査読で統計を指摘されたら|よくある7つの指摘と回答のしかた — Editverse Japan

査読で統計を指摘されたら|よくある7つの指摘と回答のしかた

統計に関する査読コメントは、最も回答が難しい指摘の一つです。多くの場合、必要なのは言い回しの工夫ではなく、新たな解析だからです。本記事では、査読者が繰り返し指摘する7つのポイントについて、指摘の真意と、問題が解決したことを査読者に示す回答のしかたを解説します。

1. 「検定方法がデータに適していない」

指摘の意味:前提条件が満たされていないと査読者が考えています。例数が少ない場合の正規性や等分散性がよく問題になります。

回答のしかた:前提条件を確認し、その方法を記載します。満たされていない場合は、ノンパラメトリック検定やロバストな解析、変換後の解析など適切な方法を用い、必要に応じて元の結果を感度分析として示します。結論が変わるかどうかも明記します。

2. 「サンプルサイズが小さい/検出力の計算がない」

指摘の意味:主張している効果を検出できる研究だったのか、または例数をどう決めたのかが査読者にはわかりません。

回答のしかた:研究開始前に例数設計を行っていれば、その内容を詳しく記載します。行っていない場合、事後的な検出力分析(post-hoc power)を追加することは推奨されません。代わりに効果量と95%信頼区間を示し、Discussionで限界として誠実に記載します。

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3. 「多重比較が考慮されていない」

指摘の意味:多数の検定を行っているため、有意な結果の一部は偶然の可能性があるという指摘です。

回答のしかた:主要評価項目と探索的評価項目を区別します。補正が必要な検定群には適切な方法(HolmやFalse Discovery Rateなど)を適用し、探索的な結果はその旨を明記します。

4. 「欠測データをどう扱ったのか」

指摘の意味:欠測データが結果に偏りをもたらしたかどうかを、査読者が判断できない状態です。

回答のしかた:どの変数にどれだけ欠測があるかを報告し、用いた方法(完全ケース解析、多重代入法など)とその理由を説明します。欠測が無視できない量の場合は、方法を比較する感度分析を追加します。

5. 「交絡が十分に調整されていない」

指摘の意味:観察研究において、別の要因が関連を説明している可能性があるという指摘です。

回答のしかた:調整変数の選択を専門知識に基づいて説明し、未調整と調整後の推定値を併記します。残余交絡の可能性は限界として考察します。

6. 「p値しか報告されていない」

指摘の意味:有意かどうかだけでなく、効果の大きさと精度を知りたいという指摘です。

回答のしかた:平均差、オッズ比、ハザード比などの効果量を95%信頼区間とともにResultsと表に加え、Discussionでは有意性だけでなく効果の大きさを解釈します。

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7. 「回帰モデルの構築や検証の説明が不十分」

指摘の意味:モデルがどのように作られ、データに適合しているのかがわからないという指摘です。

回答のしかた:変数の選択方法とコーディングを説明し、確認した診断を報告します。予測変数の数に対してアウトカムのイベント数が十分かも確認します。予測モデルとして用いる場合は、検証方法を記載します。

回答の組み立て方

統計の指摘にはいずれも、妥当な懸念を認める、行った解析を説明する、結果を示す、結論が変わったかどうかを述べる、原稿の該当箇所を正確に示す、という順で回答します。統計の指摘には、議論よりも解析で応えるほうがはるかに効果的です。

査読で統計を指摘された方へ

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よくあるご質問

査読者に求められたら、事後的に検出力分析を追加すべきですか?

事後的な検出力分析は推奨されません。事前の例数設計があればそれを報告し、なければ効果量と信頼区間を示して限界を考察してください。

再解析で結果が変わった場合はどうすればよいですか?

正直に報告し、解釈を修正してください。査読者も編集者も透明性を重視しており、変化を隠すほうがはるかにリスクが高くなります。

自分が行っていない解析のやり直しも依頼できますか?

はい。データセットと、当初の解析計画またはコードを共有いただければ対応できます。

まとめ

統計に関する指摘の多くは、適切な検定、例数の誠実な扱い、多重比較の管理、欠測データの透明な報告、交絡の調整、信頼区間つきの効果量、よく検証されたモデル、の7つのいずれかを求めています。それぞれに解析と修正箇所の明示で応えることが、採択への近道です。

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