生存時間分析の書き方|カプランマイヤー・Cox回帰・ハザード比
生存時間分析は、イベント(死亡・再発・退院など)が起こるまでの時間を記録し、観察の終了時点でまだイベントが起こっていない人(打ち切り)がいるデータを扱う手法です。論文で報告するのは、通常、次の3点です。Kaplan-Meier曲線(カプランマイヤー曲線)と、生存期間中央値およびその95%信頼区間、number at risk(リスク集合の人数)の表。群間比較のログランク検定。そしてCox比例ハザードモデルによるハザード比(HR)と95%信頼区間です。あわせて、比例ハザード性を確認したことも書きます。本記事では、1つの実データ(R、survival::lung、n = 228)を使い、生データから、論文のResultsに使える文章と表までを順に示します。さらに、statusの符号(1か2か)を取り違えると、同じデータで結果の向きが逆になる例も示します。
本記事が扱うのは、生存時間分析の道具立て(Kaplan-Meier法、ログランク検定、Cox回帰、打ち切り、比例ハザード性の確認、number at risk)です。回帰モデルの種類の選び方は回帰分析の種類と選び方、調整する変数の決め方は交絡因子の調整、オッズ比はロジスティック回帰のオッズ比をご覧ください。ハザード比を複数の研究で統合する場合(フォレストプロット)はメタアナリシスとはで扱っています。ここでは繰り返しません。
1. 生存時間データの特徴|時間・イベント・打ち切り
生存時間データでは、1人ごとに2つの値を記録します。追跡期間(時間)と、イベント指標(1 = イベントが起こった、0 = 追跡終了時点でまだ起こっていない)です。Clarkら(2003)[文献1]は、通常の手法が使えない理由を2つ挙げています。生存時間は正規分布にならず、早い時期のイベントが多く遅い時期のイベントが少ない偏った分布になること。そして、一部の人では、打ち切り(censoring)のために、本当のイベントまでの時間が分からないことです。打ち切りは、(a) 試験終了時点でまだイベントが起こっていない、(b) 追跡不能になった、(c) 別のイベントが起こって追跡を続けられなくなった、のいずれかで生じます。打ち切られた時間は、本当のイベントまでの時間より短く見積もられます(右側打ち切り)。
書き方への影響は2つあります。
- 生存時間を、観察された時間の平均値や中央値で要約しないでください。下の実例では、228人の観察時間そのものの中央値は255.5日ですが、Kaplan-Meier法による生存期間中央値は310日です。打ち切られた人は、少なくとも打ち切られた時点までは生存していたことが分かっているためです。
- 標準的な手法は、非情報的な打ち切りを前提にします。ある時点で打ち切られた人も、追跡を続けている人と同じ確率でその後にイベントを起こす、という前提です(Clarkら, 2003[文献1])。症状の悪化や副作用のために脱落した人が多い場合は成り立たないため、限界として書いてください。
statusの符号の落とし穴。survival::lungでは、statusは 1 = 打ち切り、2 = 死亡です(Rのドキュメントは、この1/2の符号を「歴史的な名残」と説明しています)。Surv(time, status) は、たまたま2をイベントとして読みます。しかし、ほかのデータでは0/1の符号が多く、「1 = イベント」のつもりで status == 1 を使うと、打ち切りの人を死亡として解析してしまいます。下の例でこれを行うと、女性のハザード比は0.59ではなく1.91になります。同じデータで、向きが逆です。必ず、イベント指標(1 = イベント、0 = 打ち切り)を明示的に作り、その人数が方法の記載と合っているかを確認してください。
2. Rによる実例|進行肺がんの男女比較
データ。survival::lungは、North Central Cancer Treatment Group(NCCTG)による進行肺がん患者の生存データです(Rのドキュメントが引用する出典は、Loprinziら, 1994[文献12])。患者は228人、時間の単位は日で、165人が死亡し、63人が打ち切りでした(statusがそれぞれ2と1)。男性は138人(死亡112人)、女性は90人(死亡53人)です。医師が評価したECOGパフォーマンススコア(このデータでは0〜3)は、1人で欠測しています。本記事は報告のしかたを示すための教材で、男女の比較は臨床的な結論ではありません。データも古いものです。
Rコード(R 4.3.3、survival 3.8.6):
library(survival)
d <- lung
d$event <- as.integer(d$status == 2) # 1 = 死亡, 0 = 打ち切り(statusは1 = 打ち切り, 2 = 死亡)
d$sex_f <- factor(d$sex, levels = 1:2, labels = c("Male", "Female"))
table(d$event) # 0: 63, 1: 165
# 1. Kaplan-Meier法:全体、次に性別
survfit(Surv(time, event) ~ 1, data = d)
f1 <- survfit(Surv(time, event) ~ sex_f, data = d)
f1 # 中央値と95%信頼区間
summary(f1, times = c(180, 365, 730)) # 固定時点の生存確率
# 2. ログランク検定
survdiff(Surv(time, event) ~ sex_f, data = d)
# 3. Cox回帰:未調整と調整
m0 <- coxph(Surv(time, event) ~ sex_f, data = d)
m1 <- coxph(Surv(time, event) ~ sex_f + age + ph.ecog, data = d)
summary(m1)
# 4. 比例ハザード性の確認(スケール化Schoenfeld残差)
cox.zph(m1)
# 5. 追跡期間:逆Kaplan-Meier法(打ち切りを「イベント」とみなす)
survfit(Surv(time, 1 - event) ~ 1, data = d)
実際の出力(主な行)。
全体のKaplan-Meier推定:n = 228、イベント165件、生存期間中央値は310日(95%信頼区間 285〜363)でした。365日時点の生存確率は0.409(95%信頼区間 0.345〜0.486)、730日時点は0.116(0.072〜0.187)です。
性別の結果は次のとおりです。
| 人数 | 死亡 | 生存期間中央値、日(95%信頼区間) | 365日時点の生存確率(95%信頼区間) | |
|---|---|---|---|---|
| 男性 | 138 | 112 | 270(212〜310) | 0.336(0.261〜0.433) |
| 女性 | 90 | 53 | 426(348〜550) | 0.526(0.421〜0.658) |
ログランク検定:χ² = 10.3、自由度1、p = 0.0013でした(観察された死亡数と期待数は、男性が112件と91.6件、女性が53件と73.4件)。
Cox回帰(女性 vs 男性)の結果です。
| モデル | 項目 | HR | 95%信頼区間 | p |
|---|---|---|---|---|
| 未調整(n = 228、死亡165件) | 女性 vs 男性 | 0.59 | 0.42〜0.82 | 0.0015 |
| 調整(n = 227、死亡164件) | 女性 vs 男性 | 0.58 | 0.41〜0.80 | 0.001 |
| 年齢(1歳ごと) | 1.01 | 0.99〜1.03 | 0.23 | |
| ECOGスコア(1点ごと) | 1.59 | 1.27〜1.99 | <0.001 |
比例ハザード性の検定(調整モデル):性別 p = 0.13(χ² 2.31)、年齢 p = 0.66(0.19)、ECOG p = 0.15(2.05)、全体のχ² 4.46(自由度3)、p = 0.22でした。性別のみの未調整モデルでは p = 0.091です。
逆Kaplan-Meier法による追跡期間の中央値:588日(95%信頼区間 511〜1010)でした。

図の読み方:この男女比較では、女性のほうが長く生存していました(中央値は426日と270日、HR 0.59)。曲線は追跡期間の大部分で離れています。number at riskの表は、約600日を過ぎると残っている人が少ないことを示します(600日時点で男性13人・女性11人、1000日時点で男性2人・女性0人)。曲線と信頼区間が頼りにならなくなるのは、この部分です。
当サイトの別の記事との数値の違い。回帰分析の種類と選び方は同じデータセットを使っていますが、体重減少など他の変数も揃っている213人だけを解析しています。そのため、中央値(337日)やハザード比が、本記事の値とわずかに異なります。本記事では、各モデルに必要な変数が揃っている全患者を使っています。
3. Kaplan-Meier曲線|図と本文に入れる項目
Kaplan-Meier(KM)推定は、各時点より長く生存する確率を、打ち切りを正しく扱いながら求めます。生存期間中央値は、曲線が0.5に達する時間です(Clarkら, 2003[文献1])。同論文は、生存時間の分布が大きく偏るため、平均値はあまり使われないとも述べています。
査読者が確認する点を、Pocockら(2002)[文献5]をもとにまとめます。同論文は、主要な4誌の臨床試験の論文を調べ、生存曲線の図について勧告しています。
- 追跡の範囲と統計的な不確実性を示す。信頼区間のバンドまたは標準誤差を入れます。同論文が挙げた論点は、曲線を上向きにするか下向きにするか(上向きを推奨)、時間軸をどこまで伸ばすか、追跡の範囲を示すこと、不確実性を示すこと、曲線の形や群間差の時間的なパターンの解釈には注意することです。
- number at riskの表を、時間軸にそろえて付ける。曲線上には打ち切りの時点を示します(図1の+)。この表で、曲線が少数の人に支えられている部分が分かります。
- 中央値と95%信頼区間、そして事前に決めた時点(たとえば1年)の生存確率と信頼区間を書く。上の出力では、どちらも示しています。ある群で曲線が0.5まで下がらない場合、中央値は「未到達(not reached)」と書き、数値は書きません。
- number at riskが少なくなる部分で横軸を打ち切るか、末尾が頼りにならないことを明記する。Clarkら[文献1]は、曲線の末尾では信頼限界が広くなりがちで、意味のある解釈が難しいと述べています。
実際の論文では、どの程度できていたのでしょうか。Altmanら(1995)[文献6]は、1991年10〜12月に臨床腫瘍学の5誌に掲載された132本の論文を調べました。追跡期間の要約がなかった論文はほぼ半数、少なくとも1つのエンドポイントの定義が不明確だった論文は62%、ログランク検定がP値だけで報告されていた論文は84本中63本(75%)、生存曲線の図の質が低いと判断された論文は117本中43本(37%)でした。1991年の論文を調べた結果なので、現在の割合として読まないでください。それでも、統計の査読者が見る点は今も同じです。
4. ログランク検定|報告したうえで、効果の大きさを添える
ログランク検定(log-rank test)は、2群以上の生存曲線全体を比較します。イベントが起こった時点ごとに、群間差がなければ各群で何件のイベントが期待されるかを計算し、すべて合計して、観察数と期待数を比べます。統計量は、(群の数 − 1)を自由度とするχ²分布で評価します(Clarkら, 2003[文献1])。実例では、χ² = 10.3、自由度1、p = 0.0013でした。
χ²値、自由度、正確なP値(または p < 0.001)を報告し、方法の項に検定名を書きます。ただし、ログランク検定が与えるのはP値であって、効果の大きさではありません(Bradburnら, 2003[文献2]は、統計学的な評価であって臨床的な評価ではないと述べています)。そのため、生存期間中央値の差、固定時点の生存確率、信頼区間つきのハザード比を併記してください。Altmanらの調査[文献6]でも、ログランク検定はP値のみの報告が最も多く、推定値の不確実性が示されることはまれでした。
5. Cox回帰とハザード比
Cox比例ハザードモデルは、イベントの発生率(ハザード)が共変量にどう依存するかを表します。各共変量はハザードに掛け算で作用し、回帰係数をexpした値がハザード比です(Bradburnら, 2003[文献2])。ハザード比が1より大きければイベントの発生率が高く、したがって生存期間が短いこと、1より小さければ発生率が低いことを意味します。StensrudとHernán(2020)[文献7]は、ハザードを、まだイベントを起こしていない人が次の短い期間にイベントを起こす確率として、くだけた言い方で説明しています。
実例では、女性の死亡のハザードは、男性の0.59倍でした(95%信頼区間 0.42〜0.82)。年齢とECOGスコアで調整すると、HRは0.58(0.41〜0.80)でした。ECOGスコアが1点高いと、ハザードは1.59倍でした(1.27〜1.99)。「HR 0.59」は、「どの時点でも死亡が41%少ない」「生存期間が41%長い」という意味ではありません。詳しくは第6節をご覧ください。
Cox回帰で報告する項目:
- アウトカムと時間の起点、そしてイベント数(患者数だけでなく)。
- 各HRと95%信頼区間、参照カテゴリ、単位(1歳ごと、1点ごと)。
- 未調整と調整後のHR、および調整した変数。調整する変数の選び方は研究デザイン上の問題です(交絡因子の調整を参照)。この例の年齢とECOGは、表の形を示すためだけに選びました。
- 説明変数1個あたりのイベント数(EPV)。ここでは、説明変数3個に対してイベント164件(1個あたり約55件)です。イベント10件以上という従来の目安は、ロジスティック回帰とCox回帰では保守的すぎる可能性があり、EPV以外の要因も同程度に影響することが、VittinghoffとMcCulloch(2007)[文献11]で示されています。自分のEPVを報告し、その根拠を示してください。
- 前提の確認(第6節)。
信頼区間とP値の一般的な考え方は信頼区間の解釈とP値の正しい解釈を、有意差が出なかった場合の書き方は有意差が出なかったときをご覧ください。
6. 比例ハザード性の確認|できること・できないこと
Cox回帰では、ハザード比が時間によらず一定であることが前提で、ハザード曲線は交差しません(Bradburnら, 2003[文献2])。確認方法として、Bradburnら(Part III, 2003)[文献3]は次の2つを説明しています。
- 図による確認。群ごとに log(−log(生存確率)) を log(時間) に対してプロットし、ほぼ平行であれば、比例ハザード性が成り立つと考えられます。主観的な判断が必要で、連続変数はカテゴリ化しなければなりません。
- 検定による確認。スケール化Schoenfeld残差の検定(GrambschとTherneau)は、残差と時間の関連を調べます。時間依存性共変量の方法は、係数が時間とともに変化するかを調べ、その変化をモデル化することもできます。
Rでは cox.zph(m1) を使います。実例では、どの共変量も、全体の検定も、比例ハザード性に反する証拠を示しませんでした(全体 p = 0.22、性別 p = 0.13)。ただし、p値が大きいことは「比例している」ことの証明にはなりません。追跡期間を365日で分けて確認すると、女性のHRは、最初の365日で0.53(0.36〜0.79、死亡121件)、365日以降で0.76(0.41〜1.39、死亡44件)でした。後半の推定値は精度が低く、信頼区間は1を含みます。このデータでは、効果が一定なのか、時間とともに弱まるのかを区別できません。
StensrudとHernán(2020)[文献7]はさらに踏み込み、ほとんどすべての臨床研究で、ハザードは比例しないと考えられること、CoxのHRは時間とともに変わる真のHRの重み付き平均であること、比例ハザード性の検定でp値が大きくても、検出力が不足している可能性が高いため、検定を関門として使う必要はないことを述べています。推奨は、HRに加えて、絶対リスクから求めた指標(事前に定めた時点での生存確率の差や、制限付き平均生存時間の差)を報告することです。Hernán(2010)[文献8]は、Women’s Health Initiativeの試験を例に、1つの平均HRが追跡期間の長さに依存すること(報告された全体のHR 1.24に対し、期間別のHRは1年目で1.81、6年目以降で0.70)、および、期間別のHRには、もともと選択バイアスが組み込まれていることを示しています。Belleraら(2010)[文献9]は乳がんの例で、従来のCoxモデルでは有意な効果がなかった変数が、時間とともに明らかに変化する効果を持っていた(早期に転移のリスクを高め、後に防御的になった)ことを示しています。
実務上は、どの確認を行ったか(図、Schoenfeld検定、またはその両方)、その結果、そして補足として絶対的な指標を書くのが妥当です。実例では次のとおりです。
- 365日時点の生存確率の差(女性 − 男性):0.190(95%信頼区間 0.046〜0.335。Greenwoodの標準誤差によるWald区間)。
- 730日までの制限付き平均生存時間(RMST):男性311日、女性435日、差は124日(95%信頼区間 58〜189。標準誤差による正規近似)。Roystonら(2013)[文献10]は、RMST(指定した時点までの生存曲線の下の面積)を、比例ハザード性に依存しない、ハザード比の代替指標として説明しています。
確認で前提が成り立たないと分かった場合、Bradburnら(Part III)[文献3]が挙げる選択肢は、時間依存性の係数、層別モデル(主な関心の対象ではない共変量の場合)、別のモデルです。査読を受けてから解析をやり直すより、解析の前に短く相談するほうが、手間は少なくて済みます。
7. 追跡期間と打ち切り、査読者に指摘されやすい書き方
- 追跡期間の中央値は、逆Kaplan-Meier法で求めて報告する。イベントと打ち切りの指標を入れ替え、打ち切りを「イベント」として扱います。実例では588日(95%信頼区間 511〜1010)でした。観察時間そのものの中央値(ここでは255.5日)は、死亡した人と打ち切りの人が混ざるため使いません。
- 打ち切りの人数と理由(試験終了、追跡不能、他のイベント)を書く。ここでは228人中63人です。Clarkら[文献1]は、追跡不能が少なければバイアスは小さいと考えられるが、情報を持つ打ち切り(たとえば副作用による脱落)があれば標準的な手法は成り立たない、と述べています。
- 別のイベントで追跡が終わる場合は、競合リスクの問題になる。たとえば、アウトカムが再発のときに、他の原因による死亡が起こる場合です。Clarkら(Part IV, 2003)[文献4]は、イベントごとに別々に解析すると誤解を招くことがあり、KM法は各イベントの割合を過大に推定しがちだと述べています。その場合は累積発生率の方法を使い、方法の項に明記します。入った後で値が変わる共変量(たとえば喫煙状況)には、時間依存性共変量の方法が必要です(同論文)。
- 観察研究の比較で得たハザード比に、因果を示す言葉を使わない。HR 0.59を「どの時点でも41%の減少」と読まないでください(StensrudとHernán[文献7]は、HRをそのように解釈できないと述べています。HRは追跡期間を通じた平均です)。信頼区間が1を含むとき、「差がない」と書いてもいけません。
8. 論文にそのまま使える記述例
英語論文向けの記述例を示します。定義などは、ご自身の研究に合わせて書き換えてください。数値は、そのまま流用しないでください。
Methods(統計)(テンプレート:定義の部分は、ご自身の研究のものに置き換えてください)
Overall survival was defined as the time from enrolment to death from any cause; patients alive at last contact were censored. Survival curves were estimated by the Kaplan-Meier method and compared by the log-rank test. Median survival and survival probabilities are given with 95% CIs. Hazard ratios with 95% CIs were estimated by Cox proportional-hazards regression, unadjusted and adjusted for age and ECOG performance score. Proportional hazards were assessed with scaled Schoenfeld residuals (cox.zph), and absolute differences were summarised as the difference in survival probability at 365 days and the restricted mean survival time to 730 days. Median follow-up was estimated by the reverse Kaplan-Meier method. Analyses used R 4.3.3 (survival 3.8.6).
(和訳)全生存期間は、登録から全死亡までの時間と定義し、最終接触時点で生存していた患者は打ち切りとした。生存曲線はKaplan-Meier法で推定し、ログランク検定で比較した。生存期間中央値と生存確率は、95%信頼区間とともに示した。ハザード比と95%信頼区間は、Cox比例ハザード回帰で、未調整および年齢とECOGパフォーマンススコアで調整して推定した。比例ハザード性は、スケール化Schoenfeld残差(cox.zph)で確認し、絶対的な差は、365日時点の生存確率の差と、730日までの制限付き平均生存時間で要約した。追跡期間の中央値は、逆Kaplan-Meier法で推定した。解析にはR 4.3.3(survival 3.8.6)を用いた。
Results
Of 228 patients, 165 died and 63 were censored; the median follow-up was 588 days (95% CI 511 to 1010). Median survival was 426 days (95% CI 348 to 550) in women and 270 days (212 to 310) in men (log-rank chi-square = 10.3, df = 1, p = 0.0013). The hazard of death was lower in women (HR 0.59, 95% CI 0.42 to 0.82; adjusted HR 0.58, 0.41 to 0.80). A higher ECOG score was associated with a higher hazard (adjusted HR 1.59 per point, 1.27 to 1.99). We found no evidence against proportional hazards (global p = 0.22), although the data cannot exclude a time-varying effect. Survival at 365 days was 0.526 in women and 0.336 in men (difference 0.190, 95% CI 0.046 to 0.335).
(和訳)228人中165人が死亡し、63人が打ち切りとなった。追跡期間の中央値は588日(95%信頼区間 511〜1010)であった。生存期間中央値は、女性が426日(95%信頼区間 348〜550)、男性が270日(212〜310)であった(ログランク検定 χ² = 10.3、自由度1、p = 0.0013)。死亡のハザードは女性で低かった(HR 0.59、95%信頼区間 0.42〜0.82。調整HR 0.58、0.41〜0.80)。ECOGスコアが高いほどハザードは高かった(調整HR 1点あたり1.59、1.27〜1.99)。比例ハザード性に反する証拠は認められなかった(全体 p = 0.22)が、時間とともに変わる効果をデータから除外することはできない。365日時点の生存確率は、女性0.526、男性0.336であった(差0.190、95%信頼区間 0.046〜0.335)。
表に入れる項目。群ごとの患者数とイベント数、生存期間中央値と95%信頼区間、事前に定めた時点の生存確率と95%信頼区間、未調整と調整後のHR(95%信頼区間と参照カテゴリ)、図の下のnumber at risk、打ち切りの定義、比例ハザード性の確認の名称です。
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すでに査読者から統計について指摘を受けている場合は、査読対応・統計再解析をご覧ください。再解析、解析コード、回答文の作成まで対応します。
まとめ
- 時間と、0/1のイベント指標を明示的に作り、人数を確認します(statusの1/2の取り違えで、答えの向きが逆になります)。
- KM曲線:中央値と95%信頼区間、固定時点の生存確率と信頼区間、打ち切りの印、number at risk、末尾への注意を示します。
- ログランク検定:χ²、自由度、pに加えて、効果の大きさを示します。この検定が与えるのはP値だけだからです。
- Cox回帰:HRと95%信頼区間、参照カテゴリ、単位、説明変数1個あたりのイベント数、未調整と調整後を示します。
- 比例ハザード性:確認の方法と結果を書きます。p値が大きくても証明にはならないため、絶対的な指標(生存確率の差、RMST)を補います。
- 実例(n = 228、死亡165件):女性 vs 男性のHRは0.59(0.42〜0.82)、ログランク検定は p = 0.0013、比例ハザード性の全体の検定は p = 0.22でした。これは報告のしかたを示す教材の例であり、臨床的な知見ではありません。
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よくある質問
Q. Kaplan-Meier曲線は検定ですか?
いいえ。Kaplan-Meier曲線は生存確率の推定です。群間の比較は、ログランク検定やCox回帰で行います。
Q. ハザード比0.59とは、どういう意味ですか?
追跡期間を通じて平均すると、女性の死亡の発生率が、男性の0.59倍だったという意味です(95%信頼区間 0.42〜0.82)。比較しているのはリスクではなく発生率の比で、「どの時点でも死亡が41%少ない」という意味ではありません。絶対的な違いは、生存確率やRMSTで補ってください。
Q. 比例ハザード性が成り立たないときは、どうしますか?
その事実を報告し、時間依存性の係数、層別モデル、別のモデルを検討します。あわせて、RMSTのような絶対的な指標を示します。
Q. 打ち切り(censoring)とは何ですか?
観察の終了までにイベントが確認されなかったことを指します。その人は、少なくとも打ち切られた時点までは生存していたことが分かっています。
Q. Cox回帰には、イベントがいくつ必要ですか?
従来の目安は、説明変数1個あたりイベント10件以上です。シミュレーションでは、この目安を緩めてよい場合があることが示されています(Vittinghoffら, 2007)。ただし、自分のEPVは報告してください(この例では、イベント164件、説明変数3個)。
参考資料
PubMed収載の文献(題名・著者・雑誌・年・巻・ページ・DOIは、2026年10月7日にNCBI E-utilitiesのesummaryで確認。本文で用いた主張ごとに、抄録または公開されている全文を確認)
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- Hernán MA. The hazards of hazard ratios. Epidemiology. 2010 Jan;21(1):13-5. doi: 10.1097/EDE.0b013e3181c1ea43. PMID: 20010207.(全文:PMC3653612)
- Bellera CA, MacGrogan G, Debled M, de Lara CT, Brouste V, Mathoulin-Pélissier S. Variables with time-varying effects and the Cox model: some statistical concepts illustrated with a prognostic factor study in breast cancer. BMC Med Res Methodol. 2010 Mar 16;10:20. doi: 10.1186/1471-2288-10-20. PMID: 20233435.(抄録を確認)
- Royston P, Parmar MK. Restricted mean survival time: an alternative to the hazard ratio for the design and analysis of randomized trials with a time-to-event outcome. BMC Med Res Methodol. 2013 Dec 7;13:152. doi: 10.1186/1471-2288-13-152. PMID: 24314264.(抄録を確認)
- Vittinghoff E, McCulloch CE. Relaxing the rule of ten events per variable in logistic and Cox regression. Am J Epidemiol. 2007 Mar 15;165(6):710-8. doi: 10.1093/aje/kwk052. PMID: 17182981.(抄録を確認)
- Loprinzi CL, Laurie JA, Wieand HS, Krook JE, et al. Prospective evaluation of prognostic variables from patient-completed questionnaires. North Central Cancer Treatment Group. J Clin Oncol. 1994 Mar;12(3):601-7. doi: 10.1200/JCO.1994.12.3.601. PMID: 8120560.(データの出典(survival::lungのRドキュメントが引用)。抄録を確認)
データ・ソフトウェア
- R documentation,
survival::lung(Terry Therneau。NCCTGの進行肺がんデータ)。R 4.3.3、survival 3.8.6 - データとコードは、2026年10月7日にR 4.3.3(survival::survfit・survdiff・coxph・cox.zph、ggplot2、ragg)で計算し、Pythonの独自実装で主要な数値を再計算して一致を確認