi: 10.1136/jech.2006.049817. PMID: 17183008.

公式資料・組織の情報源(2026年10月1日閲覧)

  • O1. Elsevier, Journal Article Publishing Support Center. “What does the status of my submission mean in Editorial Manager?”(2026年8月28日更新):elsevier.support
  • O2. Elsevier, Journal Article Publishing Support Center. “How can an editor update the required number of reviews for a submission in Editorial Manager?”(2026年6月15日更新):elsevier.support
  • O3. Silverchair Support. “ScholarOne Manuscript Status Definitions.”:support.silverchair.com
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