査読者に追加実験を求められたときの判断フロー図。①その実験は論文の現在の結論を支えるのに必須か(いいえ→研究を拡張する提案として、感謝と範囲外である理由を述べ、Limitation・今後の課題に記載)、②期限内(延長を含む)に実施できるか(はい→実施し、結果は不利なものも含めすべて報告)、③既存データ・追加解析・文献で懸念の核心に答えられるか(はい→再解析・感度分析で回答し、答えられる点と答えられない点を両方明記)、④主張を弱めれば残りのデータで支えられるか(はい→結論を弱めて限界を明記し、エディターに判断を仰ぐ/いいえ→エディターと相談:取り下げ・他誌投稿・後日の再投稿)。根拠はCOPE査読者倫理ガイドライン

査読で追加実験を求められたら|できない時の回答例と判断法

査読者から新たな実験を求められても、自動的にすべて実施しなければならないわけではありません。まず、その実験が論文で実際に主張している内容を支えるのに「必須」なのか、それとも研究を「拡張」するだけなのかを見極めます。COPE(出版倫理委員会)のガイドラインも、査読者にまさにこの区別を求めています。必須なのに実施できない場合は、手元のデータ(再解析・感度分析・文献)で要求の背景にある懸念に答え、データが足りない部分は主張を狭め、限界を率直に記載します。リバイスを不利にするのは、要求を無視すること、そして実行しない約束をすることです。

本記事では、「実施できない(または実施すべきでない)追加実験を求められた」という一つの場面に絞って、要求の見極め方、判断のフロー、既存データで答える実例(Rによる再現可能な解析)、ケース別の英語回答例文を解説します。回答レター全体の構成は査読コメントへの回答の書き方、Major Revisionの全体戦略はMajor RevisionとMinor Revisionの違いをご覧ください。

1. 「追加実験」の要求はなぜ多く、なぜ対応が難しいのか

「もう一つ実験を」という要求は、生命科学の査読ではおなじみのものであり、研究者コミュニティの内部からも批判があります。Hidde Ploeghは2011年のNature誌のコラム「End the wasteful tyranny of reviewer experiments」で、トップジャーナルの査読は「不要な追加実験の要求によって停滞している(is bogged down by unnecessary demands for extra lab work)」と論じました[文献1]。Ronald ValeはPNASに発表した分析で、以前の数十年に比べて「出版に求められる実験データが増えている(more experimental data are now required for publication)」と結論し、大学院生が最初の論文を出すまでに必要な期間も延びていることを示しています[文献2]。

要求のなかには、厳密さとは関係のないものもあるという調査結果もあります。生物学分野の研究者90名が回答した調査では、31名が「動物を使っていない研究に、動物実験のデータを追加するよう査読者に求められた」と回答しました。この31名のうち14名は、その要求が正当な場合もあると考え、11名はそう考えていませんでした。また21名は、こうした要求を見越すことだけを目的に動物実験を行ったことがあると回答しています[文献3]。2025年に発表されたインドの研究者を対象とする調査では、この質問に回答した70名のうち56%(39名)が、動物を使わない研究に動物実験を追加するよう論文の査読者から求められた経験があり、回答者はこうした要求の平均24%に応じていました[文献4]。

これは「査読者が間違っている」という意味ではありません。実験の要求は、その論文に何が必要かについての一つの主張であり、著者はその主張を検討してよい、ということです。以下では、その検討の進め方を説明します。

日本の多くの研究者にとって、この場面を難しくしているのは科学的な問題よりも、むしろ実務上の制約です。

制約 よくある例 回答への影響
時間 修正期限は60日や90日なのに、動物のコホートや細胞株の準備に数か月かかる 期限の延長が必要になるか、別の種類の回答が必要になる
承認 新たな動物コホートや新たな患者検体には、動物実験計画や倫理審査の変更承認が必要になることがある 妥当な期限内では実施できない実験もある
人と資金 実験を担当した学生が修了した、研究費の期間が終わった、所属機関が変わった 正直に説明すれば、実施可能性は正当な理由になる
試料・設備 検体を使い切った、臨床コホートが終了した、装置がもうない そもそも繰り返せない実験もある

この4つはいずれも、代わりの対応を提案する正当な理由になります。しかし、どれも要求について何も答えずに済ませる理由にはなりません。

2. 要求を読む:「必須」か、「あればよい」か

COPEの査読者向け倫理ガイドライン(COPE Ethical Guidelines for Peer Reviewers)は、査読者に対し、「提案する追加調査のうち、審査中の原稿で主張されている内容を支えるのに必須なものはどれか(もしあれば)、研究を強化・拡張するだけのものはどれかを明確にする(Be clear which (if any) suggested additional investigations are essential to support claims made in the manuscript under consideration and which will just strengthen or extend the work)」よう求めています[資料O1]。査読者がいつもこの区別をしてくれるとは限らないので、著者の側で区別する必要があります。

実験の要求を受け取ったら、一つずつ次の3つを問いかけます。

  1. この要求は、論文のどの文に疑問を投げかけているか?Abstract、Results、Discussionのなかから、該当する主張を特定します。該当する文が見つからなければ、その要求はおそらく研究の拡張に関するものです。
  2. 査読者は実際に何を疑っているのか?多くの要求は、次のいずれかの疑問に集約できます。効果が偶然か、少数の試料に左右されているのではないか。ほかの要因(交絡、アーチファクト、欠けている対照)で説明できるのではないか。示された例は都合のよいものだけではないか。一般化できないのではないか(ほかの用量、細胞種、集団)。メカニズムが示されずに主張されているのではないか。先行研究に比べて何が新しいのかがはっきりしないのではないか。
  3. その疑問を別の方法で解消できないか?要求の背景にある疑問は、手元のデータ、まだ示していない解析、公表された根拠で解消できることが少なくありません。
要求のタイプ(表現は例) 必須であることが多いか 多くの場合に有効な回答
「欠けている対照を加えよ」(溶媒、シャム、アイソタイプ、未処置) 中心的な主張がその比較に依存するなら、多くは必須 可能なら実施する。記録に対照があるのに示していなかった場合は、それを示す
「サンプルサイズを増やせ」 結論が精密な推定値に依存しているかどうかによる 効果量と信頼区間、頑健性の確認(第4節)。事後的な検出力計算ではない(第5節)
「別のモデル・細胞株・集団で再現せよ」 一般性を主張していない限り、多くは研究の拡張 主張を検証した範囲に限定する。Limitationsに記載する
「メカニズムを示せ」(ノックダウン、レスキュー、経路阻害) 論文がメカニズムを主張している場合のみ必須 実施するか、「XはZを介してYを引き起こす」を「XはYと関連し、Zはその候補である」に書き換える
「より高い・低い用量、より長い追跡で検討せよ」 多くは研究の拡張 検討した範囲を明記し、今後の課題とする
「交絡因子Xの影響を除外せよ」 観察研究では必須であることが多い 調整済み・未調整の推定値、感度分析。査読で統計を指摘されたらも参照
「もっと例を示せ/うまくいかなかった例も示せ」 一般的な主張をしているのに成功例しか示していないなら必須 失敗例を含め、検討したすべての例を本文または補足資料(Supplementary Materials)で報告し、結果が成り立つ範囲を明記する
「先行研究の方法・化合物Xと直接比較せよ」 Xより優れていると主張している場合のみ必須 公表データとの比較をより明確にする(自分の結果と先行報告を並べた表など)ことで答えられることが多い。そうでなければ優越性の主張を削除する

エディターがその要求を必須と考えているかどうか判断がつかない場合は、エディターに尋ねてもかまいません。判定通知(decision letter)の多くは、必ず対応すべき点を示しています。査読者の間で実験の要否について意見が分かれている場合は、査読者の矛盾コメントへの対処法をご覧ください。

3. 判断のフロー:要求ごとに4つの状況に分ける

査読者に追加実験を求められたときの判断フロー図。①その実験は論文の現在の結論を支えるのに必須か(いいえ→研究を拡張する提案として、感謝と範囲外である理由を述べ、Limitation・今後の課題に記載)、②期限内(延長を含む)に実施できるか(はい→実施し、結果は不利なものも含めすべて報告)、③既存データ・追加解析・文献で懸念の核心に答えられるか(はい→再解析・感度分析で回答し、答えられる点と答えられない点を両方明記)、④主張を弱めれば残りのデータで支えられるか(はい→結論を弱めて限界を明記し、エディターに判断を仰ぐ/いいえ→エディターと相談:取り下げ・他誌投稿・後日の再投稿)。根拠はCOPE査読者倫理ガイドライン
図1. 査読者に追加実験を求められたときの判断フロー。COPEの査読者向け倫理ガイドラインにある「主張を支えるのに必須の追加調査」と「研究を強化・拡張するだけの提案」の区別に基づく、数値を含まない模式図です(根拠:COPE Ethical Guidelines for Peer Reviewers)© editverse.com

図の読み方:「実験を実施する」で終わる経路は1つだけです。残りの4つの経路は、書面での回答かエディターとの相談で終わります。どの経路も、エディターが評価できるものに行き着きます。

実験の要求は、次の4つの状況のどれかに当てはまり(図ではDを2つの結末に分けています)、それぞれに必要な回答の種類が異なります。

A. 研究の拡張にあたる(必須ではない)。査読者に感謝し、その実験が本論文の問いの範囲外である理由を簡潔に説明し、LimitationsまたはFuture workに加えます。「その発想は興味深くない」と反論するのではなく、「それは別の研究である」と伝えます。

B. 必須で、実施可能。実施します。期限が短すぎる場合は、早めにエディターに延長を依頼します(査読・修正サイクルの期間ガイド)。結果がどうであれ報告し、新しいデータで結論が弱まる場合は結論を修正します。

C. 必須だが実施できない。ただし、別の方法で懸念に答えられる。要求された方法ではなく、その背景にある疑問に答えます。既存データの再解析、感度分析の追加、収集したが報告していなかった生データや対照の提示、独立した公表文献の引用などです。そのうえで、それによって何が確立でき、何が確立できないのかを明記します。第4節で実例を示します。

D. 必須だが実施できず、ほかの根拠もない。残りのデータで支えられる範囲まで主張を狭め、限界を記載し、判断をエディターに委ねます。その実験なしでは論文の中心的な主張が成り立たない場合は、エディターと率直に相談します。選択肢は、実験を終えてからの再投稿や、狭めた主張そのものが貢献となる別のジャーナルへの投稿です。別のジャーナルを選ぶ場合は、まず正式に投稿を取り下げ、その確認を待ってください。ICMJEは、著者は「同一の原稿を、同じ言語であれ異なる言語であれ、複数のジャーナルに同時に投稿すべきではない(should not submit the same manuscript, in the same or different languages, simultaneously to more than one journal)」としています[資料O3]。回答していないリバイスの依頼も、まだ審査中の投稿です。あわせてReject and ResubmitとRevise and Resubmitの違いもご覧ください。

どの経路でも、決して許されないことが2つあります。実施していない実験を報告することと、望む結果が出る解析を選んで使うことです。感度分析は、事前に計画したものか事後的なものかにかかわらず、実施したものについて根拠と結果を報告し、全体の結果に対する意味を考察してください[文献5]。

4. 実例(実データ):「動物数を増やし、高用量でも検討せよ」に新たな実験なしで答える

データ。Rに組み込まれているデータセットToothGrowthは、1947年にThe Journal of Nutritionに発表された研究のデータです。60匹のモルモットに、ビタミンCを0.5、1、2 mg/日のいずれかの用量で、オレンジジュース(OJ)またはアスコルビン酸(VC)として投与しました(各群10匹)。アウトカムは象牙芽細胞(odontoblast)の長さです[文献6]。ここでは、典型的な小規模動物実験の代わりとしてこのデータを使います。

状況。(教育用のシナリオです。データは実データですが、以下の「元の主張」と査読コメントはこの例のために作成したもので、実際の査読から引用したものではありません。)元の原稿が「オレンジジュースはアスコルビン酸よりも象牙芽細胞の成長を促した」と結論していたとします。査読者2は次のように書いてきました。

“The sample size is small. The authors should repeat the experiment with more animals, and at higher doses, to establish whether the advantage of orange juice is real and independent of dose.”

(訳)サンプルサイズが小さい。オレンジジュースの優位が本当に存在し、用量に依存しないのかを確かめるため、より多くの動物を用い、より高い用量でも実験を繰り返すべきである。

新たな動物コホートとなれば、実験計画の承認、新しい動物、そして数か月の作業が必要です。しかし、査読者が疑っていることに目を向けると、(1) OJの優位が少数の動物によるアーチファクトではなく本物か、(2) それがどの用量でも成り立つか、の2点です。既存のデータは、この両方に答えることができます。

d <- datasets::ToothGrowth          # モルモット60匹、サプリメント×用量の各群10匹
# 1) 各用量でのOJ - VCの差:Welch t検定と95%CI
for (ds in c(0.5, 1, 2)) print(t.test(len ~ supp, data = subset(d, dose == ds)))
# 2) 頑健性:1匹ずつ除外して差を推定し直す
loo <- function(sub) sapply(seq_len(nrow(sub)), function(i) {
  m <- tapply(sub$len[-i], sub$supp[-i], mean); m["OJ"] - m["VC"] })
lapply(split(d, d$dose), function(s) range(loo(s)))
# 3) 分布を仮定しない確認
for (ds in c(0.5, 1, 2)) print(wilcox.test(len ~ supp, data = subset(d, dose == ds), exact = FALSE)$p.value)
# 4) OJの優位は用量に依存するか? 交互作用を直接検定する
m <- lm(len ~ supp * factor(dose), data = d); anova(m); confint(m)

Rの出力(R 4.3.3):

用量(mg/日) OJの平均 VCの平均 OJ − VC(95% CI) Welch p 1匹ずつ除外したときのOJ − VCの範囲 1匹ずつ除外したときの最大p Wilcoxon p
0.5 13.23 7.98 +5.25(1.72〜8.78) 0.006 +4.33〜+5.81 0.016 0.023
1 22.70 16.77 +5.93(2.80〜9.06) 0.001 +5.42〜+6.84 0.003 0.004
2 26.06 26.14 −0.08(−3.80〜3.64) 0.96 −0.93〜+0.78 — 1.00

サプリメント×用量の交互作用(二元配置分散分析):F(2, 54) = 4.11、p = 0.022。2 mg/日でのOJの優位は、0.5 mg/日に比べて5.33小さくなっています(95% CI 0.73〜9.93、p = 0.024)。

モルモット60匹(各群10匹)のToothGrowthデータの再解析。左は投与量別・サプリメント別の全個体と群平均、右はOJ−VCの差と95%信頼区間:0.5 mg/日で+5.25[1.72, 8.78]p=0.006、1 mg/日で+5.93[2.80, 9.06]p=0.001、2 mg/日で−0.08[−3.80, 3.64]p=0.964。灰色の帯は1匹ずつ除外した場合の推定値の範囲
図2. 手元のデータで「追加実験」の要求に答える例。左:投与量・投与方法別の全60匹と群平均。右:各投与量でのOJ−VCの差と95%信頼区間(Welch t検定)。灰色の帯は、1匹ずつ除外して推定し直したときの差の範囲です(データ:datasets::ToothGrowth、Crampton 1947, J Nutr; n=60、R 4.3.3で解析)© editverse.com

図の読み方:既存のデータだけで、0.5 mg/日と1 mg/日でのOJの優位が特定の1匹に左右されていないこと、そして2 mg/日ではその差が消えることがわかります。つまり、元の主張は広すぎたということです。

既存データで答えられること、答えられないこと

  • 低用量での効果は本物か?0.5 mg/日と1 mg/日の95%信頼区間はゼロを含みません。各用量の20匹のうちどの1匹を除いても、差は+4.33を下回らず、1匹ずつ除外したときの最大のp値は0.016です。正規分布を仮定しない順位に基づく検定でも、同じ方向の結果が得られました(p = 0.023と0.004)。これは査読者が求めていた頑健性の根拠であり、新たな動物は必要ありません。
  • 効果は用量に依存しないか?いいえ。そして、それも既存のデータが示しています。2 mg/日での差は−0.08で、交互作用の検定は、OJの優位が用量によって変わることを裏づけています。検定のしかたに注意してください。一方のp値が有意で他方が有意でないことを指摘するのではなく、2つの推定値を直接比較(交互作用の検定)しています[文献7]。
  • まだわからないことは?2つあります。第一に、2 mg/日を超える用量は検討していないので、それについては何も言えません。第二に、「2 mg/日で有意差がない」ことは「差がない」ことの証明ではありません。信頼区間(−3.80〜3.64)は、低用量で見られたほど大きな差は否定しますが、小さな差までは否定できません[文献8](95%信頼区間の正しい解釈も参照)。どちらもLimitationsに記載すべき事項です。

つまり、誠実な回答は査読者に部分的に同意するものになります。全体的な主張は強すぎたので、論文でもそう述べるべきです。

回答レターの文面

Reviewer 2, Comment 3. The sample size is small. The authors should repeat the experiment with more animals, and at higher doses, to establish whether the advantage of orange juice is real and independent of dose.

(訳)査読者2・コメント3(上記の査読コメント)

Response. We thank the reviewer for this important point. A new animal cohort would require an amended animal-experiment approval and could not be completed within the revision period, so we have addressed the two underlying questions with the existing data and revised our conclusions accordingly.

(訳)重要なご指摘に感謝します。新たな動物コホートには動物実験計画の変更承認が必要で、修正期間内には完了できないため、背景にある2つの疑問に既存のデータで答え、それに応じて結論を修正しました。

(1) Robustness of the effect. We now report the OJ − VC difference with 95% confidence intervals at each dose (new Figure 3B). At 0.5 and 1 mg/day the differences were 5.25 (95% CI 1.72 to 8.78) and 5.93 (2.80 to 9.06). In a leave-one-out analysis, removing any single animal did not change these conclusions (smallest difference 4.33; largest p = 0.016), and a Wilcoxon rank-sum test gave consistent results (p = 0.023 and 0.004). These analyses are described in Methods (page 6, lines 112–120) and Supplementary Table S2.

(訳)(1) 効果の頑健性:各用量でのOJ − VCの差を95%信頼区間とともに報告しました(新しい図3B)。0.5 mg/日と1 mg/日での差は5.25(95% CI 1.72〜8.78)と5.93(2.80〜9.06)でした。1匹ずつ除外する解析でも結論は変わらず(最小の差4.33、最大p = 0.016)、Wilcoxon順位和検定でも一貫した結果が得られました(p = 0.023と0.004)。これらの解析はMethods(6ページ112〜120行)と補足表S2に記載しました。

(2) Dependence on dose. The reviewer is correct that our original wording implied a dose-independent effect. The existing data show that the advantage is dose-dependent (supplement × dose interaction, p = 0.022): at 2 mg/day the difference was −0.08 (95% CI −3.80 to 3.64). We have therefore revised the Abstract (lines 8–10) and Discussion (page 14, lines 301–309) to restrict our conclusion to 0.5 and 1 mg/day.

(訳)(2) 用量への依存:元の表現が用量に依存しない効果を示唆していたというご指摘のとおりです。既存のデータは、優位が用量に依存することを示しています(サプリメント×用量の交互作用、p = 0.022)。2 mg/日での差は−0.08(95% CI −3.80〜3.64)でした。そのため、Abstract(8〜10行)とDiscussion(14ページ301〜309行)を修正し、結論を0.5 mg/日と1 mg/日に限定しました。

(3) Limitations. We have added that doses above 2 mg/day were not tested and that the data at 2 mg/day cannot exclude a small difference between supplements (page 15, lines 322–327). We agree that a dose-extension study would be valuable and have noted it as future work.

(訳)(3) 限界:2 mg/日を超える用量は検討していないこと、2 mg/日のデータではサプリメント間の小さな差を否定できないことを追記しました(15ページ322〜327行)。用量を広げた研究に価値があることに同意し、今後の課題として記載しました。

ページ番号と行番号は例示用の仮の値です。実際の回答レターでは、原稿の実際の修正箇所を指す必要があります。大切なのは構成です。指摘を受け止める → 代わりに何をしたか、なぜそうしたかを述べる → 数値を示す → 原稿のどこを修正したかを正確に示す → データで示せないことを認める。回答レター全体の構成は、査読コメントへの回答の書き方をご覧ください。

5. ケース別の回答例文(と、避けたい3つの書き方)

ここでは追加実験への回答に絞った例文を紹介します。回答レター全般で使える表現は、査読反論レター(Rebuttal Letter)の書き方とテンプレートをご覧ください。[ ]の部分はご自身の内容に置き換えてください。

A. 研究の拡張にあたる場合

We agree that testing [X] in [model/population] would be an interesting extension. However, the aim of the present study was [aim], and [X] would address a different question. We have added this to the Limitations and future directions (page __, lines __).

(訳)[モデル・集団]で[X]を検討することは興味深い発展であることに同意します。しかし、本研究の目的は[目的]であり、[X]は別の問いに答えるものです。この点をLimitationsと今後の方向性に追記しました(__ページ__行)。

B. 実施可能だが、時間が必要な場合

We have performed the requested [experiment]. Because it required [time-consuming step], we requested and were granted an extension of the revision deadline. The results are shown in new Figure __ and described on page __, lines __. [If the result weakens a claim:] In light of these data, we have revised [claim] to [new claim].

(訳)ご要望の[実験]を実施しました。[時間のかかる工程]が必要だったため、修正期限の延長を申請し、認められました。結果は新しい図__に示し、__ページ__行に記載しました。[結果によって主張が弱まる場合:]このデータを踏まえ、[主張]を[新しい主張]に修正しました。

C. 既存データで答える場合(完全な例は第4節)

We were unable to perform [experiment] because [specific, verifiable reason]. To address the underlying concern that [the reviewer’s doubt], we have [analysis/data/evidence]. This shows [result]. It does not establish [what remains open], which we now state as a limitation (page __, lines __).

(訳)[具体的で確認可能な理由]のため、[実験]は実施できませんでした。[査読者の疑問]という背景にある懸念に答えるため、[解析・データ・根拠]を加えました。その結果、[結果]が示されました。ただし[未解決の点]は確立できないため、これを限界として記載しました(__ページ__行)。

D. 実施できず、主張を狭めた場合

We agree that [experiment] would be required to establish [strong claim]. As it cannot be performed with the available [samples/approval/cohort], we have revised the manuscript to claim only [narrower claim], which is supported by the present data, and have added this limitation to the Discussion (page __, lines __).

(訳)[強い主張]を確立するには[実験]が必要であることに同意します。手元の[試料・承認・コホート]では実施できないため、本データで支えられる[狭めた主張]のみを主張するよう原稿を修正し、この限界をDiscussionに追記しました(__ページ__行)。

避けたい3つの書き方

避けたい書き方 理由 代わりに
「This is beyond the scope of this study.」だけで終える 拒否に読め、その範囲の線引きが妥当かをエディターが判断できない 論文がどの問いに答えるのか、そしてその実験がなぜ別の問いに答えるものなのかを述べる
「十分な検出力があったことを示す」ために、事後的な検出力計算を追加する 研究後に観察された効果から計算した検出力は「誤解を招き、データの解釈にはまったく役立たない(misleading and simply not informative for data interpretation)」とされる[文献9]。研究前の例数設計についてはサンプルサイズと検出力分析を参照 第4節のように、効果量を信頼区間とともに報告する(効果量の計算も参照)
必須の要求に対し、「We will perform this in a future study.」だけで答える 現在の主張に対する懸念が残ったままになる 今の時点で主張を狭め、そのうえで今後の研究にも触れる

限界を率直に論じることは、論文の弱点ではありません。Ioannidisが、8誌(被引用数の最も多い研究誌6誌と、創刊されて間もない主要なオープンアクセス誌2誌)について2005年に掲載された最初の50本ずつの論文を調べたところ、提示した研究について限界を示す語を少なくとも一つ使っていたのは67本(17%)にとどまり、アブストラクトで「limitation」という語を使っていたのは4本(1%)だけで、結論に実質的に影響する本研究の限界に触れたものは1本もありませんでした[文献10]。査読者への回答として明確に書かれた限界は、こうした傾向とは正反対のものです。

6. 再投稿前のチェックリスト

  • 実験の要求ごとに、それが疑問を投げかけている主張と、その背景にある疑問を特定した。
  • 各要求をA〜Dに分類し、共著者もその分類に同意している(何を主張するかの判断は著者のものであり、編集支援サービスが決めるものではありません)。
  • 実験を実施しない理由は、「範囲外」だけでなく、承認・試料・時間・コホートなど具体的で確認可能なものになっている。
  • 代わりに行った解析はすべてMethodsに記載され、結果にかかわらず報告され、回答レターからページと行で参照されている。
  • Abstract、Results、Discussion、そしてタイトルの主張が、現時点のデータで支えられる範囲と一致している。
  • 検討していない事項をLimitationsに記載した。
  • 時間が必要な場合は、期日を示して早めにエディターへ延長を依頼した。
  • 中心的な主張を狭めた場合は、エディター宛てのカバーレターでその旨を一文で伝えた。

実施できない追加実験を求められたら

査読対応サポート(論文1本あたり¥29,800)では、査読コメントを一緒に整理し、本当に追加の実験や解析が必要な箇所をご提案したうえで、Response to Reviewers(回答レター)の作成と修正原稿の英文校正を行います。採択まで追加料金なしでサポートを継続します。

回答が既存データの再解析になる場合は、査読対応・統計再解析(定額¥98,000)で、上の例のような感度分析、頑健性の確認、図の修正と、それに対応する回答文の作成まで対応します。

投稿を取り下げて別のジャーナルを検討する場合は、リジェクト再挑戦パック(¥79,800)で、査読内容の分析、修正原稿、投稿先候補3誌のご提案を行います。

私たちは実験を行うことも、論文で何を主張するかを決めることもしません。ICMJE勧告では、執筆支援、技術的な編集、英文校正(language editing)、校正(proofreading)は、それだけでは著者資格の要件を満たさないとされています[資料O4]。統計の支援や投稿手続きの支援も同様に扱います。研究デザイン、解釈、結論、投稿の最終判断は著者の皆さまのものであり、採否はジャーナルが判断します。

判定通知(decision letter)を添えて、無料見積もりフォームからお送りください。日本語でご相談いただけます。

まとめ

  • 追加実験の要求は、論文に何が必要かについての一つの主張です。COPEは査読者に、主張を支えるのに必須の調査と、研究を強化・拡張するだけの調査を区別するよう求めています。査読者が区別していなければ、著者が区別します[資料O1]。
  • 判断のフローに沿って対応します。研究の拡張なら説明してLimitationsに記載、必須で実施可能なら実施(必要なら延長を依頼)、必須だが実施できないなら既存データで背景の疑問に答える、ほかに根拠がなければ主張を狭めてエディターに判断を委ねます。
  • 既存のデータで答えられることは、思いのほか多くあります。ToothGrowthの実例では、信頼区間、1匹ずつ除外する解析、交互作用の検定によって、効果が2つの用量で頑健であることと、元の主張が広すぎたことの両方が示されました。
  • 代わりの解析で示せないことも明記します。認めた限界は、誇張した回答よりも説得力があります。
  • 実施していない実験は決して報告せず、感度分析は結果にかかわらず報告します。

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よくある質問

Q. 査読者に求められた追加実験は、すべて実施しなければなりませんか?

いいえ。COPEの査読者向けガイドラインは、原稿の主張を支えるのに必須の追加調査と、研究を強化・拡張するだけのものを区別しています。必須の実験は可能であれば実施し、それ以外については、その論文が答える問いの範囲外である理由を説明して今後の課題として記載します。最終的な判断はエディターが行います。

Q. 必須の実験なのに、修正期限内には実施できない場合はどうすればよいですか?

まず、時間があれば実施できる場合は、エディターに期限の延長を相談します。それでも実施できない場合は、既存データの再解析、感度分析、収集済みだが示していなかった対照データ、公表文献などで要求の背景にある懸念に答え、それで確立できないことを明記します。元の主張を支えられる根拠がない場合は、主張を狭め、限界として記載します。

Q. 「サンプルサイズが小さい」という指摘に、検出力の計算を追加して答えてもよいですか?

観察された効果から事後的に計算した検出力(post-hoc power)では答えないでください。方法論の研究者は、データの解釈に役立たないとして、著者・査読者ともに避けるよう勧めています。効果量と95%信頼区間を示し、1つずつデータを除いて推定し直すleave-one-out解析などの頑健性の確認を加え、精度の限界を考察に記載します。研究前にサンプルサイズを設計していた場合は、その計算を報告します。

Q. 追加実験を断ると、リジェクトされますか?

必須の実験であり、回答が懸念に応えていなければ、リジェクトの可能性はあります。一方、実施できない理由を具体的に説明し、代わりの根拠を示し、その実験で支えるはずだった主張を狭めれば、その可能性はずっと低くなります。採否は常にエディターが判断します。

Q. Editverse Japanに追加の解析を依頼できますか?

はい。査読対応・統計再解析で、お手元の既存データの再解析(感度分析、頑健性の確認、図の修正)と、それに対応する回答文の作成をお手伝いします。実験そのものは行いません。論文で何を主張するかの判断は、著者と共著者の皆さまに帰属します。

参考資料

PubMed収載文献(書誌情報はNCBI E-utilitiesで確認)

  1. Ploegh H. End the wasteful tyranny of reviewer experiments. Nature. 2011;472(7344):391. doi:10.1038/472391a. PMID: 21525890(引用はnature.com掲載のスタンドファースト)
  2. Vale RD. Accelerating scientific publication in biology. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015;112(44):13439-13446. doi:10.1073/pnas.1511912112. PMID: 26508643
  3. Krebs CE, Lam A, McCarthy J, Constantino H, Sullivan K. A survey to assess animal methods bias in scientific publishing. ALTEX. 2023;40(4):665-676. doi:10.14573/altex.2210212. PMID: 37463512
  4. Parvatam S, Kaushik K, Mahadik K, Nayak G, Dhurde T, Pistollato F, Constantino H, Gautam B, Mittal H, Krebs CE. A survey to evaluate animal methods bias experienced by India-based researchers in the peer review of manuscripts and grant applications. NAM J. 2025;1:100042. doi:10.1016/j.namjnl.2025.100042. PMID: 42369410
  5. Thabane L, Mbuagbaw L, Zhang S, Samaan Z, Marcucci M, Ye C, Thabane M, Giangregorio L, Dennis B, Kosa D, Borg Debono V, Dillenburg R, Fruci V, Bawor M, Lee J, Wells G, Goldsmith CH. A tutorial on sensitivity analyses in clinical trials: the what, why, when and how. BMC Med Res Methodol. 2013;13:92. doi:10.1186/1471-2288-13-92. PMID: 23855337
  6. Crampton EW. The growth of the odontoblasts of the incisor tooth as a criterion of the vitamin C intake of the guinea pig. J Nutr. 1947;33(5):491-504. doi:10.1093/jn/33.5.491. PMID: 20294344(Rのdatasets::ToothGrowthの出典研究)
  7. Altman DG, Bland JM. Interaction revisited: the difference between two estimates. BMJ. 2003;326(7382):219. doi:10.1136/bmj.326.7382.219. PMID: 12543843
  8. Altman DG, Bland JM. Absence of evidence is not evidence of absence. BMJ. 1995;311(7003):485. doi:10.1136/bmj.311.7003.485. PMID: 7647644
  9. Heinsberg LW, Weeks DE. Post hoc power is not informative. Genet Epidemiol. 2022;46(7):390-394. doi:10.1002/gepi.22464. PMID: 35642557
  10. Ioannidis JP. Limitations are not properly acknowledged in the scientific literature. J Clin Epidemiol. 2007;60(4):324-329. doi:10.1016/j.jclinepi.2006.09.011. PMID: 17346604

公的機関・団体の資料

  • O1. COPE Council. COPE Ethical Guidelines for Peer Reviewers, Version 2(2017年9月)「Suggestions for further work」:publicationethics.org(PDF)
  • O2. R Core Team. datasets::ToothGrowth documentation(R 4.3.3)
  • O3. ICMJE Recommendations. “Overlapping Publications: Duplicate Submission.”:icmje.org
  • O4. ICMJE Recommendations. “Defining the Role of Authors and Contributors: Non-Author Contributors.”:icmje.org

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