Major RevisionとMinor Revisionの違い|対応戦略
査読結果として通知されるMajor Revision(大幅修正)とMinor Revision(軽微な修正)の違いは、単なる修正量の差ではありません。Minor Revisionは「すでに行ったことを報告する」ための修正で、多くの場合は再査読なしにエディターの確認だけで採択に至ります。対してMajor Revisionは「証拠を追加する・再解析する・主張を弱める」ための修正で、修正原稿は原則として査読者に再送されます。求められる作業の質、再査読の有無、そして採択までの道筋が根本的に異なります。本記事では、両者の定義から、医学・生命科学・工学・AI・社会科学といった分野別の実際の査読コメント例、Major Revisionに含まれる軽微なコメントの捌き方、追加実験への対処法、提出前チェックリストまでを、査読研究の実証データに基づいて解説します。
この記事でわかること
- Minor RevisionとMajor Revisionの本質的な違いと採択率の実データ
- 分野別に見た、MinorとMajorの査読コメントの具体例
- Major Revisionの大半を占める「軽微なコメント」の優先順位のつけ方
- 査読者同士の意見が矛盾している場合の対処法(実証データつき)
- 追加実験を求められた場合の現実的な選択肢
- 修正期限の管理と延長申請の具体的な方法
Major Revisionはリジェクトではありません。修正を求められた原稿の66%が最終的に採択され、採択された論文の65%はMajor Revisionを経由しています(Ordak 2025)。採択率の面から見ても、Major Revisionは不利な決定ではなく、採択に至る最も一般的な経路です。さらに、最終的に掲載された論文の8.0%は、査読者の1人が最後まで「不採択」を推奨したまま掲載されています(De Las Cuevas 2026)。査読は多数決ではなく、エディターによる裁定です。
目次
- Minor RevisionとMajor Revisionの定義と違い
- 【分野別】MinorとMajorの査読コメントは実際どう違うか
- Major Revisionの大半は「軽微なコメント」である
- Minor Revision対応の手順
- Major Revision対応の戦略
- 追加実験を求められた場合の対処法
- 修正期限の管理と延長申請方法
- 修正原稿の提出前チェックリスト
- 再査読(Re-review)で評価される点
- Major Revisionでよくある失敗と防ぎ方
- よくある質問(FAQ)
- 修正対応サポート
1. Minor RevisionとMajor Revisionの定義と違い
査読者からの修正要求は大きく2種類に分類されます。両者の違いは、修正の「量」ではなく「性質」にあります。

| 項目 | Minor Revision(軽微な修正) | Major Revision(大幅な修正) |
|---|---|---|
| 意味合い | 基本的に採択の見込みが高い。細部の修正で完成 | 採択を保証しないが、修正次第で採択の可能性は十分にある |
| コメントの性質 | 報告の要求(すでに行ったことを書き足す) | 証拠の追加・再解析・主張の緩和の要求 |
| 修正の範囲 | 文章の明確化、図の改善、表記統一、軽微な追加記述 | 追加実験、分析の再実施、構成の大幅変更、結論の修正 |
| 対応期間の目安 | 2〜4週間 | 1〜3ヶ月(場合によりそれ以上) |
| 再査読の可否 | 多くの場合、エディターのみが確認(再査読なし) | 元の査読者(または新規査読者)による再査読が行われる |
| 追加実験の有無 | 通常不要 | 要求されることが多い |
2020年から2025年にかけて臨床医学系ジャーナルで実施された150件の統計査読の分析では、66%の原稿が修正を経て採択されました。そのうち65%はMajor Revisionを経由し、Minor Revisionのみで採択されたのは35%にとどまります(Ordak 2025)。Major Revisionは、採択された論文がたどる最も一般的な経路です。
2. 【分野別】MinorとMajorの査読コメントは実際どう違うか
同じ「Major Revision」という決定でも、求められる作業は分野によって大きく異なります。臨床医学では統計の再解析、情報科学ではアブレーション実験、化学では対照実験、というように、分野ごとに典型的な「重い要求」が存在します。
※以下のコメントは、CONSORT・STROBE・ARRIVE・SAMPL・APAなど各分野の報告ガイドラインおよび公開されている査読者向け指針に基づいて構成した典型例です。特定の原稿から引用したものではありません。
2-1. 医学・臨床研究
| Minorの典型例 | Majorの典型例 |
|---|---|
| 「表2・表3では『P < 0.05』ではなく正確なP値を記載してください」 | 「多変量モデルがベースラインの重症度を調整していません。この共変量を含めて再解析するか、除外の理由を示してください」 |
| 「MACEという略語が定義前にResultsで使用されています。初出時に定義してください」 | 「サンプルサイズ設計の記載がありません。現状では主要評価項目の検出力が不足していると思われます」 |
| 「STROBEチェックリストを補足資料として、本文の該当箇所と対応づけて追加してください」 | 「倫理委員会の承認の有無、同意取得の免除について記載がありません。承認番号とともに明記してください」 |
統計コメントへの対応にはしばしば再解析が必要になります。医学統計解析サポート(¥79,800〜)、および査読で指摘される統計エラー10選も参考にしてください。
2-2. 生命科学・生物学
| Minorの典型例 | Majorの典型例 |
|---|---|
| 「使用した全抗体のカタログ番号とRRIDを記載してください」 | 「図4のブロットは単一実験の結果です。3回以上の独立した生物学的反復による定量と統計解析が必要です」 |
| 「図3の各パネルについて、生物学的反復と技術的反復の数を明記してください」 | 「in vitroの結果は示唆的ですが中心的主張の裏づけには不十分です。in vivoでの検証が必要です」 |
| 「図1C・1Dにスケールバーがありません」 | 「ローディングコントロールが飽和しており、現状のデンシトメトリーは解釈できません。非飽和条件での再取得を求めます」 |
2-3. 工学・材料/情報・AI
| Minorの典型例 | Majorの典型例 |
|---|---|
| 「3.2節(MPa)と表4(kPa)で単位系が一致していません」 | 「比較対象が2019年のベースラインのみです。新規性を主張するには最新のstate-of-the-art手法との比較が不可欠です」 |
| 「ハイパーパラメータの探索範囲と乱数シードを記載してください」 | 「各モジュールの寄与を切り分けるアブレーション実験が必要です」 |
| 「図5がジャーナル規定の300 dpiを下回っています」 | 「単一試行の結果のみが報告されています。5シード以上での平均±標準偏差と有意差検定を示してください」 |
2-4. 理学(物理・化学)
| Minorの典型例 | Majorの典型例 |
|---|---|
| 「出発物質の純度とNMR測定装置の型式を記載してください」 | 「文献[X]で提唱された代替機構を排除する対照実験がありません。機構を主張する前にこの実験が必要です」 |
| 「化学シフトの小数点以下の桁数を統一してください」 | 「提案された機構は速度論的データによって裏づけられていません。速度論的証拠を示すか、仮説として明示してください」 |
2-5. 人文・社会科学
| Minorの典型例 | Majorの典型例 |
|---|---|
| 「各下位尺度のクロンバックのα係数を報告してください」 | 「サンプルが単一機関に限定されており一般化可能性が制約されます。サンプルを拡大するか、主張を大幅に限定してください」 |
| 「参考文献が編著書についてAPA第7版に準拠していません」 | 「有意差検定と併せて効果量が報告されていません。全体を通じて追加し、知見を再解釈してください」 |
| 「調査項目の正確な文言を付録として示してください」 | 「事前登録がなく、解析は探索的と見受けられます。仮説を確証的ではなく探索的なものとして再構成してください」 |
分野を越えた共通パターン
どの分野でも、Majorのコメントは結局のところ次の3つのいずれかに還元されます。①欠けている証拠を出せ(追加実験・反復・ベースライン・対照)、②解析をやり直せ(調整・再モデル化・効果量の追加)、③主張を弱めろ。一方、Minorのコメントはほぼ例外なく「報告せよ」という要求です。
見分け方:すでに行ったことを書き足すだけならMinor。行っていないことを実施する、または結論を後退させるならMajorです。
3. Major Revisionの大半は「軽微なコメント」である
Major Revisionの決定通知を、ひとつの大きな要求として読んでしまうのが最もよくある誤読です。実際にはそうではありません。典型的なMajor Revisionの通知には、本当に構造的な問題を指摘する少数のコメントと、それよりはるかに多数の報告・表記に関する小さな要求が混在しています。しかも、それらは重要度順ではなく、査読者が読み進めた順に番号が振られているだけです。
この混在が時間を奪います。上から順に処理した結果、コメント2に何日もかけている間に、実は結果を左右するのがコメント17だったと後で気づく。あるいは30個のコメントを見た瞬間に「この論文は失敗した」と判断して手が止まる。どちらもよく起こります。
3-1. 執筆を始める前に、全コメントを4つに分類する
| 分類 | 内容 | 着手のタイミング |
|---|---|---|
| ① 律速 | 新規データ・追加実験・未実施の再解析が必要。期限内に対応できるかを左右する | 48時間以内に可否を判断。期限延長を申請しうる唯一の分類であり、延長申請は早いほど通る |
| ② 実質 | 論文の主張そのものを変える。解釈・限界・結論の射程 | ③の後。最も丁寧な執筆と、多くの場合は共著者との協議が必要 |
| ③ 表層 | 報告・書式・単位・略語・引用形式・図の解像度 | 最初に着手する(直感に反しますが理由は3-2) |
| ④ 係争 | 誤読に基づく、研究の範囲外、科学的根拠を欠く指摘 | 最後に、根拠を添えて書面で。3-3を参照 |
3-2. 表層のコメントを「最後」ではなく「最初」に片づける
小さなコメントは後回しにしたくなります。それを逆転させる理由が3つあります。
- 数の上で大半を占めるから。これらを片づけると、30個のコメントという威圧的な通知が、1日で「本質的な問題は4つだけ」という扱える形に変わります。実務上の効果であると同時に、心理的な効果でもあります。
- 再査読で機械的に確認されるから。書式の要求に未対応であることは、再修正を命じられる理由として最も安上がりです。
- ④で信用を買えるから。小さな要求がすべて目に見えて満たされている回答レターであれば、1点についての理由ある反論は、抵抗ではなく熟慮された判断として読まれます。
3-3. 査読者同士が矛盾しているときは、矛盾を明示してエディターに委ねる
正反対のことを要求する2人の査読者を、両方とも満足させようとする著者は少なくありません。それはたいてい不可能で、常に高くつきます。公表されている実証データは、むしろ「矛盾を明示する」ことを支持しています。
実証データ:査読者の意見対立は「例外」ではなく「常態」
2026年にResearch Integrity and Peer Review誌で公表されたメタ研究は、掲載された12,187本と不採択となった3,819本の原稿(Healthcare誌、2021〜2025年)を解析しました。
- 最終的に掲載された論文でも、初回ラウンドの74.8%で査読者の意見が割れていました。コメントが矛盾していることは、論文に問題がある兆候ではありません。
- 掲載論文では意見の不一致が最終ラウンドまでに29.3%まで減少した一方、不採択論文では71.4%のまま残りました。不一致が解消されるかどうかが両者を分けます。
- 最終的に掲載された論文の6.3%は、最終ラウンドで査読者の多数意見が「不採択」でした。8.0%は、少なくとも1人が最後まで不採択を推奨したまま掲載されています。

最後の数字は、落胆している著者にこそ示すべきものです。査読者が不採択を推奨し続けていても、論文は採択されうるのです。同論文の結論は、査読が「多数決の仕組みというより、エディターの判断が多様な査読者の入力を統合する裁定の過程として機能している」というものでした。
実務上の帰結は明確です。回答レターは、査読者に対してと同じかそれ以上に、エディターに向けて書かれるべきです。2人の査読者が対立している場合は、両方の立場を率直に記述し、どちらに従ったか、なぜそうしたかを説明し、裁定は本来それがあるべき場所に委ねます。
矛盾を明示する英語表現例:
Reviewer 1 (Comment 4) asks us to shorten the Discussion, while Reviewer 2 (Comment 9) requests an expanded comparison with prior work. We have followed Reviewer 2, since the added comparison addresses a substantive gap, and have offset the length by condensing the previously redundant paragraphs on pp. 14–15. We would of course be glad to follow the Editor’s preference if a different balance is desired.
3-4. 回答レターの冒頭は、コメント番号順ではなくテーマ順で書く
エディターは精読の前に流し読みをします。冒頭の3〜4文で、実質的に何が変わったのか(追加した実験、やり直した解析、後退させた結論)を述べ、その後にコメントごとの回答へ進んでください。「査読者1、コメント1:誤字を修正しました」から始まるレターは、自分の最も強い証拠を自分で埋めてしまっています。
回答レターの具体的な書式とテンプレートは査読反論レター(Rebuttal Letter)の書き方とテンプレート、および査読コメントへの回答の書き方【完全ガイド】で詳しく解説しています。
4. Minor Revision対応の手順(ステップバイステップ)
Minor Revisionへの対応は、スピードと正確さが求められます。多くの場合、再査読は行われずエディターの確認のみで採択が決まります。
Step 1:査読コメントの全体把握と分類(1〜2日)
- すべてのコメントをリストアップし番号を付ける
- 「必須修正」と「推奨修正」に分類する
- 対応の難易度と必要時間を見積もる
Step 2:回答レター(Response Letter)の下書き(並行して実施)
- 各コメントに対して個別に回答欄を作成する
- コメント番号→査読者コメント引用→著者の回答→修正箇所の明示 の順で記載
- 感謝の言葉で始める(誠実で礼儀正しい姿勢が重要)
Step 3:原稿の修正(2〜3日)
- 各修正点を原稿内で正確に反映する
- 修正箇所をトラックチェンジ(変更履歴)または色付きテキストで示す
- 修正した箇所を回答レター内で具体的に参照(ページ・行番号)する
Step 4:最終確認(1日)
- 全コメントへの回答が漏れていないか確認
- 原稿の一貫性・整合性を確認
- 英語の質を再確認(必要に応じて英文校正を依頼)
回答レターの書き出し例(英語):
Dear Dr. [Editor’s Name],
We sincerely thank the reviewers for their thoughtful and constructive comments, which have significantly improved the manuscript. We have carefully addressed each point below. All changes are highlighted in yellow in the revised manuscript.
Sincerely,
[Your Name]
5. Major Revision対応の戦略
Major Revisionは、単なる「修正」ではなく「論文の大幅な強化」と捉えるべきです。第3章の4分類を終えたうえで、以下の順に進めます。
5-1. コメントの優先度付けと作業計画の立案
| 優先度 | コメントの種類 | 対応のポイント |
|---|---|---|
| 最優先 | 研究デザインの根本的な問題、追加実験の要求 | 早期に対応可否を判断し、必要なら期限延長を申請 |
| 高優先 | 解釈・議論の大幅な修正、統計の再解析 | 論文の主張に影響するため慎重に。医学統計解析サポートで再解析の妥当性を確認できます |
| 標準 | 追加の参考文献、文章の明確化、図表の改善 | 丁寧かつ迅速に。図表の作り直しは論文図表作成(¥14,800〜)で対応可能です |
5-2. 不当なコメントへの対応
すべての査読コメントに従う必要はありません。科学的に根拠のない修正要求に対しては、丁寧かつ論理的に反論することが可能です。前述のとおり、査読者の推奨と編集判断は約88%しか一致しておらず、エディターは査読者の意見を機械的に採用しているわけではありません。
反論する際の英語表現例:
We respectfully disagree with this suggestion. Our methodology follows the established guidelines of [Reference], and the sample size was calculated to detect a clinically meaningful difference with 80% power (see Methods, p.X). We have added a clarification to the Methods section (lines X-Y) to make this clearer.
5-3. Major Revisionでの回答レターの構成
- 冒頭に全体的な改善点のサマリーを記載(executive summary)
- 各査読者のコメントを個別に番号付きで引用し、丁寧に回答
- 修正後の原稿内の該当箇所(ページ・行番号)を明示
- 追加データ・図を回答レター内に直接挿入することで説得力を高める
回答レター(Response to Reviewers)そのものの構成、定型表現、コメント種類別の回答例文については査読コメントへの回答レターの書き方と例文で解説しています。
6. 追加実験を求められた場合の対処法
Major Revisionで特に難しいのが追加実験の要求ですが、求められた実験をすべて実施しなければならないわけではありません。まず、論文の主張を支えるのに必須の実験なのか、研究を広げるだけの実験なのかを見極めます。実施できない場合は、その理由を明確に説明し、既存データによる代替分析や、主張の範囲と研究の限界の明記で応えます(既存データの報告品質を高める方法として、報告ガイドライン準拠確認もあります)。判断フローと英語の回答例文は、追加実験を求められたときの判断フローと回答例文で解説しています。
7. 修正期限の管理と延長申請方法
修正期限は判定通知に記載されており、期限にも延長できる期間にも、ジャーナル共通の決まりはありません。期限に間に合わない見込みの場合は、期限の前に、あとどのくらい時間が必要か・その理由・新しい提出日の提案を書いて、ジャーナルの正式な窓口から依頼します。
依頼の手順と状況別の英文メール例文はリバイス期限の延長依頼|状況別の英文メール例文に、ジャーナルごとの期間の目安は査読・修正サイクルの期間ガイドにまとめています。
8. 修正原稿の提出前チェックリスト
修正提出前の最終確認リスト
【回答レターの確認】
- すべての査読者コメントに対応済みか
- 各回答に原稿内の修正箇所(ページ・行番号)を明示したか
- 反論の場合は科学的な根拠を示したか
- 査読者間で矛盾があった場合、それを明示してエディターの判断を仰いだか
- 丁寧・プロフェッショナルなトーンを保っているか
【修正原稿の確認】
- すべての修正点が正確に反映されているか
- 変更履歴(トラックチェンジ)または修正箇所のハイライトが適切か
- 新しく追加した図・表の品質は十分か
- 参考文献の追加・修正が正確か
- 全体の論旨の一貫性が保たれているか
【英語・形式の確認】
- 英語の文法・表現に問題がないか(必要なら英文校正を依頼)
- ジャーナルの投稿規程に引き続き準拠しているか
- ワード数制限を超えていないか
9. 再査読(Re-review)で評価される点
Major Revisionでは、修正原稿が再び査読者に送られることがほとんどです。再査読で評価される主なポイントを押さえましょう。
- コメントへの対応の完全性:すべてのコメントに誠実・完全に回答しているか
- 論文の質の向上:修正によって元の論文より実質的に改善されているか
- 回答レターの説得力:科学的根拠に基づいた説明ができているか
- 新たな問題の有無:修正によって新たな矛盾や問題が生じていないか
- 英語の質:修正後の英語が適切かつ読みやすいか
なお、方法論に関するコメントは特に丁寧な対応が必要です。方法論を専門とする査読者の指摘は、著者に実装される割合も、エディターが従う割合も高いことが報告されています(Ibragimova & Fulbright 2024)。
万一、再査読で不採択となった場合はアピール(不服申立て)の戦略、およびリジェクト対応完全ガイドを参照してください。
10. Major Revisionでよくある失敗と防ぎ方
そもそも原稿が不採択になる理由は、多くの日本人研究者が想定するものとは異なります。下図は、あるジャーナルに投稿された研究論文のうち不採択となった56件について、査読者とエディターのコメントを分析した結果です。

英文校正だけで解決する問題は全体の一部にすぎません。方法論と投稿先の選択は、修正段階に入る前に対処すべき課題です。
| よくある失敗 | 影響 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 一部のコメントへの回答漏れ | 再度の修正要求または不採択 | 番号付きのチェックリストで全コメントを管理 |
| 上から順に処理し、律速コメントの発見が遅れる | 期限直前に対応不可能と判明する | 着手前に4分類(第3章)を行い、律速を48時間以内に判定 |
| 「修正しました」だけの回答(根拠なし) | 査読者の納得が得られない | なぜその修正を行ったかの理由を必ず記載 |
| 矛盾する2人の査読者を両方満足させようとする | 原稿が一貫性を失い、時間も浪費する | 矛盾を明示し、選択の理由を述べてエディターに委ねる |
| 感情的・防衛的な回答 | 査読者・エディターに悪印象を与える | 常に丁寧・プロフェッショナルなトーンを維持 |
| 修正箇所の原稿内参照がない | 査読者が修正を確認しにくい | ページ・行番号を必ず明示する |
| 修正後の英語の質が低下 | 再査読で言語面の指摘を受ける | 修正後も英文校正を受ける |
なお、そもそも修正要求を減らすには投稿前の準備が重要です。ジャーナル投稿前の確認事項はデスクリジェクト防止チェックリスト10点にまとめています。查読プロセス全体の流れは査読(ピアレビュー)プロセス完全ガイドを参照してください。
11. よくある質問(FAQ)
Q1. Major Revisionはリジェクトと同じですか?
いいえ、まったく異なります。Major Revisionは、査読者とエディターが「修正すれば掲載可能」と判断したというシグナルです。臨床医学系ジャーナルにおける150件の統計査読の分析では、採択された原稿の65%がMajor Revisionを経由していました(Ordak 2025)。Major Revisionは、採択に至る最も一般的な経路です。
Q2. Major RevisionとMinor Revisionでは対応期間はどれくらい違いますか?
Minor Revisionは通常2〜4週間、Major Revisionは通常1〜3ヶ月が目安です。ただし決定的な違いは期間ではなく再査読の有無です。Minor Revisionは多くの場合エディターの確認のみで完了しますが、Major Revisionでは修正原稿が元の査読者に再度送られるのが一般的です。
Q3. 査読者のコメントが互いに矛盾している場合はどうすればいいですか?
両方を満たそうとせず、矛盾を回答レター内で明示し、どちらの意見に従ったか、その理由は何かを説明したうえで、最終判断をエディターに委ねてください。12,187本の掲載論文を解析したメタ研究によれば、掲載に至った論文でも初回ラウンドの74.8%で査読者の意見が割れており、意見の対立は例外ではなく常態です(De Las Cuevas 2026)。
Q4. 追加実験を求められましたが、実施が不可能です。どうすればいいですか?
不可能である理由(技術的・倫理的・時間的制約)を具体的に説明し、代替案を提示してください。選択肢は3つあります。既存データによる代替解析を行う、当該論点を「今後の研究課題」および研究の限界として明記する、または報告ガイドラインに沿って既存データの報告品質を高める、です。実施できないことを黙って無視するのが最も避けるべき対応です。
Q5. 修正期限に間に合わない場合、延長は申請できますか?
期限の前に、あとどのくらい時間が必要か・その理由・新しい提出日の提案を添えて、ジャーナルの正式な窓口から依頼します。延長できるかどうか、延長できる期間はジャーナルごとに異なります。手順と英文メール例文はリバイス期限の延長依頼|状況別の英文メール例文をご覧ください。
Q6. Major Revisionの後、再査読で不採択になることはありますか?
あります。ただし、修正の質が結果を大きく左右します。掲載論文では査読者間の意見の不一致が最終ラウンドまでに29.3%へ低下したのに対し、不採択論文では71.4%のまま残っていました(De Las Cuevas 2026)。査読者の懸念を実際に解消できたかどうかが分かれ目です。なお、最終的に掲載された論文の8.0%は、査読者の1人が最後まで不採択を推奨したまま掲載されています。1人の否定的な査読者の存在は、それ自体では致命的ではありません。
Q7. Major RevisionとMinor Revisionでは採択率はどれくらい違いますか?
決定タイプ別の採択率を直接示した公開データは限られています。参考になるのは、臨床医学系ジャーナルで実施された150件の統計査読の分析です。この分析では、修正を求められた原稿の66%が最終的に採択され、採択された論文のうち65%はMajor Revisionを、35%はMinor Revisionのみを経由していました(Ordak 2025)。Minor Revisionが採択に近い決定であることは確かですが、採択された論文の多数派はMajor Revisionを経由しています。Major Revisionを受け取ったこと自体が、採択率の低さを意味するわけではありません。
12. 修正対応サポート
Major Revisionへの対応は、研究者単独では負担が大きい場合があります。Editverse Japanでは、査読コメントの分類から回答レターの作成、統計の再解析、図表の修正、修正後の英文校正までを一括で支援しています。
無料見積もり ・ 24時間以内に返信
論文を、不採択にさせない。
回答レター・統計・英語を、専門家が再投稿前に整えます。
採択された論文の65%はMajor Revisionを経由 ・ PMID 40845506
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13. 関連記事
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- 追加実験を求められたときの判断フローと回答例文
- 査読コメントへの回答の書き方【完全ガイド】
- 査読反論レター(Rebuttal Letter)の書き方とテンプレート
- 査読・修正サイクルの期間ガイド|タイムライン目安と遅延対策
- Decision in Processの間に修正の準備をする
- 査読(ピアレビュー)プロセス完全ガイド|投稿から採択までの流れ
- 論文リジェクトへのアピール(不服申立て)完全戦略
- リジェクト対応完全ガイド|不採択になったときの次の戦略
- デスクリジェクト防止チェックリスト10点
- 【統計エラー10選】査読で指摘される前に確認すべき統計的問題
- 図の凡例と表の脚注の書き方|査読者を納得させる記述法
回答レター作成から統計の再解析まで、採択まで定額で
査読コメントの分析、回答レター(Response to Reviewers)、改訂原稿の英文校正、必要に応じた統計の再解析まで対応します。論文1本¥29,800から、納品後のお支払い・公費対応。
14. 参考文献・根拠となる研究
- De Las Cuevas C. Reviewer recommendations and editorial outcomes in peer review: a longitudinal analysis of agreement and disagreement across review rounds. Res Integr Peer Rev. 2026. doi:10.1186/s41073-026-00200-7(PMID: 42260682)
- Ordak M. Could adherence to SAMPL Guidelines improve statistical reporting in clinical manuscripts? Insights from 150 editorial reviews for specialty journals. Curr Res Transl Med. 2025;73(4):103536. doi:10.1016/j.retram.2025.103536(PMID: 40845506)
- Reed H, Dehn RW, Bushardt RL. Reasons for unsuccessful research submissions to JAAPA. JAAPA. 2022;35(5). doi:10.1097/01.JAA.0000824948.31791.0b(PMID: 35421874)
- Ibragimova I, Fulbright H. Librarians and information specialists as methodological peer-reviewers: a case-study of the International Journal of Health Governance. Res Integr Peer Rev. 2024;9:1. doi:10.1186/s41073-023-00142-4(PMID: 38238865)
- Abby M, Massey MD, Galandiuk S, Polk HC. Peer review is an effective screening process to evaluate medical manuscripts. JAMA. 1994;272(2):105-107.(PMID: 8015116)